こちらの記事について、内容・翻訳・視点・長さなど、皆様のご意見をお送りください。今後の記事製作の参考にしたいと思います。
Thank you! Your feedback has been received.
There was a problem submitting your feedback, please try again later.
こちらの記事の感想をお聞かせください。
産業機器制御開発に必要な制御キットと体系化されたチュートリアルが提供されています。機器同士のインターフェース接続方法や、エッジ処理、強力なデバイス管理機能などとともにIIoTアプリケーションの開発が手軽に始められます。
インダストリー4.0は、製造業をはじめとした幅広い産業界において、効率と品質を飛躍的に向上させるものですが、同時にいくつかの課題も生んでしまいます。多くの場合、既存の機械を改造し、長い年月をかけて確立してきた旧来の企業システムと統合させなければならず、設備投資やスキル、プロセス面それぞれに多額の投資が行われます。こういった投資は、何年もかけて取り戻さなければなりません。
このように、インテグレーション技術においては柔軟性と使い勝手の良さがきわめて重要になってきます。多様なセンサと接続可能であり、熟練の組込みシステム開発者なしに実装できるべきです。ここがZerynthプラットフォームの特に魅力的な点で、非常に人気なプログラミング言語であるPythonをベースとした、堅牢なプラットフォームの提供において、優れたデバイスサポートや強力なSDK、統合されたクラウドAPIを備えています。
産業用IoTキット (219-6059) は、付属の教材やビデオによってサポートされています。また、 Zerynthプラットフォーム上に構築され、すぐに動作させるために必要なものすべてを提供し、Industry 4.0の能力を新旧どちらの機器にもかかわらず、統合することが可能です。
キット内容
4ZeroBox
この4ZeroBoxがIIoTキットの心臓部になります。DINレールに取り付け可能な筐体に、32ビットの WiFi対応マイコンと、幅広い I/Oやモジュール拡張を搭載しています。
主な特徴:
- ESP32マイコン(240MHz、16MB Flash、512KB SRAM)
- 産業級センサチャンネル付きDINレール取り付け可能ケース
- Wi-Fi、イーサネットに対応
- ローカルデータ記録用SDカード
- LoRa、CAN、RS485、RS232をサポートするカスタマイズ可能なソリューション
- 高度なセキュリティ接続のためのATECC608A暗号化
上記のピンマップから、開封してすぐに使用できるI/Oには、フォトカプラ入力やリレー出力、ADC、CANバス、デジタルI/O、RS-485、RS-232、4~20mA / 0~10Vのアナログ入力があることがわかります。また、イーサネットポートもあり、これに基づいたプロトコルで使用可能で、2か所のMikroBUSスロットは、将来的に拡張する際に使用可能です。例えば、センサモジュールや、追加のADC、カスタムモジュールなどが挙げられます。
同梱物
このキットには、開封後すぐに動かしてみたい場合に非常に有用なセンサが付いてきます。上の写真にはリードスイッチが写っていますが、例えばこれは、機械の保安状態を遠くから確認したい際に使用することができます。また、USB/RS-485ドングルもありますが、これは、素早く開発を進めるための補助として、PLCや他の産業デバイスをPC上でシミュレーションする際に便利です。右側にあるのは温度プローブで、加工温度や、モータをはじめとした重要な機械部品の温度測定に使用できます。
流行りのIIoTでの使用例として挙げられるのはエネルギーの測定で、エネルギーコストの削減だけではなく、より詳細に機械の状態を分析し、予知保全に役立てることが可能になります。こういった目的のために変流器 (CT) が提供されており、迅速で低侵襲の据え付けを促進します。
電源も、ターミナルのセットに含まれています。あとは単体のDINレールを用意するか、すでに機械に取り付けられているDINレールにPSUと4ZeroBoxを取り付けるだけで、このキットを使い始めることができます。
コース教材(チュートリアル)
キット購入後にDesignSpark経由で登録を済ませると、コース教材へのアクセス権が与えられます。コースはリファレンスガイドに沿った16本の動画で構成されています。
入門と基本
最初の3回のレッスンはIIoTや Industry 4.0についての入門といった内容で、その後4ZeroBoxの紹介があり、Zerynthソフトウェアの設定や、VSコードエディタでのプロジェクト作成と構築、4ZeroBoxにアップロードする手順の説明が続きます。
産業用機械とのインターフェース接続
コースの次のセクションでは、デジタルとアナログのインターフェース接続やRS-485についてのレッスンが3本あります。後者にはModRSim2を使ってModbusデバイスをシミュレーションするという内容が含まれています。
このセクションの4回目のレッスンでは、Industry 4.0でカギとなるエッジ処理について、低遅延や、通信とリモートクラウドプラットフォームのより効率的な使い方、これらへの依存性を提言することで得られる大幅な耐障害性など、多くの利点を紹介します。
Zerynthでの高度なプログラミング
より高度なZerynthプログラミングのみを扱ったレッスンが合わせて3回分あり、SDへのデータ保存や、タイマー、スレッド、ウォッチドッグ、TSlogなどについて詳しく解説しています。Zerynthタイムシリーズログ (TSLog、時系列ログ) は、単純にSDにデータを保存するのではなく、バケットと呼ばれる入れ物に入った固定長レコードで構成、記録されています。つまり、センサからのデータのような、時系列に並べられたデータを保存、取得する際にはるかに手際がよく、堅牢なメカニズムになっています。
クラウドサービスの統合
このクラウドサービスコースは5回のレッスンで構成されていて、初回はZerynth Device Manager(ZDM)入門編となっています。その後、データストリームやジョブ、制御アクション、条件といった概念の説明があり、最終的には 無線通信 (OTA)アップデートについて解説します。
ZDMは、Zerynthテクノロジースタックの中でも特に強力なコンポーネントで、あらゆるデバイスを任意のクラウドプラットフォームへ接続可能にします。また、安全なオンボーディングとプロビジョニング、 FOTAデータアップデート、データ管理、アラーム管理などが可能になります。
Zerynthストレージとダッシュボード
コース最後のセクションは1回のレッスンで構成され、クラウドデータベースに加えて、可視化プラットフォームが統合されたZerynthストレージとダッシュボードについて考察しています。ローカルでの処理実行後、データをZerynthクラウドに保存することが可能で、グラフやダイヤル、表など、様々な方法で表示できます。
まとめ
Zerynthプラットフォームは、使い勝手の良さと強力な機能を備えており、さらに、IoTキットとコースがこれらの機能に基づいて提供されているため、IIoT機能の統合をすぐに始めることができます。この製品は、遠隔での安全や故障の監視、予知保全、プロセス最適化から、本格的なデジタルツインの作成まで、あらゆる可能性を秘めています。
コメント