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昨年末、Dragino製LoRa IoTスターターキットの販売がアールエスコンポーネンツで開始された。今回、このスターターキットを、LoRaWANのデファクトスタンダードであるThe Things Networkを利用して試していこう。
昨年アールエスコンポーネンツが取扱いを開始したばかりの「LoRa IoTスターターキット」を手に入れることができたので、今回はまず、これで何ができるか紹介しよう。
具体的なセットアップの手順はパート2以降を参考にしてほしい。
最後に、キットを応用してどんなことができるかもお見せしよう。
また補足で今年1月31日~2月1日に開催されたThe Things Conferenceについても取り上げている.
LoRa/LoRaWANとは?
ここ最近で、皆さんは「LoRa」もしくは「LoRaWAN」という単語を聞いたことはないだろうか?
LPWA(Low Power Wide Area)技術の一つであるLoRaWANはここ数年注目を集めている大規模IoTネットワークの構築を助けてくれる規格の一つだ。
LoRaはLong Rangeの略であり、その名の通り都市部では2km、見通しの良い場合は10km程度の1対1での通信を実現する「無線技術」だ。無線の規格(変調など)には今回深くは触れないので各自興味がある人は調べてくれると良いだろう。
これに対して、よく混同されてしまうのがLoRaWANであるが、LoRaが「無線技術」であったのに対して、LoRaWANは大規模ネットワーク構築を実現するプロトコルと考えることができる。こちらも細かい仕様は触れないでおく(LoRa Alliance:https://lora-alliance.org/ を見てほしい)。
全体のイメージは次のような感じだ。大まかに理解してくれればよいだろう。
LoRa IoT スターターキット
昨年末、Dragino製LoRa IoTスターターキット(RS品番:2552247958)の販売がアールエスコンポーネンツで開始された。Dragino社はオープンソースのLoRaに関係する機器を多くリリースしている企業であり、今回のスターターキットにはDragino製のデバイスとして小型の送信端末とゲートウェイが含まれている。
日本ではDragino社が製造しているLoRaデバイスのサポートの大部分は株式会社Openwave(http://www.openwave.co.jp/)が行っている。Openwave社はQiitaやGithubなどに様々な例などを紹介してくれているので、キットを試したい方はこちらも一度ご覧になると良いだろう。
アールエスコンポーネンツの販売サイトではデータシートの項目でOpenwave社のドキュメントが入手できる。なおこちらはLoRaを利用した簡単なデモとなっている。
スターターキットには以下のものが含まれている。
- (O)LG01-P-JP → LoRaゲートウェイ
- LoRa Mini Dev-JP (LoRa Mini) → LoRaデバイス 2台
- DHT11 (温度湿度センサー) 2台
- その他ケーブル
スターターキットが入っている箱
スターターキットの中身(ゲートウェイ1台、デバイス2台、センサ2つ)
デバイスにセンサを取り付けた様子
ゲートウェイ
スターターキットで何をしよう?
今回はLoRaWANを提供しているThe Things Networkを利用してスターターキットを試してみる。
The Things Network(TTN)は世界においてデファクトスタンダードともいえるLoRaWANのサービスを提供している情報共有プラットフォームであり、LoRaアライアンスの一員だ。日本語版のページも用意されている。以下からアクセスできる。
https://www.thethingsnetwork.org/country/japan/
このサイトのマップから、世界中様々な地域に設置されているLoRaゲートウェイの位置を確認することもできる。日本を見てみると、こちらの記事の執筆時には55個のゲートウェイが日本に設置されており、16ものコミュニティが存在することもわかる。是非お近くのゲートウェイも確認してみたらよいだろう。
今回、スターターキットとTTNを利用した全体のイメージはこんな感じだ。
LoRa Miniに取り付けたセンサーで大気の温度と湿度を計測し、LoRaでゲートウェイへとその情報を送信する。ゲートウェイはその情報を受け取るとすぐにTTNへと送信するイメージだ。「Application」にてデータの確認ができればOK。
また今回深く掘り下げないが、「Integration」と呼ばれるTTNの機能でその他サービスへとつなげることもできる。
完成イメージ
最終的にTTN上でこのように湿度と温度の値が取得できるところまで試そう。
Integration機能を利用すると、例えばこれらのセンサ値の可視化や、異常な温度を検知した場合にメールで通知を行うなど、まさにIoTな用途を実現できる。
ここでは温度と湿度の値を可視化し、さらに温度が28度以上の場合にアラートを通知する例を挙げている。グラフの描画には、IoTアプリでよく利用されているAllThingsTalkを使った。またアラート通知のデモではMicrosoftのAzure Functionsを利用して作成してみた。パート2の記事では、少しこれらについても触れようと思う。
次に
今回はLoRaスターターキットの簡単なイントロダクションを行った。LoRaもしくはLoRaWANについて詳しくない人でも、少しは理解を深めることができたら良いだろう。
実際にデバイスのセンサーの値を取得して確認するまで7つのステップが必要だ。
- TTNアカウントの作成と言語の設定
- LoRaゲートウェイをインターネットに接続
- TTNへゲートウェイを登録
- LoRaゲートウェイをLoRaWANサーバーと接続
- TTNへデバイスを登録
- デバイスのプログラミング
- データの確認
次回のパート2以降の記事では、具体的なデバイスのプログラミングやゲートウェイの設定などを行っていこう。
パート2はこちら(ゲートウェイの用意)
パート3はこちら(ノードのプログラミングとTTNでデータの確認)
AllThingsTalkでデータを可視化する方法
(補足) The Things Conference 2019開催
今回キットを試すThe Things Network(TTN)が主催するThe Things Conference 2019がオランダのアムステルダムにて1月31日と2月1日の2日間開催された.カンファレンスでは,LoRaWANに関する最新の事例などの情報交換を行うなど,まさにLoRaWANのトップカンファレンスとなっている.
https://www.thethingsnetwork.org/conference/
LoRa/LoRaWANの商標を持っているSemtech社やプロトコルの仕様を公開しているLoRa Allianceを初め,IoTプラットフォームを提供するMicrosoftやAWSも協賛している.
またカンファレンスではLoRaWAN向けのTTNのプロトコルStackの最新版であるバージョン3が公開された.
簡単にサーバーを動かすことのできるDockerのymlファイル(設定ファイル)も公開されており,LoRaWANの開発者は一度以下の最新版のプロトコルStackに目を通してみてはいかがだろうか.
https://github.com/TheThingsNetwork/lorawan-stack
現在記事を鋭意作成してもらっているので,続報を待ってほしい.
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The Things Conference 2019レポートはこちら
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