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このチュートリアルの対象利用者:
DesignSpark PCB V11.0.0差動ペアとは、2本1組の配線でそれぞれ逆の極性の信号を送る伝送方法のことです。回路が放射するノイズを減らしたり、外部ノイズから受ける影響を軽減するために、電子回路設計の様々な箇所で使われています。また、高周波回路においては複数の信号の信号到着までの時間差が問題となるため、伝搬の時間差による問題を減らす用途でも使われています。
注記:差動ペアは、DesignSpark Engineerの有償サブスクリプションでのみ使用できます。
低周波回路においては、差動ペアはしばしばオーディオ信号やアナログ信号に使われます。こうした用途では電力を送る線と戻ってくる線の2本を隙間に通すことだけが目的のため、配線長のマッチングやインピーダンスマッチングといった要件はあまり厳しくありません。
一方で、差動ペアはUSBのような高速デジタル信号でも使われています。こうした用途では配線長差(いわゆる「スキュー」)を抑えたりインピーダンスを規定の値に揃えるため、配線長の上限や配線のマッチングに関する要件がより厳しくなります。
DSPCB Engineerは基板設計にあたり、上に挙げたような要件を間違いなく満たす配線を作るためのツールを提供しています。配線長に関する解析情報を生成することなども可能です。
これから紹介するステップは以下の動画でも確認することができます。
最も単純な差動ペア配線の作成
ここでは差動ペアのための設定と配線のための手順を図で示していきます。
この記事での例はより簡単な低周波のものとなりますが、後でより高度な高周波信号の配線を学ぶための基本となる内容です。
これは、コネクタから計装アンプまでの間を繋ぐ差動ペア配線です。
差動ペアは差動ペアであることが分かるようなNet名を付ける必要があります。
具体的には、それぞれ「_P」「_N」で終わる名前を付けます。 (「_p」「_n」のように小文字も可)このように設定すれば、あとは「_P」「_N」の前の部分の名前が同じ配線が自動的に差動ペアとして認識されます。
回路図側の作業はこれで完了です。
Net Classesに差動ペアの設定を追加する
次にパターン編集画面の側で、差動ペアを表すNet Classの設定を追加する必要があります。Shift+Tで「Design Technology」ウィンドウを開いて「Net Classes」タブを選び、右にある「Add」ボタンをクリックしましょう。
すると以下のフォームが開きます。さまざまな設定がありますが、これらの高度な設定は後ほどパート2の記事で見ていくことにしましょう。
ここではNet Classに新たな名前を指定する作業だけを行います。
新たなNet Classが作成出来たら、そのオプションの「Diff Pairs」の設定を切り替えることで差動ペアとして指定します。
差動ペアとして指定した配線は以後、このNet Classを用いて設定の変更を行えます。
配線のNet Classに差動ペアの設定をする
今度はDesign Technologyウィンドウの「Nets」タブを開きましょう。
差動ペアを構成するそれぞれの線(Net)のClassを、「Signal」から先ほど作成した「Diff Pair」に変更しましょう。
これで設定は完了で、後はパターン編集画面で差動ペアを自在に配線できるようになります。Design Technology ウィンドウは閉じましょう。
差動ペアの設定
差動ペア配線の1つを右クリックして「Turn diff pair connections into paired tracks」を選択しましょう。
差動ペアの配線を行うモードになり、マウスポインタの見た目が変わります。
配線操作のおすすめ設定
今回の場合は作業を単純化するため、以下の設定をすることを推奨します。
まず、 差動ペア配線モードであることを確認の上で右クリックし、以下の設定を確認しましょう。
- 「Allow Pick Connection」にチェックを付けます。これは配線を選択するために必要です。
- 「Route Connection At Pair Start」にチェックを付けます。これにチェックを付けておくと、パッドから最初にクリックした位置まで差動ペア配線を伸ばしてくれます。
また次に、上部メニューバーの「Settings」→「Preferences」からダイアログを開き、「PCB Tracks」タブを選びましょう。「Double Click to End Track」に「Complete Track」の指定をします。
以上の設定を行うと、今回の差動ペアの配線が楽になります。
差動ペアの配線
差動ペアの配線の一本を2回クリックし、配線を始めたい位置をクリックしましょう。こうするとまずその位置まで自動的に配線が伸ばされます。
カーソルで配線を伸ばし、向きを変えたい場所ではクリックすると向きを変えることができます。もう一方の繋げる側に近いところまで来たらダブルクリックすると、そこで配線作業を終えて繋げることができます。
キーボードのEscを押すと差動ペア配線モードから抜けることができます。
差動ペアのレポートを出す
メニューの「Output」→「Reports」から「Differential Pair」を選んで「Run」をクリックすると、差動ペアの配線長やスキュー(配線長差)に関するレポートを出すことができます。
より高度な差動ペアの配線へ
パート2では、配線長やスキューの考慮がより重要になってくるような高周波回路における配線を解説します。他の配線から離すためのクリアランス幅の設定、2本の線の配線間隔の確認、配線長とスキューをリアルタイムで確認する機能など、今回の記事で紹介しきれなかった機能を見ていきます。
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