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オフグリッド再生可能エネルギーシステムのための電気安全システム設計

前回の記事ではオフグリッドキャンピングカー改造プロジェクトの一環として、様々な再生可能エネルギーを活用を考えるにあたり、風力発電の実用性を探りました。このプロジェクトの電気的な容量が急拡大していることを考えると、次のステップとしてはこの再生可能エネルギー電力システムに必要な安全性の検討と、オフグリッド生活で自分自身を守るための安全対策を考える必要が出てきます。そこで今回の記事では、短絡、感電、サージ、漏電を防ぐのに最適な部品や方法に焦点を当てます。そして、それを私たちのプロジェクトに適用することで、再生可能エネルギーの安全で実用的な使用のための電気システムについてを探ります。

コンポーネント

  • 残留電流デバイス(RCD)
  • 小型遮断器(MCB)
  • ヒューズホルダー
  • カートリッジヒューズ
  • アイソレータスイッチ
  • ヒューズボード筐体
  • コンシューマユニット筐体

ヒューズ VS ブレーカー

現在、家庭用、業務用、産業用で使用されている電気安全部品には様々な種類とバリエーションがあります。そのため、特定のシステムの要件を理解することは、適切な安全装置を割り当てる上で非常に重要です。一般的な再生可能エネルギーシステムは、低電圧直流家庭用主電源用交流の両方の電力プロファイルを組み合わせたものです。このことは、2つの電気安全部品の主要カテゴリの違いを探り、それらがなぜ各アプリケーションに適合するのかを考えるきっかけを提供してくれます。

ヒューズ

ヒューズは最もシンプルな電気安全装置であり、ACでもDCでも既知の最大電流定格に基づいて簡単に割り当てることができます。ヒューズは単回使用(1回作動限り)のデバイスで故意に弱く作られた薄い導電性コアを用いて構成されており、過電流にさらされるとその部分が切れて切断される仕組みです。このシンプルな設計により、特に再生可能エネルギー源のような直流機器を保護するために、安価で簡単に設置できます。

Photo of cartridge fuses

38mmカートリッジヒューズ

再生可能システムの電気的構成によって、各種のケースで適切なヒューズサイズが決まります。例えば、100Wのソーラーパネルの公称電流は5.7Aなので、6Aのヒューズがサージやショートを防止することができます。2枚以上のパネルを直列に接続してアレイを構成する場合は定格電流には影響を与えませんが、並列に接続する場合はより大きなヒューズが必要です。並列接続の場合は、別のアプローチとして各パネルにヒューズを接続すれば、一部分にヒューズ切れが発生しても電力システム全体を停止させることはありません。

ブレーカー

ブレーカーは主に、送電線網に接続した際のAC電源回路を短絡、サージ、漏電から保護するために設計されています。しかし、今回のプロジェクトではオフグリッド環境で行っているため通常の使用方法ではなく、ブレーカーは蓄電した再生可能エネルギーのDC電力を一般家庭用のAC電源に変換するインバータから得る出力を保護するために使用します。

Photo of an Residual Current Device - RCD

30mA RCD

英国の標準的なコンセントは、アースに直接接続されるピンを追加した設計により、世界で最も安全なものの1つとなっています。この追加機能により、金属部品が露出して活電圧にさらされる可能性のある家電製品や家庭用品の確実に安全な故障モードにします。RCDまたはResidual Current Device(残留電流装置)は、電流がアースに漏れ出すことによって生じる「電流の不一致」を監視する事ができるコンポーネントです。オフグリッドシステムに残留電流保護を適用するには、単純に共通の接地点を見つければ良いです。幸い、私たちのプロジェクトではキャンピングカーのシャーシをすべての機器のアースとして使うことができ、これが電流にバッテリーへの戻り経路を提供します。

Photo of an MCB Circuit Breaker

2A BタイプカーブMCB

別の回路保護デバイスとして、MCB(ミニサーキットブレーカー:小型遮断器)が挙げられます。これはヒューズと同じように一定の電流閾値以上の回路を切断することで短絡やサージを防止できます。また、MCBはサージに対する応答性で評価されていて、中でも家庭用カーブタイプBは、商用カーブタイプCや工業用カーブタイプDよりも速く遮断できます。これらの特性により、MCBはヒューズよりも大幅に柔軟性があり、故障の問題が解決されれば再度リセットして使用することが可能です。

残留電流デバイス(RCD)と小型遮断器(MCB)の組み合わせが、あらゆる主電源障害モードに対して優れた保護機能を発揮し、ユーザーとシステムを常時保護することができます。したがって次のステップでは、プロジェクトの完成した再生可能エネルギーシステムを安全に維持し、使用できるようにするためにこの知識を取り込んでいきます。

ヒューズボックスとコンシューマユニットの構築

再生可能システムのDCとACのそれぞれのコンポーネントを保護するために、関連する保護回路を構築する必要があります。その為に、ユーザーが安全にアクセスでき、容易にメンテナンスできるようなシンプルなヒューズボックスとコンシューマユニットを組み立てます。

ヒューズボックス

ヒューズボックスは、潜在的な短絡やサージによる過電流から太陽光発電や風力発電システムを保護するために設計されています。プロジェクトでは再生可能エネルギー源ごとに、2つのカートリッジヒューズホルダーを使用し、関連ケーブルの出入り口用として2つのノックアウト部を備えたプラスチック製のDINレール筐体に取り付けます。

Wiring the fuse box to incoming and outgoing DC

ヒューズボックスへの入出力DC配線図

各電源からの供給ケーブルの1本は、DINレール筐体の2つのノックアウト穴に通してそれぞれのヒューズホルダーに接続し、2つのゴムグロメットで損傷から保護しています。これらの筐体の柔軟性により、丸い電線管を使用して、損傷から保護しながら緩んだケーブルを整理することもできます。

Fuse box assembly showing cartridge fuse

カートリッジヒューズが見えるヒューズボックスアセンブリ

筐体を組み立てたら、再生可能エネルギー源の最大定格に対応するヒューズを挿入できます。現在のソーラーアレイは6Aを超える電流から保護する必要があり、一方で風力タービンは12Aを超えると自動的に風を切るようになります。ヒューズをヒューズホルダーに差し込むだけで、事前に電源を遮断して火傷やアーク放電のリスクを回避することができます。

コンシューマユニット

ヒューズボックスとは対照的に、コンシューマユニットは家庭用電化製品に供給されるAC主電源を保護するために設計されています。コンシューマユニットの設置により再生可能システムを保護するだけでなく、短絡やサージの発生を防止してスマートフォンやノートバソコンなどの高価な精密機器の損傷を防ぐとともに、熱線による電気火災のリスクも軽減します。

これはキャンピングカーのような密閉された空間では特に重要で、そのような場所では過剰なケーブル電流やシャーシの浮遊電圧が木材やガス、さらにはディーゼル燃料に引火する可能性があります。これらの危険な故障モードに対して安全に保護するために、モーターホーム環境において十分な感度を持つアイソレータスイッチ、RCD、MCBを備えたシンプルなコンシューマユニットを構築します。

Consumer unit with isolator, RCD and MCB

コンシューマユニット(アイソレータスイッチ、RCD、MCB搭載)

再生可能システムは、定格1000Wのレジャー用バッテリーから主電源を取り出すためにインバータを使用しています。この定格電力は比較的低いため、コモンアースへの潜在的な漏電を検出する標準的な30mA RCDを使用します。これにより、920W以上で遮断する高感度4A Bタイプ MCBを使用して、メイン回路に安全値のマージンを残しました。別の方法として、500W定格のインバータ用に2A Bタイプ MCBを使うことも可能です。

Wiring the consumer unit with incoming and outgoing mains AC

コンシューマユニットにAC電源の入出力を配線

コンシューマユニットの組み立ては非常に簡単です。アイソレータスイッチとRCDは、漏電を検出するために活線と中性線の両方の配線を、入力される主電源順に接続されています。次にMCBを最後の1本の活線を使用して接続し、出力主回路に沿って発生する電流障害を検出できるようにしました。入出力アース線はシャーシに接続するか、ターミナルブロックまたは圧着スプライスを使用してコンシューマユニットの筐体を介してバイパスさせることができます。これが完了したら、出力回路をバンの主電源ソケットに接続し、電気障害から安全に保護して、尚且つバンで火災が発生することが無いように電気製品をプラグに挿して使用できます。

Protection circuits ready for installation

保護回路の搭載完了図

今後の検討としては、新しい安全装置をキャンピングカーに取り付けるために必要な検討事項と、再生可能エネルギーの定格に見合った電気システムのリバースエンジニアリングする方法に焦点を当てていこうと思います。

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A keen maker and electronic engineer with a passion for the environment, renewables, alternative transport and anything off-grid. Man with a van and founder of the Kickstart Kamper sustainable campervan project. Grassroots Education Sustainability Ambassador. BrightSpark 2017. BEng. KickstartKamper.co.uk