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この記事では、軍の放出品や、他の電気機器(通常は車両搭載用)で使用されるような、60A超えの高電流 DC 電源を組み立てる方法をご紹介します。
最近同僚が、28V DC電源を使用して、3相で、115V 400Hz を出力する、航空機用ロータリー インバータの制御システムを製作しています(これまでの進歩状況はブログ記事の パート 1 とパート 2をご覧ください)。課題の1つとして、インバータが28Vの時に約44A消費するため、かなり大きなDC電源が必要になることが挙げられます。この記事では、軍の放出品や、他の電気機器(通常は車両搭載用)で使用されるような、60A超えの高電流DC電源を組み立てる方法をご紹介します。
幸いなことに、たまたま2つの TDK-Lambda SWS1000L-24 (680-2852) スイッチング電源が余っていました。19.2~28.8V出力に設定でき、並列配線が可能なタイプです。それぞれの定格電力は1056Wなので、この構成ではこれを2倍して0.9を掛けた並列構成の合計となり、今回の目的に十分であると言えます。
SWS600/SWS1000L シリーズ
TDK-Lambda SWS600/SWS1000L シリーズの電源は、以下の機能を備えています。
- ロープロファイル
- Active PFC(力率改善回路)
- ユニバーサル入力方式 (85~265VAC)
- 入力過渡保護 IEC61000-4
- 低騒音
- 検査証明書 (SWS1000L)
出力定格600WのSWS600Lと、1000WのSWS1000Lで、それぞれ5V、12V、15V、24V、36V、48V、60Vモデルが用意されています。また、出力定格396W、660Wでそれぞれ3.3Vモデルも販売されています。
便利なことに、最大 5 台の電源を並列に接続して、出力電流を増やすことができます。また、直列接続も可能で、過電圧、過電流、温度保護に加え、リモートセンシング、オン/オフ制御、アラーム信号出力などの追加機能も備えています。
機能
今回の目的は、私のラボ機器コレクションに加えることのできるような、安全で、実用性があり、堅牢なソリューションを生み出すことでした。電源を 19インチのラックマウントエンクロージャに収めることに決め、Schroff 製 3U 460mm 深型 MultipacPRO エンクロージャ (2550487120)と、オプションの固定用シャーシプレート (721-2935) で、主要コンポーネントを固定することにしました。追加することにした、他の主な機能は以下になります。
- 出力電圧、電流の計測
- 出力保護用ブレーカー
- 出力オン/オフスイッチ(メイン入力スイッチのほかに1つ追加)
- MIL 標準コネクタを介した、4口の出力ポート
- 入力側の追加EMCフィルター
EMCフィルターに関して、旧式の 400Hz ロータリーインバータのような、電気的にノイズの多い負荷を駆動する可能性があるため、予防措置として最適であると考えました。
組み立て
金属加工は同僚のデイブ・アイブズ(Dave Ives)に任せました。ここでは、エンクロージャの準備の際に取った手順の概要を私がまとめます。
まず始めに、エンクロージャを組み立て、シャーシプレートを完成させました。次に、内部の部品をシャーシプレートに取り付け、レーザカットされたMDFを使ってフロントパネルを試作しました。写真からわかるように、電源とDINレール端子が大部分を占めるため、100A MCB (043-5352) 用のカスタムマウントブラケットと、パネルメーター用の 100A プレートシャント (392-8399) を製作する必要がありました。ブラケットは5mm厚のアクリル板からレーザカットされたもので、両端には、エンクロージャの側面パネルにあるレールに合わせて溝が刻まれています。
パネルのレイアウトが決まれば、小さな穴をあけることができます。
この大きな穴は、油圧パンチであける必要がありました。
角型パンチがなかったため、パネルメーター用の2つの穴に関しては、チェーンドリルで穴をあけて、やすりをかけました。その間、レーザカットされた2枚の MDF テンプレートでアルミをしっかりと固定して、ガイドとして使用しました。とても時間がかかる作業でした。
4つの出力には、定格80Aの2極丸形MIL規格コネクタを使用しています。
電流バランス
電源には、PCとJSTコネクタのCOMピンを電源間に配線することによって可能となった、電流バランス機能を搭載しています。ただし最初に、各電源の電圧出力ができるだけ近くなるよう調整し、片方への負荷がもう片方よりも大きくならないようにすることも重要です。
配線
電源出力を、16mm2の赤色 (516-8038) と黒色 (516-8016) のケーブルで配線しました。それぞれのPSUのプラス端子を100Aシャントで、マイナス端子を適切な規格のDINレール端子で接続しました。
ケーブルハーネスに、4つのJSTコネクタ(それぞれの PSU に 2 つずつ)を取り付け、出力を制御するフロントパネルスイッチと、アラーム用の2つの赤いインジケータ (666-7334) を接続しました。また 、PSUには常時電源が入っている、12V/0.1Aの補助電源が装備されています。これは、アラーム出力がオープンコレクターであるため、2つのインジケータに電源を供給する際に使用しました。仕様上10mAまで対応しているので、電流を限界まで制限するための抵抗を選択しました。
配線は、スイッチ/インジケータの端において、Dymo熱収縮チューブ (515-6798) でラベル付けされています。
配線後、特に16mm2ケーブルを使用する場合は、残りのスペースがどれほど少ないかに驚きます。また、抵抗値を厳密に整列させるために、各電源からのケーブルを同じ長さに保ち、結果的にケーブルのうねりがなくなっていることにも注目してください。
テスト
電源を入れると、すべて期待どおりに機能したように見えました。しかし、2つのアラームインジケータだけは、点灯すべきではないであろう時に点灯していました。ここでは、PSUのファンが作動して出力が有効になっていたため、アラーム出力を反転させる必要があるということにすぐに気づくことができました。また、オプションの1つとして、2つの赤いインジケータを緑に変更し、「PSU OK」 をより明確に示すことができる、というものが考えられました。
まとめ
最後に、上下に通気性のあるカバーと、オプションのフロントハンドル (469-1307) を取り付けました。最終的にはすっきりとした仕上がりで、今回のプロジェクトは満足できる結果となりました。作業には当初の予想よりもやや時間がかかりましたが、少なくとも今この時点で、今後のプロジェクトに十分対応できる PSU となったことは非常に良い結果となったでしょう。
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