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Jonathan Catchpoleです。TE Connectivity (TE)のIntelligent Buildingsグループに所属するエンジニアです。最近、配置換えでホームオートメーションに特化した戦略的な仕事を担当することになりました。私は以前より、RF(無線)リモコンを使ってオン/オフの切り替えができるソケットアダプタを自宅でいくつか使っています。リモコンですから、ソファから立ち上がらなくても照明を点けられるわけです。怠け者だと思われるかもしれませんが、切り替えモードの電源が主電源とは別になったことで、光熱費も下がりました。仕事でこの分野を担当することになり、ホームオートメーションに関する知識が増えると、ガジェット好きの私の心にも火が点いたのでした。
巷では、モノのインターネット、いわゆる「IoT」が話題です。ホームオートメーション領域のIoTは、家庭の中の装置の機能を制御する機器という説明ができるでしょう。これらの機器は、一般にルータを介してクラウドとつながり、ユーザーはモバイル端末を使って機器を制御することができます。
(British GasのHiveスマートサーモスタット)
私が最初に手にした機器は、IoT対応のスマートサーモスタットです。これで、暖房のコントロールと遠隔操作ができるようになりました。冬も真っ只中の1月、デンマーク旅行から戻った私を暖かい我が家が迎えてくれたことは、期待を超えた喜びでした。Hiveのスマートサーモスタットを選んだ理由は、市場で最も魅力的な製品だと感じたからではなく、その当時、UK国内で手に入る唯一の製品だったからですが、重要なのは、このスマートサーモスタットでセントラルヒーティングを制御できたことです。この機能は、私のライフスタイルにピッタリでした。暖めたいときだけ暖めておけるし、家を空けるときはエネルギーを無駄にせずにすみます。
セントラルヒーティングを制御できるようになったおかげで、我が家の燃料代は年間で120ポンドも安くなりました。
(BelkinのWEMOインサイトスイッチ)
この時点ですっかりはまってしまった私は、浮いた燃料代で、RFリモコン制御のコンセントをさらにカスタマイズし、モーションセンサ内蔵のIoTコンセントにしました。そのために私が購入したのは、BelkinのWemoスイッチとWemoインサイトスイッチです。どちらも大型ですが、白いプラスチックなのでそれほど圧迫感はありません。これで、夜、両手がふさがった状態で帰宅しても、自動的に照明が点灯するようになりました。国外に出ているときは、クラウド制御のシステムが毎日違う時間に照明を点けたり消したりしてくれるので、周囲に家に人が出入りしているかのように見せることができます。さらに私は、このシステムに電動式のカーテンレールを加え、IoTコンセントから電源をとる自作の制御システムを完成させました。今では毎朝、私が階段を下りきる前に階下の部屋のカーテンが開き、太陽の光で私を迎えてくれます。
我が家のようにブロードバンド環境がそれほど良くない場所では、IoTのマイナス面がはっきりと現れます。携帯と同じ自宅LANにWemoの機器をWi-Fi接続しているにもかかわらず、すべての制御がクラウド経由になってしまうのです。照明のオン/オフは必ずワンテンポ遅れますし、インターネット接続を失うと機器を制御できなくなるので、暗がりの中で過ごさなければなりません。
(Qiviconのホームベース)
この問題は、家庭用ハブが市場に流れ始めたことで解決しつつあります。中でも、GermanyのQiviconという企業が面白い製品を出しています。家庭用ハブを使うと、クラウドではなくハードウェアにインテリジェンスとコントロールが置かれるので、インターネット接続がなくても家庭内の機器を完全に制御できるのです。私はこのハードウェアをまだ使っていませんが、「面白い」と感じた理由は、連携可能なブランドの多さです。Netatmo、Osram、Philips、Samsungをはじめ、T Mobile、Miele、Sonos、EnBWなど幅広く対応しています。これだけのパートナーがあれば、家庭内の機器を完全につなげることも簡単にできるでしょう。
ホームオートメーションによって家庭内の環境は一変し、活性化されるというのが、ここまで見てきた私の考えです。光熱費の節約、日々のちょっとした仕事の効率アップ、基本的なホームセキュリティの導入、あるいはただ単に部屋をもっと快適にしたいという目的であっても、それぞれに役立つホームオートメーション製品があります。さらに、ホームオートメーション市場は急速に拡大しており、ますます多くの人々が、自分の環境に合わせて機器をカスタマイズし、双方向性を高める必要性を感じています。
ホームオートメーション製品の充実に加え、IoTやビッグデータといった数々の市場促進要因は、スタートアップ企業にイノベーションの新たな機会をもたらします。
サプライヤーがこれだけ増えてくると、ホームオートメーションの形態と機能を設計するための適切な部品を選ぶことが重要になってくると、私は思います。TEはこの市場の製品を幅広く取り扱っていますが、ここでそうした製品がどのようにホームオートメーションを支えているか、ご紹介したいと思います。
(TE ConnectivityのRT1リレー)
家庭内環境の快適性において、照明は重要な役割を担っています。照明環境がLEDへと急速に移行していることで、ドライバの容量性負荷に由来する高突入電流が増加しています。RT1突入電流/突入電力リレーは高度な接触技術に基づいて設計されており、最大165Aの突入電流を切り替えることができるので、コントローラやスマート電源コンセントを作るのに最適です。こうしたコントローラやコンセントは、照明器具に電力を送り、家を温かい色で照らします。
(TE ConnectivityのIMリレー)
次はスマートサーモスタットについてですが、オン/オフ切り替えに関してではなく、ビジュアルデザインのお話です。ホームオートメーションの普及により、「壁のニキビ」という言葉が注目されるようになっています。家の壁のあちこちに大型の機器が「ニキビ」のように数多く取り付けられ、白く四角いサーモスタットが姿を消そうとしています。例えば、先ほどご紹介したHiveは、新しいサーモスタットモジュールを搭載した製品を出しています。Jamboxなどを手掛けるデザイナーによる設計で、素晴らしい外観です。ただ、私は総合的に、Germanyを本拠地とするTadoのシンプルでエレガントなデザインが気に入っています。21世紀になって、薄型のおしゃれなデザインを好む風潮が高まりを見せる中、両社のスッキリとしたフォームファクタとTEのIM/PEリレーは、こうしたニーズを満たすのに役立ちます
(TE ConnectivityのTSサーモパイル)
スマートサーモスタットは、住人が家をどのように使っているかという情報を収集することで「ビッグデータ」の世界に足を踏み入れています。この新たな流れを汲むサーモスタットは、温度のみならず在室状態と湿度も検出します。在室状態は、従来はPIR (赤外線感知)センサで計測するものでしたが、どれだけの人が、このソリューションに心から満足しているでしょうか? 理想とされる状態でも、PIRセンサでは必要なレベルの制御はできません。私はよくオフィスで、消えてしまった照明をもう一度点けるために、センサに向かって必死に腕を振り回しています。つまり、PIRセンサが検出するのは動きだけで、そこに人がいるかいないかはわからないのです。この問題は、PIRセンサの代わりにサーモパイルを使うことで解決します。 簡単に言えば、サーモパイルとは多数の熱電対を直列につないだものと参照用のサーミスタを1つにまとめたものです。室内の温度差を検出できるため、動いているかどうかに関係なく、人を検出できるというわけです。
(TE ConnectivityのPTH)
温度と湿度の計測機能が1つのパッケージにまとまっているのは一般的な省スペース仕様ですが、TEのPTH (圧力・温度・湿度)複合センサを使って、同じチップで圧力も計測できるようにするのがお勧めです。この製品は消費電力が大変少ないため、バッテリ駆動の製品に最適なうえ、SMDパッケージにも使用できます。
家庭内に無線ノードが増えてきたことで、バッテリ寿命を考慮することが設計上重要になっています。バッテリ交換に時間を割きたい人はいないでしょう。ワイヤレススイッチや屋内センサ、窓センサには、環境発電が利用されています。TEのピエゾフィルムエレメントは、少量のエネルギーを作り出し、そのエネルギーを使って無線信号をセントラルハブに送り返します。装置に電力を供給するため、バッテリを必要としません。TEのピエゾフィルムは震動を検出するレベルの感度を備えています。これは、室内の動きを検出する画期的で離散的な方法です。
(TE ConnectivityのFSMタクトスイッチ)
ホームオートメーション製品は一般に家庭に設置されるため、必ずワイヤレスの形をとっており、セットアップの段階でセントラルハブやルータとメイティングする必要があります。TEが提供しているFSMシリーズのタクタイルスイッチは、ハードウェアに電力を供給する理想的な方法です。FSMシリーズは低プロファイルの表面実装タイプで、6 x 6mmと4.5 x 2.5mmのサイズがあります。柔軟な筐体設計が可能になるため、エンジニアは魅力的なホームオートメーション製品を作ることができます。この製品の使用例として挙げられるのが、まさに発想の勝利ともいえるAmazon Dash Buttonです。この装置は、基本的にはタクタイルスイッチにWi-Fiが付いたものです。コーヒーなど消耗品の近くに置いておき、コーヒーがなくなったときにボタンを押すと、そこから直ちにアマゾンへの注文が送信されます。残念なことに、Europeでは今のところ使用できませんが、早く使ってみたいですね。
(TE Connectivityのスタッキングコネクタ)
ホームオートメーション市場に出回っている機器はほとんどが大型で、「壁のニキビ」の一因となっています。こうしたデバイスの小型化を促進するような動きは今のところありませんが、あるクラウドサービスのプロバイダにより、従来の半分の大きさのスマート電源コンセントを製造してほしいというリクエストが出ています。これは難しい問題をはらんでいます。すなわち、物理的な制約の中で、どうやってすべての機能要求を満たすかという問題です。TEは、インターコネクト機器でこの問題の解決をサポートできます。その1つは、基盤対基盤コネクタのシリーズです。0.4mmのスタッキングコネクタは低プロファイルの2列コネクタで、さまざまなポジション構成が可能です。さらにピッチ間隔が大きいデバイスが必要であれば、スタンダードなAMPMODUピンヘッダソケットはいかがでしょう。2.54mmピッチで、複数のポジション構成が可能です。部品数を減らしたい場合は、TEの基板対基板接続用コンプレッシブコネクタを検討してみてください。片面のコネクタで、接触バネを使って隣接する基板上のパッドに接続し、2Aを導電します。2~10のポジション構成が可能です。
(TE ConnectivityのFPCコネクタ)
ディスプレイはHMI (ヒューマンマシンインターフェイス)の役割を担いますが、そのファインピッチフレキシブル回路は基板に接続する必要があります。TEのFPCは、0.25~1.25mmのピッチ範囲内で様々なポジション構成が可能です。組み立て工程を考慮し、LIF (低挿入力)又はZIF (ゼロ挿入力)のいずれかのタイプを選ぶとよいでしょう。ホームオートメーション製品では、一般的に電線は使用されません。例外的に、バッテリを接続したりワイヤアンテナが使われていたりする場合ありますが、その場合は電線対基盤接続が必要です。ここで理想的なのが、かん合後の高さがわずか1.4mmしかない、Micro SLPコネクタやAMPSLIMコネクタです。この接続方法だと、ケーブル部分を別に作っておいて、リフローはんだ付けでコネクタのかん合部を基板に取り付けることができます。ケーブルを基板にはんだ付けするよりも、かん合部を短時間で簡単に留めることができるため、製造工程で時間とコストを節約できます。
ホームオートメーション向けの革新的な製品は、日々生み出されています。そして同じ数だけ、革新的な部品も必要とされています。ここまで、TEの多彩な電子部品ポートフォリオをご紹介してきましたが、新興技術を補って実用へと結びつける我々の製品の魅力をすべてお伝えできたとすれば幸いです。私は、この市場が今後どのように発展していくのかが楽しみでなりません。我々の想像力さえあれば、どんなものでも生み出せるのですから。