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Raspberry Piは学校などにおけるコンピュータサイエンス教育を促進することを目的に、2012年に公開されました。 モデルチェンジを繰り返して2016年現在で累計1000万個以上出荷され、あらゆる目的で使用されています。最も高性能なRaspberry Pi3は1.2GHz ARMプロセッサと1GB RAMを搭載しています。処理能力が向上したことで、GUIベースのLXDE (Lightweight X11 Desktop Environment)により、以前よりもデスクトップPCとしての使用に適するようになりました。
Raspberry Piユーザーの中にはLinuxの知識がほとんどない人々も多いです。そのような人々でもLXDEペースのデスクトップのおかげでシングルボードPCを快適に操作できています。しかしながら、OSX・windows・タッチスクリーン端末のインターフェイスに対して、LXDEのデザインは若干古くさいと思われていました。
この度公開されたPIXELは、Rapberry PiのGUIとユーザーエクスペリエンスを向上させました。今回の記事ではRaspberry Pi3にPIXELを導入し、新機能をチェックしていきたいと思います。
アップデート
今回はOSイメージを新たにインストールしたSDカードから起動させるのではなく、現在インストールされているRasbianのバージョンをTerminalでチェックし、アップデートを行います。
$ cat /etc/os-release
Raspberry Pi財団で指示されている通りに進めます。
$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get dist-upgrade
$ sudo apt-get install -y rpi-chromium-mods
$ sudo apt-get install -y python-sense-emu python3-sense-emu
$ sudo apt-get install -y python-sense-emu-doc realvncviewer realvnc-vnc-server
前半の2つのコマンドによりアップデートを行いGUIが変更されます。後半の3つはそれぞれ、最適化されたブラウザChromium・Sense HAT用エミュレータとドキュメント・RealVNCのパッケージをインストールします。最後にアップデートを行ったのが数か月前だったため、非常に時間がかかりました。おそらく新しいOSを書き込んだSDカードを準備して起動させたほうが早く済んだと思われます(今回は試していませんが)。
起動
アップデートを終えて再起動すると、スプラッシュスクリーンが起動メッセージを隠すように表示されました。その後数秒間画面が黒くなった後、新しいデスクトップが表示されました。背景には写真が設定され、アイコンも新しくなっています。画面上部からBluetoothやWiFiを直接入切することも可能です。またウィンドウのドラッグハンドルも大きくなりユーザエクスペリエンスが向上しました。しかし忘れがちですが、PIXELは完全に新しいOSというわけではなく、これまで提供されていたJessieがブラッシュアップされたものです。
OSのバージョンを確認してみましょう。
$ cat /etc/os-release
アップデート前と同じバージョンになっているはすです。
先述した点以外にも、グラフィックの軽微な変更があります。ウィンドウの角が丸くなり、フォントが変更されたことで、以前よりも”現代的”に感じられるデスクトップとなりました。またシステムに異常が生じたときの警告が、以前の虹色をした四角形から、電圧低下時には雷マーク・高温時には温度計のマークが表示されるようになりました。
起動メッセ―ジを復活させる
多くのRaspberry Piユーザーは、起動時にメッセージが表示されることに不快感を覚えていないと思われます。むしろ、起動メッセ―ジの確認によりエラーの有無や発生している箇所が把握しやすくなります。 Raspberry Piは、メインPCを破壊する心配なく、Linuxに挑戦できる優れた教育ツールです。ですから、筆者の意見としてはRaspberry PiのようにハッキングされやすいLinuxプラットフォームの場合には起動メッセージをむやみに隠すべきではないと考えます。
スプラッシュスクリーンを消して起動メッセージを復活させるにはどうすればよいのでしょうか。booting into CLI (コマンドラインで起動)することで、自動的にスプラッシュスクリーンを無効化できます。Menu->Preferencesを開きRaspberry Pi Configuration toolを選択してください。
また、デスクトップで起動する場合に起動メッセージを確認したい場合は /boot/cmdline.txtを開いて、'quiet splash'を削除してください。
$ sudo nano /boot/cmdline.txt
スプラッシュスクリーンをカスタマイズして好きな画像にすることも可能です。使用したい画像を/usr/share/plymouth/themes/pix/splash.pngに同じ名前で差し替えるだけです。Raspberry Piをエミュレータやメディアセンターなどとして使用する場合には便利な手法です。
Sense HATエミュレータ
PIXEL Raspbianにバンドルされたパッケージのなかでも注目は Sense HAT emulatorでしょう (アップデート時に一緒にインストールしているはずです)。先日Webブラウザ上で使用できるようになりましたが、Raspberry Pi用のネイティブバージョンがついに提供されました!授業での使用や、実機でのテスト前にコードの確認を行うのにぴったりです。
サンプルコードも提供されており、IDLE(raspbery pi上の統合開発環境)で編集して実行が可能です。プログラム結果はエミュレータ上の仮想RGBマトリクスにも反映されます。
テストが完了したら
from sense_emu import SenseHat ~ from sense_hat import SenseHat
で挟まれたコードをRaspberry Piに接続したSence HATで直接実行することができます。このツールは授業で使用する場合には非常に便利な機能で、財団への教育的使用に対する取り組みを示しているといえるでしょう。
まとめ
RaspberryPiは以前よりもユーザーフレンドリーになりました。今後の発展がまた期待できそうです。今回のアップデートで注目すべき点を整理すると
- 必要に応じてスプラッシュスクリーンのカスタマイズが容易に
- 警告時のアイコン改善によりユーザーエクスペリエンスが向上
- GUI上でのBluetooth/Wifi設定が簡単に
- Sence Hatエミュレータの提供
- Chromiumが標準ブラウザとなり、ハードウェアの向上により動画の再生がスムーズに
また、コマンドラインでの操作を好むユーザも、設定により以前と変わらない環境で使い続けることができそうです。