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予測メンテナンスとは
予測メンテナンス(PdM)とは、産業界で一般的に使われている手法で、ポンプ・コンプレッサ・モータなどの高価な産業部品の潜在的な故障発生を予期するために使用する。機器の状態に関するリアルタイムデータを利用して、故障の可能性を大幅に低減できるように設計されている。ダウンタイムの短縮、機器の耐用期間の最大化、システムの全体的な信頼性の向上などによって、莫大なコストを節約できる。
また予測メンテナンスでは、故障の有無にかかわらず、定期的な検査も実施する。予測メンテナンス活動の頻度が増えると、長い停止時間や高いメンテナンスコストによるコストの増大という問題に直面することになる。しかし、非破壊テスト技術と予測モデリングアルゴリズムの登場により、定期検査を行わずに、いつメンテナンスが必要になるかを正確に予報することもより現実的になってきている。
専用のセンサを使用した機器の状態の連続監視は、一般に状態監視(CM)と呼ばれており、予測メンテナンスの大部分を占めている。センサは調査対象の機器に取り付けられ、そこから収集されたデータを分析して異常を判別する。
SensorTileワイヤレス産業用ノード
独自の産業用IoTアプリケーションの開発が不可能に思われる場合は、SensorTileワイヤレス産業用ノード(STEVAL-STWINKT1) (193-9794) が解決策となるかもしれない。
STEVAL-STWINKT1は、産業用IoT設計向けのファストプロトタイピングキットだが、予測メンテナンス及び状態監視アプリケーションに特に有用だ。オンボードの組み込みセンサでリアルタイム測定と幅広い状態パラメータの処理を実行できる。STEVAL-STWINKT1キットには、STWINコアボード、保護プラスチックケース、480mAh Li-Po電池、プログラミング/デバッギング用のSTLINK-V3 Mini、プログラミングケーブルが含まれている。
STWINコアボードに給電する方法はいくつかある。Li-Po電池をBATTコネクタに接続する以外にも、J5及びmicro-USBコネクタを使用して5Vを供給できる。センサからのデータもmicro-USBコネクタを使用してパソコンに転送できる。
STEVAL-STWINKT1キットには、デバッグ及びプログラム用のスタンドアロンプローブ、STLINK-V3 Mini (196-1915) が付属します。このデバイスには、STWINコアボードの1.27mmピッチSTDC14コネクタとプログラミングケーブルを使用してアクセスできます。
STEVAL-STWINKT1のブロック図
STWINボードには、高度な産業用IoTソリューションで検出・処理・接続・セキュリティ機能を実現するためのコンポーネントが満載されている。このセクションでは、各機能とその特長を見ていく。
センサ
振動分析は、機械のずれや不均衡などの故障を判別する一般的な状態監視手法の1つだ。実際、収集した信号の周波数領域応答を観察すると、各タイプ故障は特定の範囲に収まる。低周波での故障は不均衡、ずれ、機械的な緩みである傾向があり、ベアリングの不具合やギアボックスの故障は中~高周波数範囲で発生している。
STEVAL-STWINKT1は、STMicroelectronicsの10年間の長寿命コミットメントプログラムの要件を満たす、幅広い産業グレードのMEMSセンサを搭載している。これらのセンサは、過酷な動作環境(最大105°C)での高度な堅牢性がテストされ、産業用アプリケーションに要求される高品質のパフォーマンスを実証している。
STEVAL-STWINKT1キットの部品として使われているモーションセンサ、中でも3Dデジタル振動センサ(IIS3DWB)及び超低電力高性能MEMSモーションセンサ(IIS2DH)は、低~中周波数の産業用振動監視に特に適している。コアボードには、6D iNEMO ™慣性モジュール(ISM330DHCX)も搭載されている。このモジュールは、機械学習や有限オートマトンなどの高度な機能を備え、スマートセンサノードの実装が可能になる。これは、通信帯域幅が限られ、センサデータをセンサノードで処理する必要のある用途に非常に便利だ。最後に、音響及び慣性振動分析専用のワイドバンドアナログMEMSマイク(MP23ABS1)と産業グレードデジタルMEMSマイク(IMP34DT05)が2組搭載されており、高周波の不具合をカバーする。
STWINコアボードには、相対湿度及び温度センサ(HTS221)、デジタル絶対圧力センサ(LPS22HH)、低電圧デジタル局所温度センサ(STTS751)が搭載されている。さらに精度の高い温度センサ(STTS22H)も購入できます。これらの環境センサは、超低電力3軸磁力計(IIS2MDC)とともに、I2CでコアMCUと通信する。
処理とセキュリティ
STWINコアシステムボードの演算処理ユニットはSTM32L4R9ZI (175-0791) だ。超低電力Arm Cortex-M4 32ビットRISCコアをベースにした超低電力マイクロコントローラで、最大120MHzで動作し、640Kb SRAMと2MBフラッシュメモリを搭載している。Cortex-M4コアは、単精度浮動小数点演算ユニット(FPU)、デジタル信号処理(DSP)ユニット、メモリ保護ユニット(MPU)などの機能を備えている。
基板のセキュリティ面は、認証とデータ管理を処理するSTSAFE-A100セキュア素子でカバーされている。
接続
STWINコアボードは、ワイヤレス通信機能用にBluetooth Low Energyアプリケーションプロセッサモジュール( SPBTLE-1S)を搭載しています。このモジュールは、Bluetooth仕様v4.2に準拠し、小型フォームファクタです(11.5 x 13.5 x 2.0mm)。SPBTLE-1Sモジュールは、無線、組み込みセラミックアンテナ、高周波発振器を組み合わせた完全なRFプラットフォームです。BLE接続により、センサからのデータをSTBLESensorスマートフォンアプリのダッシュボードで監視・記録できます。また、産業用アプリケーションのカスタムボードを開発したい場合は、現在は新しいバージョンのBluetooth Low EnergyモジュールBlueNRG-M2もあります。BlueNRG-M2モジュールは、Bluetooth v5.0に対応しており、STEVAL-STWINKT1で提供されるソフトウェアパッケージとの完全な互換性がある。
さらに、有線接続もオンボードのRS 485低電力差動ライントランシーバを使用して実装できる。
拡張モジュール
基板の接続及びセンサ拡張コネクタを使用してアプリケーションをさらに進化させることもできます。上図のモジュールは、Wi-Fiアダプタ拡張ボード(STEVAL-STWINWFV1) (193-9796) とマイクアレイ拡張ボード(STEVAL-STWINMAV1) (193-9795) です。
STEVAL-STWINWFV1拡張ボードは、STEVAL-STWINKT1キットに2.4Ghz WiFi接続機能を提供します。たとえば、この接続ソリューションを使用して、Webベースのダッシュボードで機器のステータスをリアルタイムで監視できるようになります。実際に、STSW-STWINKT01ファームウェアパッケージとFP-IND-PREDMNT1の予測メンテナンス機能パックには、これから始める人に便利なWi-Fi及びBLE接続向けのサンプルアプリケーションが含まれています。
高度なオーディオ機能をSTEVAL-STWINKT1キットに追加するには、STEVAL-STWINMAV1アナログマイクアレイ拡張ボードを使用します。この拡張ボードの能力は、4つのMP23ABS1高性能アナログMEMSマイクによって実現されています。アナログマイクの使用は、機器に故障が発生したときに高周波数範囲で深刻な振動が発生する高周波振動監視用途にとって特に重要です。
この記事がSTWIN SensorTileワイヤレス産業用ノードSTEVAL-STWINKT1 (193-9794) を購入する際に、予測すべきことを理解する助けになれば幸いです。
MEMSデバイスについてさらに詳しく知りたい場合は、DesignSparkのこちらの記事をお勧めします。
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