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DesignSpark回路シミュレータでスイープ解析を行うには?

このチュートリアルの対象利用者:

DesignSpark Circuit Simulator

回路図を作ってシミュレーションすることによる利点の1つは、回路のプロトタイピングの手間を減らすことです。実際に回路を作って実験するのは手間がかかり、コストも高くつき、また多くの専門知識が求められてしまいます。

 

シミュレーションで行えることの中でも特に、部品定数をスイープ(滑らかに変化)させながら特性を調べるのは非常に効果的な技です。

この例では、増幅回路の帰還容量の値を一定の範囲でスイープさせながら、カットオフ周波数がどのように変化するかを確かめてみます。

もちろんこの結果は手計算で求めることもできます。しかし手計算は時間を要する上、現実の回路部品は理想的な特性ではありません。実際の部品から得られた特性をもとに計算するのではなく理想的な特性を仮定して計算することになるため、結果にずれが生じてしまいます。

部品の値をスイープさせるには以下の操作を行います。

1. Simulation Settings(歯車のアイコン)をクリックしてダイアログを開き、「Parameter Sweep」のチェックボックスにチェックを付ける。

Simulation Typeの設定は「Frequency-Domain」にして、Start/Endの値もそのままにしてください。

なお、Simulation TypeがDCの場合でも行うことができます。

2. パラメータスイープを行う対象の部品(ここではコンデンサ)のプロパティを開き、スイープさせたい値の隣にある「Sweep」ボタンをクリックします。

Property Editor

Sweepボタンをクリックすると小さいダイアログが表示され、スイープさせる範囲を指定することができます。ここでは1nFから10nFまで、1nF間隔で変化させていきます。

Sweep Options

特定の値ずつ増加させていく(Increment)以外にも、線形(Linear)スイープや対数(Logarithmetic)スイープといったものも利用することができます。この記事では扱いませんが、ぜひ試してみると良いでしょう。

これでSimulationボタンをクリックするとシミュレーションが始まります。1つあたりおよそ1秒かかるため、全体でおよそ10秒ほどかかるでしょう。

以下はスイープ解析の結果です。カーソルは最初に最初のシミュレーション(1nF)のときに-3dBとなった点に合わせてあります。

コンデンサの周りに緑色の囲いがありますが、これはこの部品がパラメータスイープの対象となっていることを表します。緑色の囲いを消すには以下のいずれかを行います。

  • 別の部品を右クリックしてプロパティエディタを開き、Sweepボタンをクリックしてスイープを設定する。

この場合はスイープを設定した別の部品が緑で囲われます。

  • Simulation Settingsを開き、「Parameter Sweep」のチェックを消す。

このチェックボックスにチェックが付いていない場合は緑色の囲いは現れません。

green box around the capacitor indicates that it is being used for a sweep analysis

スイープ解析の結果は非常に有益な情報をもたらします。いちいちシミュレーションし直さずとも、各カーブの-3dB点にカーソルを合わせるだけでその部品定数の場合のカットオフ周波数が得られるのです。

シミュレーション結果を表示・解析するためのオプションは他にも多数あります。それらの機能はWaveform Viewerでアクセスすることができます。

もし見えない場合は、画面中央下にある上向きボタンをクリックすることで表示することができます。波形ビューアの左側には現在プロットしている値以外にも、プロットできる値の一覧が階層構造で表示されています。興味のある値をプロットしたい場合は以下の操作を行います。

  1. 目的の端子のフォルダ(ここではvout)を開く。ここでvoutの全ての波形データを見ることができる。
  2. 目的の波形データ(ここではdbMag)を波形ビューアにドラッグ&ドロップする。

以下のような表示を見れるはずです。

Waveform Viewer

Waveform Viewerの一番右にある電卓アイコンから、Waveform Analyzerを立ち上げてみましょう。

Waveform Analyzerは非常にパワフルで、数十に及ぶ計測・計算機能を備えています。興味のある機能について調べて試してみると良いでしょう。

ここでは、カットオフ周波数の値を帰還容量の関数としてプロットしてみます。まず「Level」タブを開き、「LevelCross」を選びましょう。これは各波形データについて-3dBとなる点を求めるためです。

LevelCross Optionsボタンをクリックすると追加のダイアログが現れ、計測のための設定を行うダイアログが現れます。ここでは-3dBと交わる点を求めたいので、Y Levelの欄に「-3」と入力しましょう。(これはMagnitude(dB)の軸の値と対応しています。)

ここまででWaveform Analyzerの設定ができたので、緑色のボタンをクリックして実行してみましょう。以下に設定時のダイアログとその結果を示します。

新しいY軸には「Frequency(Hz)」と表示され、X軸には「Capacitance(nF)」と表示されていることが分かります。

ここでさらにカーソルを使えば、容量からカットオフ周波数を求めることもできます。

configured the Waveform Analyzer

Graph of capacitance measuremens

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