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センサーのグローバル市場規模は、毎年7%に近い高い成長率で推移し、2027年までに2200億ドル以上になると予測されています。対して、コネクタの市場規模は現時点でこの3分の1以下ですがこちらも 健全な成長が期待されています。センサーの人気が高まっている背景にはいくつかの理由があり、これはなにも一つの業界に限られたものではありません。製造業をはじめ、医療、自動車、消費者産業などがセンサーの成長を後押ししています。
産業用センサー技術はエレクトロニクス産業の継続的な発展から恩恵を受けてきました。今日のセンサーはかつてないほど高性能で、小型です。最新の半導体がセンサーをより賢くさせたのです。そのためセンサーは単に信号を検出するだけでなく、信号を処理する力を持ち、パッシブなコンポーネントというよりアクティブなコンポーネントとなっています。最新のエンベデッドビジョンシステム(組み込みビジョンシステム)はセンサー技術の高度化を示す一例といえます。
センサー市場の可能性を考えると、3大コネクタメーカーがこの10年間でセンサー技術にかなりの投資を行ってきたことも不思議ではありません。今やTE Connectivity社、Amphenol社、Molex社といったコネクタメーカーは、HARTINGやPhoenix Contactなどの多くの産業センサメーカーと並んで自社のセンサー製品部門を推し進めています。
今後しばらくセンサー市場が健全に推移することが予想されるため、財務的な判断からこのような動向があると思われます。しかし、コネクタメーカーがセンサーの業界に参入した理由には重要な技術的思考があるからです。それはセンサーには必ずコネクタが必要だということです!
トライ&テスト
産業用丸形コネクタのMシリーズは長年にわたりセンサーの接続に理想的なソリューションを提供してきました。小型のM5コネクタから大型で多極のM23、さらに大型の物まで、これらは様々なメーカーから共通の規格で提供されています。このソリューションは堅牢で防水性に優れ、さらに定量化しにくいが重要な利点である「親しみやすさ」を備えています。業界全体で共通に使用されているため世界中のインストーラーにとって容易なソリューションとなっているのです。
ですが、センサーの接続方法に変化が訪れています。この変化はインターネットの力であり、機械間通信(machine to machine)によるものです。家庭内ではIoT(Internet of Things)が家電製品の使い方を変えつつあります。産業界ではIIoT(Industrial Internet of Things)とインダストリー4.0により、スマートファクトリー(ネット上で共有されるデータを収集し、日々の業務に関する意思決定を支援する工場、施設)が誕生しています。同様にその接続性は最新の自動車や医療分野のウェアラブル技術においても見受けられます。
このmachine to machineの通信はフィードバックの提供をセンサーに依存しています。データが収集され、その後にネットワークで共有されます。これはセンサーにとって2つの重要な変化を意味します。
1つ目は、単純にセンサーの数が増えるということです。このセンサーの爆発的な増加により、設置者(または設置業者)は限られたネットワークに多くのセンサーをどのように接続すればよいかを再検討する必要があります。2つ目の変化は、センサーがもはや受動的にデータだけを収集するのではなく、それ自体がネットワークの重要なコンポーネントを形成するようになったことです。このことも接続方法を変える必要があることを意味しています。Molex社のDean Donnelly氏とJeff Barnes氏へのインタビューでは産業界の設置者が抱える課題について議論していました。
これらのことからセンサーコネクタの世界では新しい展開があることがわかり、それらが近い将来より一般的になるということを示唆しています。従来のMシリーズコネクタはすでに多くがフィールド(現場)で展開されているので、しばらくは残り続けると考えられます。ですが新たな製品も続々と登場してきています。
IO-Link
最近DesignSparkでIO-Linkについての記事を書きましたが、米国のAllied社の同僚が発表した素晴らしい記事がありますので是非一読してみてください。記事内容を要約すると、
IO-Linkは工場現場に一般的にあるセンサーやアクチュエータをポイントtoポイント(2地点間接続)で接続するためのシリアル通信プロトコルです。IO-Linkは現代の工場の制御層を形成する、既存のPLC(Programmable Logic Controllers)とシームレスに統合できるように設計されています。設置者にとってより重要なことは、IO-Linkはセンサーメーカーが簡単に設置できるような標準化されたアプローチを採用していることです。
IO-LinkはMコネクタの非シールドタイプを採用しています。IO-Link機器のポートにはセンサーの接続によく使われるM5、M8、M12の各種タイプが採用されており、苦労している機械メーカーの負担を大幅に軽減します。
MicroSAM™のご紹介
このような新しいネットワークに既存の機器にどのように組み込むかは、設置者にとって最大の課題です。すでに使用されている機器の価値を考えると、既存のセンサーをすべて取り外して新しい技術に置き換えることは、経済的にも時間的にも良いものではありません。このようなアプリケーションでは古いセンサーを新しい産業用ソリューションと互換性のある形式に変換する方法が必要です。
その一つとしてMicroSAM™を紹介します。マイクロセンサーアダプタモジュール(MicroSAM™)は、切手サイズのプリント基板に則って設計された新しいハードウェアです。このモジュールは既存のセンサーをプラグアンドプレイ要素に変換するために必要なデータインタフェースを提供し、すぐに設置することが可能になります。
モジュールの物理的な形状は32mm x 32mmのプリント基板で幅広いアナログおよびデジタルセンサーに向けて、電源フィルタとシグナルコンディショニング(信号処理)を提供するための構成部品が実装されています。コネクタインタフェースはSamtec社製のT1Mファミリー (208-5874) で標準化されており、4,6,18ピンのいずれかの構成になっています。1.00mmのマイクロピッチで設計されたT1Mはラッチ式電線対基板用コネクタで産業用及び工場現場での応用に必要な信頼性を提供します。
シングルペアイーサネット
シングルペアイーサネット(SPE)はもう一つの変換方法で、以前にも紹介したことがあるシステムですが、事実上の業界標準となるべく競争している2つのコンソーシアムが立ち止まっていないことから、改めて紹介する価値があります。SPEはイーサネットのネットワークとデバイス(今回の場合はセンサー)の間の最後の数センチを埋めるために設計されました。
新しいSPEプロトコルは従来のシリアル通信システムをより小型でコンパクトなコネクタを使用して、統合的イーサネットインスタレーションに置き換えることを目的としています。SPEは現場の既存のイーサネット機器を置き換えることは意図していません。従来のイーサネットをサポートしているインフラは大量に存在し、それを置き換えるにはコストと時間がかかる割にメリットが少ないからです。その代わり、SPEはこれまで手が届かなかった場所にイーサネットを導入することができます。
スマートファクトリーのフィールドレベルを既存のイーサネット機器の延長として変換することで、単一の統合ネットワークを構築することが可能になります。各センサーにSPEを装備し、なおかつ固有のIPアドレスを与えることで、機械からクラウドまでのシームレスな通信を実現します。
また、SPEコネクタは電源供給も可能であり、新機器導入の別の障害を取り除くことができます。PoDL(Power over Data Line)を使用して、SPEコネクタシステムは端末装置(エンドデバイス)に最大50Wの電力を供給することが可能で、ローカル電源の供給という課題を解決することができます。これら機能のすべてを、たった1本のツイストペアケーブルで実現できるのです。
これらの結果SPEコネクタは小型・軽量化が可能となり、新種の小型センサーに最適なコネクタソリューションとなります。現在、このコネクタには2つの選択肢があります。1つ目はSPE産業パートナーネットワークがHARTING T1 (203-9059) を標準化することです。2つ目は競合するSPE System AllianceがPhoenix Contactソリューションに代表される別の設計を採用することです。どちらのタイプもIEC 63171には準拠しています。
その他資料
IO-Link、シングルペアイーサネット、MicroSAMについてもっと知りたいという方には下のリンクを参照してみてください。また引き続き関連する記事をあげますのでチェックをお願いします!
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