精密RFコネクタが活躍する時代へ

デジタル技術に支配された現代の世界では、無線周波数（RF）伝送の重要性を忘れがちになります。その信号を送信または受信するすべてのものには、情報を運ぶためにRF放射を使用しています。周波数分配図を見れば基本的な通信から娯楽、ナビゲーション、天文学に至るまで、あらゆる用途に使われる膨大で広範なRF伝送がこの世界には満ち溢れています。

エンジニアは物理的なインフラ上に無線周波数信号を伝送するために、同軸ケーブル及びコネクタを使用します。同軸ケーブルは、外側にある導体性の被覆（シース）に囲まれた単一の中心導体で構成されています。内部導体と外部導体は「誘電体」と呼ばれる絶縁体で隔てられており、RF信号の効率的な伝送を可能にするため両者間の距離をずれが無いように厳密に作られています。

2本の同軸ケーブルを接続するには同軸ケーブルを介して伝搬する信号の完全性を維持するために、同軸ケーブルの特性を正確に維持するコネクタが必要です。

これら、伝搬性能の高さから同軸ケーブルとRFコネクタは何十年にもわたり、エレクトロニクスの世界ではよく使われてきました。例えばテレビとアンテナをつなぐケーブル（最近ではセットトップボックスと衛星放送受信アンテナ、パラボラアンテナ）には同軸コネクタが使われていますし、イーサネットワークの物理インフラには長年にわたりBNCコネクタが使われてきました。

現代技術にとって重要なRF

5GワイヤレスインターネットやBluetooth、Wi-Fiが普及した現代では、同軸コネクタが使われているのを目にすることは珍しくなりました。ですが、これらのシステムはどれもすべて無線周波放射を利用して通信しています。デバイス内の半導体でRF信号が生成され、その信号が大気に放射される前にスマートフォンのアンテナまで運ぶ必要があります。その過程でRFは使われているのです。

高速・高データレートへの要求が高まるにつれ、これらのRF信号はより高い周波数を使用するようになってきています。

コネクタやケーブルはこれらの高速信号を効率よく伝送してデータが安全に目的地へ到達するために、できるだけ損失を少なくする必要があります。

しかし、すべてのコネクタが同じように作られているわけではなく、エンジニアは与えられたタスクに適したコネクタを選択しなければなりません。30年前のポンコツ車を運転するのと、最新のスーパーカーを運転するのと同じように、同軸コネクタにも性能が非常に異なるものが存在するのです。通勤にスーパーカーを使うのはおかしいし、24時間耐久レースにポンコツ車で挑むのも不適合です。RFコネクタも同じで、その要求される能力に適したコネクタを選ぶことが求められます。

従来のRFコネクタを一新する最新コネクタ

最新の精密RFコネクタは、80GHz以上の周波数の信号を伝送することができます。5Gワイヤレス通信ではまだ6～10GHzという比較的低い周波数が使われていますが、より高い性能を必要とするアプリケーションはたくさんあります。そして今後も続々と増えていくでしょう。

科学分野では古くからデータ収集用としてこの精密RFコネクタを使用しており、この要求は今も根強いものがあります。しかしながら、学術的なものではなくこの技術の進歩を利用した実用的なアプリケーションも存在してきています。例えばスマートシティや車同士の通信、最新のフェーズドアレイレーダーに求められる高精度において、RFコネクタによってもたらされる高速信号は低遅延で高いデータ処理を提供するのに不可欠なものとなっています。

このような要求の厳しいアプリケーションでは、最新の高精度RFコネクタが極めて高速な性能を発揮しているのです。100GHzに近いRF信号を扱う場合、ミリメートル単位の小さな数値が非常に重要になります。その為、低価格の類似品に用いられる大量生産技術とは対照的に、最新の精密RFコネクタは最高の材料を用いて非常に精密度の高い公差で機械加工されています。

ワクワクするような未来へ

精密RFコネクタにとっては今が最も熱い時期です。Rosenberger社の4.3-10コネクタ (136-7710) 、Huber+Suhner社のQMAコネクタ (612-7044) 、Radiall社の人気の高いSMAシリーズ (295-5889) など、欧州メーカーはこの市場で非常に積極的に活動しています。他にもSamtec社が販売する最新のSMPコネクタ (123-6869) は40GHzまでの周波数能力を備えており、驚くほど高性能な製品を市場に投入しています。

今後数か月にわたり、新製品の紹介や詳細なインタビューを行い、掘り下げながら精密RFコネクタの背後にある科学に迫っていく予定です。この高性能な一連の製品に関する最新情報を入手するために引き続きDesignSparkにご注目ください。