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2018年2月1日~3日の3日間、オランダ・アムステルダムで開催されました「The Things Conference」の参加レポートです。

「The Things Converence」とは、LPWAネットワークサービス「TTN(The Things Network)」に関する国際イベントです。TTNは、LoraWAN 上に構築されたネットワークサービスの一つで IoT向けのネットワークとして世界中で急速に普及が進みつつあります。 

 私は、昨年2017年10月より この TTN Japanのアンバサダーを担当させて頂いており、このTTN 主催のグローバルイベント「The Things Conferencce」に参加する運びとなりました。

 今回「The Things Conference」の目玉はなんといってもLoRaテクノロジーの産みの親の一人であるNicolas Sornin氏のゲスト登壇でしょう。フランス Cycleo社のエンジニアだった彼は世界に先駆けてLoRa方式に着目し、8年の歳月をかけてLoRa無線変調技術とそのチップを開発しました。

その後、同社やその技術を買収した米国半導体メーカーSEMTECH社の元で、CISCOやIBMといった巨大企業を巻き込み「LoRa Alliance」 を組織化しLoRa普及を牽引しています。LoRa Allianceサイトで公開されている LoRaWAN Specification の著者の欄(下画像の左下)には彼の名前が最初にクレジットされています。 

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 そしてここにはもう一人の産みの親でもあるThorsten Kramp(IBM)氏の名前も見ることができます。当時 IBMスイス・チューリッヒ研究所員だったDr. Thorsten Krampは LoRaをArduinoで使うためのArduinoシールド「LMiC(LoRa MAC in C)」の開発とオープンソース化を行い、さらにMQTTを拡張させたIBM LRSC(Long Range Signaling and Control)システムを創り出しました。その後これら技術を世界に先駆けて採用し事業化した通信キャリア KPN社や、草の根LoRaWANコミュニティ普及に貢献してきた「The Things Network(TTN)社」の本拠地のあるオランダは 、一躍 LoRaWANインフラの世界最先端国となったのは有名な話です。まさに前途の二人の協力体勢がなければ LoRa はここまで普及しなかったとまで言われています。そのうちの一人の登壇ということで本イベントへの期待に胸が高まりました。

 2月頭、「The Things Conference」が開催されるオランダ アムステルダムの天候は曇り時々雨。気温が低くなるとみぞれが降るという肌寒い天候でした。アムステルダム中心地から最近引っ越したThe Things Networkの本社は、企業誘致の再開発地域、街中心地アムステルダム・セントラル駅から徒歩約25分程に位置しています。アムステルダム住民はとにかく自転車通勤が多いのです、街の至るところに自転車専用道路があります。(下写真左)

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「The Things Conference」会場の入り口、欧州市場のスタートアップ企業60社以上に投資しているベンチャーキャピタル Rockstart本社が奥にあります。初日、オープニングセレモニー前に会場内にある全てのモニターでは、下記販促ビデオが流れていました。


今回の「The Things Conference」セミナーは、完全有料制で349€、499€、799€の3種類のチケットを購入する必要があります。会場入口には、3台のiPadで事前登録内容を確認して入場します。会場に入ると正面には、下記壁面でLoRa関連商品の展示(Wall of Frame)がおこなわれていました。

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日本からは、SAFECASTJAPANのガイガーカウンターモニター商品が壁に展示されていました。その他、SAFECASTのLoRa対応環境モニターが特別な棚の上に飾られていました。今回の「The Things Conference」の2日目キーノートでSAFECASTのRepresentative  Directorの Peiter Frankenさんがスピーチを行うことになっていました。

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*SAFECASTのLoRaモジュール対応環境モニタリングセンサー装置
 https://safecast.jp/

2月1日、イベント初日のKEYNOTEスピーチ会場は超満員でした。

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およそ500人キャパのメイン会場は立ち見もでる満杯状態。私は、メイン会場に入れず隣接するサブ会場で中継モニターを通して見ていました。(もう少し早く会場に来るべきでした!こんなに人が大勢いると想像していませんでした)

サブ会場も満杯状態で、一番後ろの席でiPadで動画を録画しました。

 オープニングセッションでTTNのCEO Wienke Geizemanがスピーチをすると拍手喝采となりました。その後すぐにLoRa無線変調技術を発明した Nicolas SorninがKEYNOTEスピーチ。会場に来ている参加者は、LoRaWANエキスパートが多いので、彼の存在は有名。Nicolas Sorninがスピーチをし始めた途端、場内の空気が張りつめたようにシーンとなりました。

  私もNicolas SorninがLoRaの将来について何を考えているか?興味深く今回KEYNOTEスピーチを視聴することができてとても有意義でした。

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 *Nicolas Sorninとの2ショット!

 

初日の「The Things Conference」の様子をダイジェストでYoutubeのTTN動画ページでご覧になれます。

 

「The Things Conference」のKeynoteスピーチは、合計58コマ。500人が収容できるメイン会場と200人ほど収容できるサブ会場にわかれています。会場中央にあるオープンスペースでは、数コマのWORKSHOP形式でテーブルを数人ほどで参加メンバーが囲み、自分のPCを持ち込み、それぞれの専用LoRaノードでTTNサイトにアクセスして講習をしていました。

  初日のみメイン会場に入る前の待ちあわせ室でLoRa関連企業10社ほどのが、小さなテーブルの上で自社商品やサービスを売り込み商談していました。初日の会場内は身動きがとれない満杯状態でした。

 「The Things Conference」会場のオープンスペースでWORKSHOPテーブルを展開していたスポンサー企業をご紹介します。

1. SEMTECH

LoRa無線技術の総本山企業。何故かテーブルには、スイッチに有線LAN接続されたRasberry PiとUSBポートに接続されたLoRaノードモジュールがつながれていました。TTNとSEMTECHの共同教育普及事業でもある- LoRaWAN Academyのパンフレットも置かれていました。
 http://lorawanacademy.semtech.com/

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*SEMTECH社テーブル、複数のRasberry PiにUSBポートにLoRaノードモジュールが接続
 
2.  MURATA
 
日本の村田製作所のWORKSHOPテーブルでは、ARMベースの自社開発LoRaチップが搭載されたSTMicroelectronics製のLoRa開発モジュール STM32を使い、既に納入実績のある環境モニターの講習がおこなれれていました。 
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*STMicroElectronics製のLoRa開発 STM32に3Dプリンターでデザインされた鳥型の環境モニター

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3.  MICROCHIP

SemtechがLoRa無線技術をライセンスしているのは2社。1社が前述のSTMicroelectronics社、そしてもう1社が、LoRa無線技術とMCUを組み込んだMICROCHIP社製無線チップRN2483。

MICROCHIPのWORKSHOPテーブルでは、半田ごてを参加者が使い、RN2483に基板の回路設計しながら、自分でノードを開発する講習がおこなわれていました。

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*MICROCHIP社のラウンジテーブルで自社商品をアピール

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4.  RESIN.IO

RESIN.IOのWORKSHOPテーブルでは、中国RAK Wireless製のRasberry Pi用マルチチャネルゲートウェイモジュール RAK831を組み込み、自社IoTプラットフォームを利用しながら、IoTサービスの構築手法を細かく講習していました。 RESIN.IOのプラットフォームは、Semtech子会社myDecies.comが運営するセンサーデータ見える化ツール Cayenneと類似しています。

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*RESIN.IOで利用されていたRasberryPiとRAK Wireless製LoRaWANゲートウェイキット http://www.rakwireless.com/en/WisKeyOSH/RAK831
 
 

5. Amazon

AmazonのAWSチームも今回WORKSHOPテーブルのスポンサーになっていました。TTNでもAWSへのネイティブサポートを強化したためか? TTN純正のLoRaセンサーノード、Things Nodeを数個そろえて、AWS IoTプラットフォームで構築方法を講習していました。

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*TTN純正LoRaセンサーモジュール Things Node (残念ながら、まだこのモジュールは技適取得をしていません)
https://uk.rs-online.com/web/p/sensor-development-kits/1359784/

6. myDevices.com

昨年、Semtech社が買収したLoRaセンサーデータの見える化プラットフォーム会社、myDevices.com。そのサービス名が、Cayenee(カイエン)。センサーデータの正規化には最適で、CayenneのLPP (Low Power Payload)は、国際標準のIPSO Alliance Smart Objectsをサポートしています。
https://mydevices.com/cayenne/docs/lora/#lora-cayenne-low-power-payload

 Cayenneは、TTNとも相性がよくしかも無料で利用ができます。

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*CayenneがサポートするLoRaノードやLoRaWANプロバイダーのリスト

7. The Things Network Viennaコミュニティ

このWORKSHOPテーブルは初日ではありませんが、個人的に10年来の友人である中国Dragino社CEOのEdwin Chenが開発したArduino用LoRa GPSシールドを使ったLoRa GPSトラッキング&マッピングのプレゼンテーションしていたThe Things Network ViennaのStefan Schultheisが説明している様子。

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*Dragino社製Arduino用LoRa GPSシールド  この機種は日本での技適申請は行っていませんが、代わりによりコンパクトにLoRa通信とSTMega328が組み込まれたノードモジュール LoRa miniとコンパクトLoRaWANゲートウェイLG01-JPは技適申請を日本のオープンウェーブが取得して販売中です。
http://www.openwave.co.jp/lorawan/

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*TTNのアカウントがあれば無料で利用できるTTN Mapperとうまく組み合わせている。 https://ttnmapper.org/

8.  Junior IoT Challenge

最終日2月3日は土曜だったため、地元アムステルダムの小中学生がWORKSHOPテーブルで独力でLoRaノードを開発していました。アムステルダム近辺には、LoRaWANゲートウェイが数えきれないほどあるので、TTNのノードとして起動するのはとても簡単。実際にテーブルにいる小学生が、Arduino IDEを使いながらLoRa無線拡散比率を調整しているところを確認できました。日本とLoRaWANネットワーク環境に於いてリテラシーに差があるなと感じました。

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*アムステルダム近辺では、TTNのゲートウェイが数えきれないほど常設されているので、誰でも簡単にLoRaセンサーノードを利用可能

9. 世界各地の著名なTTNコミュニティ

最終日3日目は、コミュニティに目線を置いたディスカッションが行われていました。なかでもTTNコミュニティでそれぞれ100名以上の会員をもつ有名イニシエータ(コミュニティ主催者をイニシエータと呼ぶ)のディスカッションです。舞台左から

・TTN EindhovenのLoma Gouldenさん

・TTN StuttgartのMirko Rossさん

・TTN NYC (New York)のTerry Mooreさん

・TTN  ReadingのMark Stanleyさん

・TTN  HullのClaire Garsideさん

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10.TTN のコアスタッフ一同

後ろ左端がCEO Wienke Geizeman、その右隣がTech Lead(CTO)のJohan Stokking

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最後に昨年末から工学社と進めさせておりましたThe Things Network(TTN)新刊本の発売日が2月9日となりました。これを機会にLoRaWANをみなさんでシェアしてみませんか?

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世界最大のLoRaWANコミュニティ-The Things Networkのアンバサダーをしています。 どうぞよろしくおねいします。 The Things Network Japanサイト ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ https://www.thethingsnetwork.org/country/japan/

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