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昨年末、Dragino製LoRa IoTスターターキットの販売がアールエスコンポーネンツで開始された。今回、このスターターキットを、LoRaWANのデファクトスタンダードであるThe Things Networkを利用して試していく。パート2ではLoRaゲートウェイをTTNに登録する手順を紹介しよう。また、最後にコミュニティについても簡単に紹介する。
パート1では「LoRa IoTスターターキット」の紹介を行った。スターターキットや、キットで何ができるかといった紹介を行っているので、まだ読んでいない人はこちらも合わせて読んでほしい。
パート1はこちら
パート2では実際にThe Things Network(TTN)でセンサのデータを収集するためのLoRaWANサーバーへとゲートウェイを登録するための手順を紹介しよう。まずは全体像の確認からだ。
パート1の記事でも話したが、今回試す全体像はこんな感じだ。実際にTTNのApplicationにセンサのデータが届くか確認したい。今回はそのために必要なゲートウェイの設定を行っていこう。
Openwave社がDraginoのデバイスとゲートウェイをTTNへつなぐマニュアルを公開している。
https://www.thethingsnetwork.org/community/yokohama/post/ttn
本記事はこのマニュアルを補足していく形になっているので、もし何かわからないことなどがあれば一度マニュアルにも目を通していただきたい。
では早速やっていこう。必要となる全体の手順は次の7ステップだ。今回はこの4.まで紹介する。
- TTNアカウントの作成と言語の設定
- LoRaゲートウェイをインターネットに接続
- TTNへゲートウェイを登録
- LoRaゲートウェイをLoRaWANサーバーと接続
- TTNへデバイスを登録
- デバイスのプログラミング
- データの確認
1. TTNアカウントの作成と言語の設定
TTNのログインページ(https://account.thethingsnetwork.org/users/login)にアクセスし、下にある「Create an account」からアカウントを作成する。
必要に応じて、アイコンや言語設定、一言(Tagline)、Twitterアカウントなどを変更してほしい。
なお、一般公開されるのはログイン時のIDであることに注意してほしい。
登録するとこの様に見える。もしゲートウェイを持っている場合は画面下に自身のゲートウェイの位置情報が見えるようになるはずだ。
ここで自分のアイコンからConsoleを開き,右上の自身のアイコンから言語設定を変更しよう。
Settingsを開くと,Languageで日本語を選択できる。これでコンソール画面が日本語表記になったはずだ.
2. LoRaゲートウェイをインターネットに接続
ゲートウェイについての詳しい資料は以下のOpenwave社が公開しているものが参考になる。必要に応じて参照してほしい。
http://www.ibeacondo.com/download/LG01_LoRa_Gateway_Manual_JP.pdf
まずスターターキットにあるゲートウェイを設置する場所を決めて、ACアダプタを接続して電源を入れる。このゲートウェイは最初通常のWiFiルーターのようにアクセスポイントになるので、ノートパソコンなどからこのWiFiへ接続する(もちろんインターネットにはつながらないので注意すること)。
アクセスポイントは「dragino2-xxxxxx」のように見えるはずだ。
ウェブブラウザを開いて、アドレスバーに「10.130.1.1」を入力するとこのゲートウェイのログイン画面が見える。
Openwave社のマニュアルより
ここでUsername/Passwordとしてroot/draginoでログインする。
---注意---
最初にLoRaゲートウェイのバージョンがIoT-4.3.2以下の場合は、マニュアル(http://www.ibeacondo.com/download/LG01_LoRa_Gateway_Manual_JP.pdf)に従ってファームウェアを更新してほしい。バージョンの確認はStatus>Overviewからできる。
次にゲートウェイをインターネットに接続する。有線LANを利用している場合は、本体にある「WANポート」へLANケーブルを接続すればよい。
ゲートウェイを、WiFiを利用してインターネットへと接続する場合はこのウェブ画面上部の「Network」→「Internet Access」を開く。
一番上の選択項目「Access Internet Via」から「WiFi Client」を選択。現在自身が利用している環境のWiFiのSSID、暗号化方式、パスワード、IPアドレス割り当て方法(わからない場合はDHCPに)を入力する。
うまくネットワークの設定を行うと、先ほどまで見えていたアクセスポイントが見えなくなるはずだ。その場合、利用しているネットワーク内部の別のアドレスが割り当てられているはずなので、スマホアプリの「Fing」などを利用して「dragino-xxxxxx」というデバイスのIPアドレスを探そう。これが分からないと後からLoRaWANサーバーとの接続の設定ができないので注意が必要だ。
無事にIPアドレスが判明したら、再度webブラウザからそのアドレスへとアクセスして、Status>OverviewのページのNetworkから以下のように接続が成功していることを確認しよう。
これで現在接続しているネットワーク内のIPアドレスもわかる(この例では192.168.1.111が割り当てられている)。
また、ゲートウェイの裏面に記載されているWiFiインタフェースのMACアドレスについてメモしておこう。
3. TTNへゲートウェイを登録
次にLoRaゲートウェイをTTNに登録する。ここからはTTNのwebページ上の操作になる。
TTNにログインした状態で、ページの上にある「CONSOLE」を開こう。
以下のように「APPLICATIONS(アプリケーション)」と「GATEWAYS(ゲートウェイ)」が見えるはずなので、今回は「GATEWAYS(ゲートウェイ)」を開く。
「+register gateway(ゲートウェイを登録)」でゲートウェイの登録を開始する。
以下のゲートウェイ登録画面が表示されるはずだ。
これらを以下のように設定していこう。
- 「I’m using the legacy packet forward」にチェックを入れる
- Gateway EUI(ゲートウェイID)
- ゲートウェイ裏面のWiFiインタフェースのMACアドレスを確認し、4バイト目と5バイト目に「FF」を追加したものを入力する。例:A1 40 48 FF FF xx xx xx
- Description(記述)
- 自分にとってわかりやすい説明を記載しておく
- Frequency Plan(周波数計画)
- 「Asia 923-925MHz」を選択
- Router
- 「ttn-router-asia-se」を選択
- Location(場所)
- 画面内に表示されている地図から、実際に設置した場所を選択する。このとき表示される緯度と経度(lat, lng)を控えておく。
- Antenna Placement(アンテナ代替え)
- Indoor(インドア)を選択
きちんと入力したことを確認したら、「Register Gateway」をクリックして登録をする。
登録後、"登録したゲートウェイ">Settings(設定)>Information(情報)より、以下のように設定しておく
この設定は公開されることに注意しよう。
これでTTNへのゲートウェイの登録は完了となる。しかし、実際にここで作成したゲートウェイと、実際のゲートウェイを接続する必要がある。次にもう一度手元のゲートウェイの設定画面に戻り、LoRaWANサーバーの設定を行っていこう。
4. LoRaゲートウェイをLoRaWANサーバーと接続
次にゲートウェイをLoRaWANで利用するための設定を行っていく。
インターネットへと接続設定した状態ではアクセスポイントがオフになっているはずなので、接続しているネットワーク内のアドレスへとアクセスする必要がある。
メニューのSensor>IoT Serverを開き、以下のようにIoT ServerにLoRaWANを選択し、「Save&Apply」で設定を保存する。
Openwave社のマニュアルより
さらにメニューのSensor>LoRa/LoRaWANを開くと、以下のような設定画面が出るので、次にこれらを設定していこう。
Openwave社のマニュアルより
LoRaWANサーバーの設定について
- Server Address
- 送信周波数と関係があるので注意する。「router.as2.thethings.network」と入力。
- 利用する周波数などとの関係についてはこちらを参照してほしい。
- Server Port
- 1700
- Gateway ID
- TTNで設定したGateway EUIと同じものを入力(空白は除く)
- Mail Address
- ゲートウェイの管理者のメールアドレスなど
- Latitude
- TTNで設定したゲートウェイのLocationにおけるlatの値
- Longitude
- TTNで設定したゲートウェイのLocationにおけるlngの値
利用する周波数設定について
- TX Frequency
- 例:923400000
- ゲートウェイがLoRa通信でメッセージを送信する際の周波数
- RX Frequency
- 例:923200000
- ゲートウェイがLoRa通信でメッセージを受信する際の周波数
- Encryption key
- 設定不要
- Spreading Factor
- 例:SF10
- ゲートウェイがLoRa通信でメッセージを受信する際の周波数
- Transmit Spreading Factor
- 例:SF9
- ゲートウェイがLoRa通信でメッセージを送信する際の周波数
- Coding Rate
- 4/5
- Signal Bandwidth
- 125kHz
- Preamble Length
- 8
設定するときには周波数とSpreading Factorの値について十分注意してほしい。これらに設定ミスがあると送受信やTTNサーバーとの接続に問題が起こり、データがきちんと取得できない可能性がある。
次に、LG01-JP 上の LoRa モジュールの MCU を書き換える。こちらからバイナリファイルをダウンロード(single_pkt_fwd_v003.hex)。ダウンロードののち、「Sensors」→「Flash MCU」を開く。「ファイルを選択」をクリックし、先ほどダウンロードした single_pkt_fwd_v003.hex を指定、その後「Flash Image」をクリック。
これでLoRaWANサーバーと通信するための設定は終了となる。うまくいけばTTNに登録した自身のサーバーが「Connected」の状態になっているはずなので、一度確認してみよう。
この状態になると、以下のようにマップにも表示されるようになる。
これでTTN上に皆が利用可能なTTNのLoRaゲートウェイとして登録できた。
次に
今回、スターターキットに含まれているDragino製のLoRaゲートウェイであるLG01ゲートウェイの設定を行った。
この設定を行うことで、実際にお使いのゲートウェイをThe Things Network(TTN)へと登録でき、誰でも使うことのできるパブリックなゲートウェイとなる。以下から現在登録されているゲートウェイを確認することが可能だ。是非お近くのゲートウェイがあるか確認してみよう。
https://www.thethingsnetwork.org/map
さらにThe Things NetworkではローカルでのLoRaWAN開発向けのコミュニティも提供している。日本でのコミュニティにはYokohamaを始め、既に16ものコミュニティがある。開発者やメイカーの方々もコミュニティへの参加を検討してみたらよいだろう。
https://www.thethingsnetwork.org/country/japan/
次回のパート3の記事では実際にデバイスをTTNへ登録し、プログラミングを行って温度と湿度のセンサデータをTTNへと送ってみよう。
パート3はこちら
パート1はこちら
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