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ROCKシリーズを使ってみる(3)- ROCK 5BにUbuntuをインストールする

ROCKシリーズの中でもパワフルなSoC「Rockchip RK3588」の搭載されたシングルボードコンピュータ「ROCK 5B」。今回は、セットアップの第一歩としてUbuntuをインストールします。

パッケージ内容

本体のROCK 5Bのボードと取り扱いに関する注意のカードが入っています。

外観

サイズ

サイズは100mm×75mmmとROCK 4C+より少し大きく、だいたい2.5inchハードディスクと同じくらいのサイズです。

インタフェース

ROCK 5Bは高性能SoCを搭載しており、メモリも4GB、8GB、16GB、最大32GBまで選択可能です(調べたところ32GB版はまだ購入できない様子(2023/12/23 時点))。これだけでも十分に強力なシングルボードコンピュータですが、その性能だけでなく、他の面でも優れた点があります。

無線

搭載されているオンボードには無線機能が備わっていませんが、その代わりにM.2 E Keyコネクタが搭載されており、別途無線モジュールを挿入することで無線機能を利用できます。これに関して一部のユーザーが不便さを感じているようですが、オンボードの無線機能が必ずしも技適を取得しているわけではないため、技適未取得の場合は誤って使用しないように注意が必要です。そのため、オンボードに無線機能がなく、代わりに無線モジュールを挿せるスロットが用意されていることは、逆に安心感をもたらす側面があると言えます。

多様なストレージ選択

microSD、SPI フラッシュ(16MB オンボード)、eMMC、MVMe SSD、SATA SSD/HDD(別途SATA HATが必要)が使えます。

ディスプレイ出力が4つ、入力が1つ

HDMIが2つに、USB Type-C、ROCK 5Bの背面のMIPI DSIからディスプレイ出力が可能です。フロントのmicroHDMIは入力です。

前々回の記事からご紹介しているROCK 4C+の上位版だけあって、全体的にアップグレードされており、まとめた点以外にも魅力的なポイントがあります。詳しくはRadxa公式サイトのROCK 5Bをご覧ください。

Radxa ROCK 5B

利用できるOS

ROCK 5Bで使えるOSとしてRadxa公式から用意されているものには以下があります。(2023/12/23調べ)

  • Debian bullseye CLI
  • Debian bullseye KDE
  • Debian bullseye xfce
  • Ubuntu jammy  CLI
  • Ubuntu jammy KDE
  • Ubuntu jammy xfce
  • Android12

ROCK 5 Official Images | Radxa Docs

Debian、Ubuntuのイメージ GitHub radxa-build/rock-5b

Androidのイメージ GitHub radxa/manifests - Rock-android12-20230315

このほかにもArmbian等、サードパーティで使えるOSもあります。

セットアップ

ROCK 5BにUbuntuをインストールします。今回はmicroSDカードへのインストール方法とeMMCへのインストール方法の2つを試します。なお、今回は取り扱いませんが、ROCK 5BはSSDも利用できるため、SSDから起動すればさらなる高速化が期待できます。

用意したもの

電源については、ROCK 5Bの要件を満たしているものを用意したのですが、起動できなかったため手元にあったType-C 5V/4Aを使用しました。

Ubuntuのインストール(microSD編)

1. フラッシュツールのインストール

balenaEtcher(microSDカードにイメージを焼くツール)をインストールします。

https://etcher.balena.io/

ページ内にある「Download」から手元の環境にあったbalenaEtcherを取得して、インストールしてください。

2. インストールイメージをダウンロード

RadxaのGitHubからUbuntuイメージをダウンロードします。

GitHub radxa-build/rock-5b

2023/12/23 時点でダウンロードできる最新のUbuntuイメージを選択しました。デスクトップはROCK 4C+のセットアップ時と同じKDEにしました。

rock-5b_ubuntu_jammy_kde_b39.img.xz

3. balenaEtcherを起動

balenaEtcherを起動します。

balenaEtcherの起動

4. メディア、イメージを指定して起動メディアを作成

「Flash from file」をクリックします。

インストールメディアの作成-microSD編1

2でダウンロードしたイメージを選択して、開きます。

インストール先を選択します。「Select target」をクリックします。

イメージを入れるメディアを選択します。

この時点で「Flash!」がクリックできるようになります。イメージとメディアに間違いがなければ「Flash!」をクリックします。

作成中です。しばらく待ちます。

完了すると、以下のような画面になります。balenaEtcherを閉じて、microSDカードを取り出します。

5. 起動

作成したmicroSDカードをROCK 5Bの裏のスロットに差し込みます。その他の周辺機器(LANケーブル、キーボード、マウス、HDMI)も接続し、最後に電源を入れます。

少し待つと、Ubuntuが起動します。公式のイメージを使ってインストールした場合、デフォルトのアカウントとパスワードは「radxa/radxa」です。手元の環境では、当初の環境構成で起動ループ(見かけ上はLEDが緑→青→消灯→緑→青→消灯を繰り返している状態)してしまい、電源を交換することで対処しました。

ROCK 5 Family FAQ | Radxa Docs

Ubuntuのインストール(eMMC編)

eMMCへUbuntuをインストールします。eMMCリーダーを使ったインストール方法もありますが、今回はOSの入ったmicroSDから、eMMCにUbuntuをインストールします。

1. Ubuntuの入ったmicroSDカードを用意

Ubuntuのインストール(microSD編)」参照

2. 起動(デバイスの確認)

必須ではないですが、ここでmicroSDから起動し、一度microSDカードのデバイス名を確認しておきます。今回インストールしたイメージでは起動と同時にSSHが利用可能ですので、SSHからログインして作業することも可能です。

> ssh radxa@rock-5b.local

パスワードは「radxa」です。

ログインしたら、以下を実行します。

$ lsblk

手元の環境ではmicroSDカードは「mmcblk1」のようです。

3. eMMCモジュールの取り付け

eMMCモジュールをROCK 5Bに取り付けます。ボード上にeMMCモジュールのガイドのシルクがあるので、その向きに合わせて嵌めます。向きを間違えると嵌めにくいので、無理に押し込まずに確認しましょう。

4. 起動

必要な周辺機器と、OSの入ったmicroSDカードを挿して起動します。

5. ログイン

SSHでログインします。

> ssh radxa@rock-5b.local

パスワードは「radxa」です。

6. eMMCデバイスの確認

ログインできたら、以下を実行します。

$ lsblk

「mmcblk1」はmicroSDだったので、eMMCは「mmcblk0」です。

デバイスファイルの存在を確認します。

$ ls -l /dev/mmcblk0

7. Ubuntu イメージの取得

RadxaのGitHubからUbuntuイメージをダウンロードします。

GitHub radxa-build/rock-5b

$ wget https://github.com/radxa-build/rock-5b/releases/download/b39/rock-5b_ubuntu_jammy_kde_b39.img.xz

8. eMMCへUbuntuイメージを書き込む

root権限で、eMMCにダウンロードしたイメージを書き込みます。

# xzcat /home/radxa/rock-5b_ubuntu_jammy_kde_b39.img.xz | dd of=/dev/mmcblk0 bs=1M

少し待つと、書込みが完了します。手元では3分半程度で完了しました。

9. シャットダウン

一度、シャットダウンしてeMMCから起動します。

# shutdown -h now

シャットダウンが完了したら、microSDカードを取り外します。

10. 起動

必要な周辺機器を接続して起動します。ちなみに、ROCK 5Bは電源ケーブルを挿しても起動しますが、オンボードの電源ボタンを押すことでも起動できます。

無事、Ubuntuが起動しました。

ファンの取り付け

セットアップの最後にRadxa公式のファン(Okdo ROCK 5Bシングルボードコンピュータ用ファン及びヒートシンク ROCK 5B用 AE004)を取り付けておきます。

取り付け方法とセットアップ方法は「Heatsink 4012 Tutorial | Radxa Docs」にあります。

取り付けました。システム設定からファンの動作モードを設定します。

$ rsetup

以下の状態になったら、「Hardware」を選択します。

「Thermal governor」を選択します。

ファンの動作モードの選択ができるようになります。とりあえず、「step_wize」を選択し、CPU温度で自動で制御させておきました。最後に「OK」を選択します。

設定が完了すると以下の画面になります。「OK」を選択してすると、前の画面に戻るので、その後「Cancel」を選択し続けていると、システム設定のモードから抜けられます。

結局ファンが本当に動くのか心配だったので、ファンのモードをユーザー設定(user_space)にして動かしてみました。

動いたので安心しました。

おわり

特に手順が難しいということはないと思いますが、電源の選択を間違えると結構悩むのではないかと思います。ROCK 5Bのドキュメント上でも、公式電源を使うよう強くお勧めしています。その公式電源が使えると良いのですが、おそらく国内では利用できないのかなと推測しています。この辺りが辛いところです。

ただ、eMMCにインストールしたOSの起動時間が15秒と、非常に速いことに驚きました。今回使用したのは4GB版なので、16GBや32GBだとどれくらい速くなるのか、期待が膨らみます。また、今回のROCK 5BではまだSSDは試していないため、さらなる高速化の可能性があります。次回以降でそのSSDからの起動に挑戦したいと思います。

参考リンク

Radxa ROCK 5B

ROCK 5 Official Images | Radxa Docs

ROCK 5 Family FAQ | Radxa Docs

Heatsink 4012 Tutorial | Radxa Docs

WASP株式会社アカウントです。 画像認識や音声合成等AI搭載のハードウェアやインターネット連動の機器など、ハードウェアからWebサービスまでトータルのモノづくりに特化したテクノロジーコンサルタントです。 ここでは、シングルボードコンピュータを中心に、テクノロジーの面白さや活用方法を紹介しています。