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FA系のネットワークでも、IT系ネットワーク用のイーサネットのケーブル(10BASE-Tコネクタ)を用いたネットワークが存在します。
同じケーブルを使用していても通信プロトコルは全く異なる方式で行われていますので、「ケーブルが接続できる」というだけでつなげてしまうと通信自体ができないという事態に陥ってしまいます。なかなかの失敗となってしまうため本当に注意が必要です。
イーサネットケーブルを使うFA系ネットワークはどのようなものがあるのでしょうか?
PLC同士を接続するための通信規格 FL-net
FL-netは、メーカの異なるPLC同士の通信を行うために開発された通信規格です。主に日本の国内メーカのPLC通信において標準的に用いられているネットワークです。FL-netはそれなりに歴史があり、三菱のMELSECシリーズや東芝、富士電機、オムロンなど国内のPLCメーカがほぼすべてFL-netに対応しております。最近では、一部のFL-net対応機器で、TCP/IP混在の通信を正常動作できるようになってきており、FA通信とweb通信との垣根がなくなりつつあります。ただし、FL-netは、日本でのイーサネットを用いたFA通信として標準的なものとして挙げられますが、海外ではあまり知名度がありません。
シーメンスが中心で開発したProfinet
世界的にPLCのシェアが大きいシーメンスが開発したイーサネットによるFAネットワークがProfinetです。元々はPLCと各フィールド機器との通信としてシーメンスが規格したProfibusというシリアルバス接続通信規格がベースとなっており、それをイーサネットに進化させたものがProfinetということになります。
Profinetの大きな特徴としては、TCP/IPやHTTPなどの標準的なwebの通信プロトコルを持っていて、そのうえでProfinetが成立しているというものです。このため、Profinetとパソコンなどの通常のIT機器との接続が容易に行えます。中央監視室の監視用PCなどともそこまで大きな変更をしなくても接続することが可能です。
シーメンスのPLCは日本ではそこまで普及していませんが、世界各国で高いシェアを誇っているため、海外向けに輸出を行うような場合はProfinetを用いるということがよく行われています。
EtherCAT,mechatrolink,CC-linkなどのフィールドバスとの違い
EtherCATやmechatrolink,CC-linkといったフィールドバスとPLC同士のネットワークとの大きな違いはあるのでしょうか?フィールドバスも複数機器を接続する、信号の点数も多くやり取りも多いという部分ではイーサネットの接続と同じです。大きな違いは接続方法と、通信速度と言えます。
イーサネットケーブルを接続すれば通信ができる状態となるのに対して、フィールドバスはそれぞれのネットワークに合ったケーブルや接続方法を検討しなければなりません。マルチドロップ接続を行うような場合、イーサネットケーブルであればIN/OUTにそれぞれケーブルを接続するだけですが、フィールドバスのネットワークはそのネットワーク独自の配線方法などもあり、イーサネットのネットワークよりも構築がより専門的になる場合もあります。
EtherCATにおいては、通信の分類はフィールドバスとなるのですが、通信にイーサネットケーブルを用いるというわかりづらい構成のネットワークです。EtherCATは、フィールドネットワークの中では高速通信で、モーションコントロールを必要とするような精密な機械の連携において同期通信などを行う場合に使われます。
上記のような例外がありますが、基本的にフィールドバスは、PLCと各センサ機器との情報のやり取りにのみ用いられることを想定して考えられているため、高速通信を行うような想定になっていない場合も多いです。
以下に、代表的なPLCネットワークとフィールドネットワークの通信比較表を示します。
フィールドバスもイーサネットを用いたPLCネットワークも、外部との接続には便利
フィールドバスもイーサネットケーブルを使ったPLCネットワークも、外部の機器との接続を行いやすいように作られたイーサネットによるPLCネットワークです。特にイーサネットは、web系の機器にも用いられていることから、こうした機器との取り合いを行う場合、物理的にはスムーズに接続することができます。
しかし、PLCネットワークとwebネットワークは似ているようで異なるような点も複数あります。
それぞれのネットワークの特徴を理解し、異なる点はどちらかが譲歩する他、設定変更を行うことでよりストレスなくネットワーク接続が可能となることでしょう。
IoTによるネットワーク接続の需要が高まっている中で、多くの企業はネットワークにおけるFA、webの垣根をなくそうとしています。
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