United Statesからアクセスされていますが、言語設定をEnglishに切り替えますか?
Switch to English site
Skip to main content

DesignSparkでは毎日のようにエレクトロニクスに関する記事やプロジェクトが生み出されています。しかし、その中であまり話題にしないテーマがあります。それはグローバルコミュニケーションにおいてますます重要性を増している技術であり、産業の世界でも常に応用が見出されている技術です。そのテーマとは光ファイバーです。

Fibre optics are finding applications in all industries including military

光ファイバーはあらゆる産業で応用されている

DesignSparkにも多くはありませんがファイバーについて書かれた記事がいくつかあります。しかし、読者がファイバー技術に精通していることを前提として専門用語などを多用しています。このような状況であるため記事を読んでもファイバーの話題は別物だからと敬遠する人が出てきてしまうのです。本記事では光ファイバーが怖いものでないことを示すことを目的としています。皆さんが中学校で習ったような光の学問から始め、光ファイバーの原理を簡単に説明します。

初めに光ファイバーにも従来の電気通信と同様に長所と短所があります。光ファイバーを使った光通信は従来の電気通信では非効率となる距離まで、高効率かつ膨大な情報を伝送することができます。また、安全性が高く、電波妨害(EMI)の影響を受けにくいです。加えて、伝送できる情報量に対し驚くほど小型・軽量で運用できます。

光で通信する

光ファイバーの一番の目的は情報を伝達することです。従来の銅線ケーブルでは電気を用いて通信が行われています。ここでの電気とは負電荷をもつ電子を、自由に動かせる導体の中に入れたものです。光ファイバーも同じ原理ですが、この電子をに置き換えてそれを伝搬させる媒体を使用しています。

光ファイバーは長距離の信号の損失を最小限に抑えるために、きわめて純度の高いガラスを細いフィラメント状に引き延ばしたもを使用します。よく「光ファイバーは人間の髪の毛よりも細い」という表現が使われますが、光ファイバーがどれほど細いかを正確かつ簡単に示しています。光ファイバーの構造は屈折率の異なる2層のガラスでできており、クラッドがコアに巻きついています。

Fibre cable construction

光は全反射という原理を利用してファイバーのコアに沿って進みます。全反射は皆さんも中学生の時に習ったと思います。この効果は大きな水面を見たときに体験することができます。大きな水面を上から見ると、光は水と空気の境界を屈折し、水面の中に入るので水中を見ることができます(水面が透明)。一方、浅い角度から水面を見ると光は全て反射光になるため空からの光が反射して水面が鏡のように見えます(水面が不透明)。

光伝送

全反射と同じ効果が光ファイバーでも作用しています。コアとクラッドの界面は屈折率が異なるため、この違いによって光はコア内部で全反射し、ゴム球が鉄パイプ内を跳ねるように伝搬していきます。実際にはファイバーのコアは屈折率を段階的に変化させた構造になっていることが多く、全反射に大きく頼らずに光を緩やかに中心へ戻すように設計されています。

コアの大きさはファイバーで伝送できるデータ量を左右します。導体が大きければ抵抗が小さくなる電気システムとは対照的に、ファイバーコアが小さければ容量は大きくなります(一定条件有)。この理由は「モード」が深く関係しています。光ファイバー中の光が伝搬する経路のことをモードと呼んでいます

モードの意味

マルチモードファイバーはコアの直径が大きく通常50µmまたは62.5µmです。このため、光はファイバーのコアを通過できる複数の経路(モード)が存在します。つまり、信号光が目的地に到着するまでに複数の異なる経路で伝搬します。そのため、最も遅い経路を通った光は次の信号と干渉しないように、後続の信号の送信を遅らせる必要があります。

一方で、シングルモードファイバーというのもあります。これはマルチモードファイバーに比べとても小さく、直径はわずか9µmです。この構造ではコアを通過できるモードはただ一つしかありません。したがって、ある時間の信号光が前後時間の信号光に干渉することなく、より多くのデータを伝送することができます。現在の世界的な通信の基幹をなす海底ケーブルは全てシングルモードファイバーを使用しています。

ファイバーの接続

前述したように光ファイバーコアの直径が小さいため、光ファイバーの積極採用は難しいです。特に2本の光ファイバーを連結する際には、その問題が顕著に現れます。単に導線を接触させれば電流が流れる電気システムとは異なり、ファイバー接続はより考えなければならない事項があります。2本のファイバーを接続するためにはそれぞれのファイバーのコアの位置をぴったりと合わせ、直接、物理的に接触させる必要があります。少しでもコアの位置がずれていると継ぎ目で信号の一部が失われ損失になります。ファイバーのコアは非常に細いため、高い接続精度が重要となるのです。

そのため、光ファイバーは非常に小さい公差で製造さたセラミック製のフェルールにはめ込まれ、これによって良好な接続な精度を得ることができます。このような専用の部品が必要なことから、シングルモードファイバーに比べて性能が劣るマルチモードファイバーが多く使用されるのです。2本の9ミクロンのコアを完璧に合わせるために必要な精度は複雑でコストのかかるプロセスであるため、高性能が必要でない場合にはマルチモードファイバーがより優位な選択肢となるのです。

connecting fibres

また、光(ファイバー)ケーブルを敷設する際にはファイバーの取り扱いは慎重に行わなければなりません。従来の電気ケーブルは撚り線構造であれば、ある程度の物理的な酷使に耐えることができます。しかし、光ファイバーは潰されたり、鋭角に曲げられたりすると破損してしまいます。そのため、現在の商用化システムでは光ファイバーを保護するために糸や補強材を使って強度を高めています

加えて、一般の通信用途の光ファイバーは過酷な環境にさらされることがないため、商用化システムのファイバーコネクタは軽量でコンパクトな構造であることが多いです。一般的なLC (015-6279) およびFC (536-8086) コネクタ規格は商用ファイバーコネクタの代表例であり、マルチモードファイバーの場合にはMTフェルール (905-3356) が用いられています。

Harsh environment fibre connectors from Souriau

過酷な環境下で使用できるファイバーコネクタ(例)

ですが、ファイバーは軽量でデータ転送速度が速く、EMIに強いという利点があるため、さまざまな産業において活用が見込まれています。そこで野外放送から軍事通信まで、過酷な条件に耐えるファイバーコネクタが求められているのです。Bulgin社 (191-7985) 、Souriau社 (764-1932) 、HARTING社 (110-9371) などがソリューションを提供しています。

次のパート2ではファイバーをコネクタへと終端処理する方法など、より詳細に光ファイバーのコネクタについて説明していきます。

Connector Geek is Dave in real life. After three decades in the industry, Dave still likes talking about connectors almost as much as being a Dad to his two kids. He still loves Lego too. And guitars.

コメント