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RedPitaya セットアップ レビュー

この記事では、日本でも発売となった プログラマブル小型計測ボードRed Pitaya のセットアップをレビューしたいと思います。Red Pitaya (901-0302) はもともとKickstarterでうまれた計測ボードで、アプリを新たにインストールすることで手軽に機能を追加することも可能です。ボードではLinuxが動作しており、その上でWebサーバが稼働しているため、ユーザはこのWebサーバにアクセスすることでWebブラウザから計測結果をリアルタイムに確認することができます。サイズも手のひらに収まる大きさで、どこでも他のPCやタブレットといったデバイスからアクセスして計測が可能になります。最近の潮流にのった新たな形の計測デバイスであるといえると思います。

結果からいえば、1箇所つまづいたところを除けば、セットアップは比較的簡単だったといえると思います。計測画面のGUIも、実際の計測器を使ったことのある人ならばすぐに使いこなせるシンプルで直観的なものです。基本的な情報は ユーザマニュアル に記述されています。さらに細かい情報については、 フォーラム の議論などが参考になります。また、 Red Pitaya のハードウェアを含めた構成に関しては、 こちらの記事 もご覧ください。今回はWindowsでの場合を例にセットアップしていきたいと思います。

Micro SDカードの準備

Red Pitaya ではLinuxのデータ等がMicro SDカードをストレージとして保存されています。

まず、FAT32でフォーマットした32GBを超えないMicro SDカードを用意してください。FAT32でフォーマットされていない場合は、OSのユーティリティなどを使ってFAT32にフォーマットし直してください。 こちら からMicro SDに書き込むイメージをダウンロードし、ダウンロードされたZipファイルを解凍してください。Zipファイルを解凍した中身のファイルをすべてMicro SDカードにコピーします。

この際、ネットワークの接続をDHCPではなく固定アドレスで利用したい場合は、書き込むファイルを編集する必要があります。 マニュアル の"3.4 Manual network interface configuration"の項目をご覧ください。

このMicro SDカードを Red Pitaya のMicro SDカードスロットに向きに注意して挿入します。

Red Pitayaに電源を投入

Micro SDカードを挿入したら、LANケーブルをイーサネットポートに挿入します。LANケーブルのもう一端は、後述するダイレクト接続を行うので直接PCに接続してください。Micro USBケーブルを Red Pitaya のコンソール側のポートに挿入し、デバッグのためPCと接続します。最後に、2A供給可能なUSB電源と Red Pitaya の電源用のMicro USBポートを接続すると、 Red Pitaya が起動します。うまくいっていれば、基板上の青と緑のLEDが点灯し、オレンジのLED0が点滅するはずです。

PCとのダイレクト接続

今回、もっとも簡単にRed Pitayaと接続するため、ダイレクト接続によって動作テストを行いました。もちろん、ルータを介して接続すれば、同一のネットワークからタブレットやスマートフォンからRed Pitayaにアクセスすることもできます。ダイレクト接続では、Windows 7以降のPCであればストレートのLANケーブルでRed PitayaとPCを直接接続して通信を行うことができます。ただし、この場合、PCがイーサネットポートを介してインターネット接続していると、PCをインターネットに接続できなくなってしまうので注意してください。

接続には、PC側のIPアドレスを指定する必要があります。コントロールパネルから"ネットワークと共有センター"を開き、”ローカルエリア接続”を選択し、ローカルエリア接続の状態という画面を表示します。"プロパティ(P)"をクリックして、"インターネット プロトコル バージョン4(TCP/IPv4)"をダブルクリックします。"次のIPアドレスを使う"の項目を選択し、IPアドレスに 192.168.1.101 、サブネットマスクに 255.255.255.0 を指定します。"OK"を押してウインドウを閉じます。

Red Pitaya と接続した状態で、ブラウザに Red Pitaya のアドレス 192.168.1.100 を入力するとこのようなメイン画面が表示されます。

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シリアルコンソールによるPCとの接続

Red Pitayaでは、イーサネットとは独立して、シリアルコンソールを利用することができます。ブート時のステータスの確認や通常のコマンドライン操作が可能で、必須ではないですがうまく動かないときの検証などに便利です。電源用のMicro USBポートの隣にシリアルコンソール用のMicro USBポートがあり、USBシリアル変換ICを介して接続されています。まず、 FTDIのドライバ をダウンロードし、インストールしてください。COMポートが認識されるようになるはずです。このCOMポートに、 Tera Term などのターミナルソフトを使って接続します。シリアル接続のパラメータは次のようにします。

ポート
COM XX(認識された仮想ポート)
ボーレート
115200
データビット
8
ストップビット
1
パリティ
None
フロー制御
None

接続に成功すると、画面に”redpitaya>”と表示されるはずです。通常のLinuxコンソールと同様に利用できます。なお、コンソールを接続したまま、電源を入れなおすとブート時のステータスも確認できます。

Red Pitayaのアプリを使ってみる

デフォルトの状態で、Red Pitayaに接続すると、オシロスコープ、オシロスコープ&シグナルジェネレータ、スペクトルアナライザの3つのWebアプリケーションが確認できるはずです。今回、簡易的に動作テストを行うため、オシロスコープ&シグナルジェネレータを利用しました。

プローブをIN1とOUT1高速アナログポートに接続します。プローブを下の写真のようにつなぎ生成した波形を直接入力できるようにします。

オシロスコープ&シグナルジェネレータアプリの"Run"ボタンをクリックしてください。

アプリを起動したら、Signal generatorの設定項目をクリックして開き、Signal type: Sine 、Amplitude: 1 Vpp、Frequency: 1000 Hzとします。最後に Channel 1 をチェックしてください。これで、Channel 1から波形が出力されます。

JPN-setup-redpitaya-11_622a31977cdd84f2f29b4710d08f26f311fc7877.png

続いて、オシロスコープの設定をします。まず、左上のChannel 2ボタンをクリックして、Channel 2の必要ない波形を消します。Triggerの設定項目のSource: Channel 1 、Mode: Normal 、Edge: Rising 、Level: 0.2 Vとします。これで0.2Vでの立ち上がりを基準に、波形を固定できます。Rangeの設定項目でX axis: 5ms 、Y axis: 2V に設定すると下の画面のように波形を表示できます。

波形を確認するときちんと1ms周期のSin波になっていることがわかります。

つまづいたところ

今回のレビュー時につまづいたのは、適当に余っていたMicro SDカードを利用したところ、Linuxは起動しているのですが一部のファイルが読み込めないという状態となった点です。このためにイーサネットによる接続ができず、はじめ、うまくPCと接続できませんでした。接続がうまくいかない場合、シリアルコンソールできちんとサーバなどが起動しているか等を確認しておくと原因を特定しやすくなると思います。結局、違うMicro SDカードを利用したところ、一度で動作させることができました。このようなエラーが出た際は、Micro SDカードを変えてみるのも1つの手かもしれません。

まとめ

今回は、最も簡単な構成でのレビューとなりましたが、機会があれば、Webアプリケーションを通してiPadなどのタブレット端末で Red Pitaya (800-7403) を利用する方法などについても試してみたいと考えています。Red Pitaya (901-0302) はRSオンラインの こちら からご購入いただけます。

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