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概要
皆さんは,通勤や通学などで改札を通る際に切符やICカードを取り出すことを少し面倒だと思ったことはありませんか?荷物が多くて手が空いてなかったり,急いでいたりするときには特にストレスになってしまいますよね.
そこで私達は靴に付けたRFIDタグを,マット内に埋め込んだリーダで読み取ることで,手に何も持たずに改札を通ることができるシステム「ASHIMO」を制作しました,まずは動画をご覧ください!
システム設計
今回のシステムではRFIDという技術を使用しています.RFIDとは電波を用いてデータを非接触で識別・記録する技術で,タグと呼ばれる小さなデバイスが情報を保持し,リーダを用いてタグと通信して情報の読み書きを行います.タグは軽量かつ小さく,電源が必要無いため様々なものに取り付けることができます.身近な例として,Suicaなどの交通系ICカードを用いたサービスが挙げられます.
今回のシステムではユーザはシール型のタグを靴の裏に貼り付けます.改札部分にはRFIDリーダを埋め込んだマットを敷き,ユーザがこれを踏むと誰が通過したかを取得することができます.今回の実装では,通過情報はアプリを通じてユーザに通知され,また管理者が使用するデバイスでは通過した人全員の情報を見ることができます.
RFIDリーダは有線でRaspberry Piに接続しています.タグ認識や通知送信の処理はRaspberry PiにてPythonのプログラムを用いて行っています.リーダがタグを認識したら,そのタグのIDを予め設定したユーザリストに照らし合わせて通過したユーザを特定します.
通知の送信にはGoogleが提供しているFirebaseというサービスを使用しています.認識したタグにユーザが登録されていた場合は,それを通じてユーザと管理者のアプリに通知を送信します.ユーザや管理者は通過したことをプッシュ通知で受け取れる他,アプリ画面で通過履歴を表示することができます.
今後実装したい機能
今回は靴の裏側にシール型のタグを貼り付けましたが,これでは歩いている間に剥がれ落ちてしまいます.本来は靴の中敷きにタグを入れることで対応することを考えていましたが,今回使用したリーダでは残念ながら認識距離が足りず,靴の中のタグに反応できませんでした.リーダの電波を強くするなどで認識距離を延ばせるらしいのですが,電波法などの法律に引っかかる可能性もあるため,今回は行いませんでした.
また,今回制作したマットは中心部分のみが読み取り可能で,そこを靴のタグ部分でかなり正確に踏まないと反応しません.実はマットの中にリーダを複数個埋め込むことで範囲を広げようと考えていましたが,複数個のリーダをRaspberry Piに接続し並行処理するための実装が難しく,今回は断念しました.
展望
今回は改札としてシステムを制作しましたが,このシステムはそれ以外にも応用できるシチュエーションが多くあると思います.
例えば授業などの出席管理アプリです.改札システムの狙いと同じように,出席提出の流れがスムーズになることが期待できます.さらに靴は他人と交換しづらいため,代返が防ぎやすいといったメリットもあるかもしれません.
他にも,
- コンビニでの支払いに本システムを使うことで,何も持たずに家を出て,買い物を済ませることができる.
- 買い物中や運搬中などの手が使えないシーンでも,個人認証が必要な鍵を開けることができる.
- 通路やドアに置いて,人間の移動経路を記録する.
などといった使い方も考えられると思います.
まとめ
今回私達は,RFIDとRaspberry Piを使用して,足で踏むだけで改札を通過できるシステムを制作しました.このシステムを使うことで手に何も持たずに快適な移動をすることができます.今回制作したシステムは実際の改札で使うには流石に問題点が多いものですが,「タグを付けた靴でリーダを踏んで認証を行うシステム」は先述した通り様々な活用法が想定できるので,ぜひ面白いアイデアを考えてみてください.
今回制作したプログラムのソースコードはGitHubにありますのでよかったら参考にしてみてください.
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