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自由に利活用できる知的財産? オープンソースについて技術者が知っておくべきこと

オープンソースをうまく説明できますか?

オープンソースの世界では、有益な情報、知的財産(IP:Intellectual Property)が無料で公開されており、誰もが自由にそれを使うことができます。これらオープンソース技術のコア開発を主導するコミュニティーは素晴らしいものが多く、大半のコミュニティーが、大企業や中小企業が羨む資質を持ち合わせていたりします。また、目的や組織構造が明確で、意欲があり、クリエイティビティをかきたてるような総意の元、運営されています。そしてもちろん、そこから生まれたものはフリーで利用できます。こういったカルチャーにに戸惑いを覚える人も多いでしょう。

疑いの余地もありませんが、このフリー(無料)という点に魅了されてオープンソース技術を採用する人も少なくありません。この例として最も知られているのはおそらく、様々な分野の市場を超えて利用されているLinuxでしょう。現在の情報端末や電子機器には、大抵オペレーティングシステム(OS)が必要です。もちろん、オープンソースではないOSも存在し、Linuxが唯一のオープンソースのOSというわけではありませんが、オープンソースで入手できるOSの中で、最も幅広く親しまれているものが、Linuxではないでしょうか。.

open source Linux

OSは、それ単体では動作しません。プロセッサを必要としますが、中でもLinuxを実行するためには、32ビットの命令セットアーキテクチャ (ISA) が必要です。オープンソースソフトウェアのコンセプトがまだ馴染まない方は、一旦オープンソースハードウェアについて考えてみるのはどうでしょうか。最新のホットなオープンソースハードウェア技術といえば、RISC-V ISAが挙げられます。今ではISAを使って、誰でもLinuxが実行可能な32ビットプロセッサを作ることができるのです。

この後また述べますが、こういった類の発明は、今の商業分野にも大きな影響を与えています。関連性の高い質問にいくつかにお答えし、現在提供されている最高のオープンソースIPを見つけるためのガイドも示していきます。

オープンソースの小史

「オープンソース」という言葉は、オープンソース・イニシアティブ(Open Source Initiative)の設立に伴い、1998年ごろから幅広く使用されるようになりました。これは、Netscape社がブラウザのソースコード公開した時期と一致します。ですが、特許申請が可能なIPを共有するという概念は、さらに以前から存在していました。

ヘンリー・フォードは、内燃機関の特許に対する異議申し立てを成功させた後、オープンソースの先人のひとりとして考えられるようになりました。彼はその後、自動車製造業者協会の設立を支援し、この協会によって、すべてのアメリカ自動車メーカーが無料で、特許技術からの利益を得たり、共有したりすることが可能になりました。競合する会社間のこのレベルでの協力関係は、今ではオープンソースのハードウェアやソフトウェアの使用によって一般化されています。

リチャード・ストールマン氏によって、1983年に設立されたフリーソフトウェア財団 (fsf.org)は、「4つの基本的な自由」の元、GNUプロジェクトを立ち上げました。この「自由」とは、ソフトウェアの実行、研究、改造、共有の自由のことです。「free(フリー)」という言葉は、解釈が長年分かれてしまうような難しいものでしたが、この文脈においては、「無料」と同時に「アクセスの自由」の意味も持ちます。

GNUプロジェクトは、LinuxやUnixと、非常に深い関係にありました (Unixは独自仕様のオペレーティングシステムであり、GNUは再帰的頭字語の、「GNUはUNIXではない(GNU’s Not Unix)」という意味を表しています)。リーナス・トーバルズ氏がカーネルを開発し、これをGNU General Public License の元、自由に利用できるようにしました。このカーネルが、GNUプロジェクトの元で開発されたユーティリティと組み合わせられて、Linuxが生まれました。

協力(collaboration)と貢献(contribution)がオープンソース技術の中核であり、これによって、数人という人的資源にそれほど大きな負担をかけることなく、多くの人の支援が可能になるのです。また、オープンソース技術を支援するための商業サービスが、今では非常に利益率が高く、業種を超えて歓迎されています。今日、大半のオープンソースプロジェクトが、GitHubや、Google Codeの様なウェブサイトを通じて、配布とバージョン管理のサービスを提供しています。

オープンソースについて覚えておくべきこと

先にも述べたように、「オープンソース」という用語は幅広く使用されていますが、これは、オープンソース・イニシアティブによって定義されている言葉です。オープンが意味することについては、誤解されることのないよう、10項目の定義(opensource.org/osd)があります。だとしてもエンジニアは、自由に利用できる技術を採用することについて、特にそれが初めての場合だと、数多くの疑問を抱えてしまいます。ここでは最も頻繁に質問されるであろう、5つの質問に対する回答を、詳しい資料へのリンクも添えてお伝えしていきます。

  • オープンソースは本当にフリー(自由、無料)なのですか?

簡潔に答えるなら、「はい」です。特にGNU GPL(gnugpl.org) で許諾されている場合は強く当てはまります。オープンソースライセンスの定義は、オープンソース・イニシアティブにより明確に定められ、いくつかの派生ライセンスが管理されています(opensource.org/licences)。この中には、GNUライセンスやBSDライセンス、Apacheライセンス、Eclipseライセンスといった、よく知られているライセンス形態に加え、国際ライセンスや特殊目的用のライセンスなども用意されています。

  • オープンソースを利用する際、自分のコードを公開する必要はありますか?

ソースコードとしてではなくライブラリとして利用する場合、その生成物もオープンソースライセンスとして提供されている限り必ずしもコードを公開する必要はありません。元ソースに修正する際にそのソースを公開すべきかどうかは個々のオープンソースライセンスによって変わります。ただ、基本的にはソース公開を基本思想としているため、ソース公開を求めているライセンスであることが多いでしょう。

  • オープンソース化された知的財産(IP)は全てライセンスされる事になるのですか?

ライセンス設定を正しく行わずにIPを公開した場合、その技術を他者がどのように利用するかについて、口をはさむことはできません。しかし、オープンソースライセンス技術をベースに作成された部分があれば、オープンンソースを無視したライセンスで利用されることは難しくなるでしょう。

  • オープンソースIPはどこで見つけることができますか?

先で軽く述べましたが、ほとんどのコミュニティープロジェクトや、個人、営利会社によって作成されたプロジェクトは、GitHub(github.com)か、Google Code(code.google.com)上で提供されています。営利会社がプロジェクトをリリースする理由は、公開されていない場合が多い中核技術に対し、関心を高めるためです。例として、回路設計を、自社ハードウェア用ドライバー、APIとともにオープンソースにする半導体メーカーが挙げられます。フリーソフトウェア財団にも、フリーソフト用のディレクトリ(directory.fsf.org)があり、また、Thingiverse(www.thingiverse.com)の様なサイトでは、様々なメイカーにより、設計ファイルやリソースが提供され、「フリー」で利用可能になっています。

  • オープンソースIPに対して、利用者が持っている権利は?

これは、適用されているオープンソースライセンスの種類に依存します。承認済みのライセンスが何も適用されていない場合、IPを公開した人が権限を持つ可能性は低いです。ただし、ライセンスを設定したとしても、オープンの特性から、大半のライセンスでは、利用者に対して内容を公開しているかどうかに関わらず、IP の大部分に関する権利を放棄するよう求めています。

オープンソースIPの将来

IPを「フリー」にすることは、別に営利販売を禁止しようとするものではありません。オープンなIPは、営利会社が運営可能なエコシステム構築の助けとなることで、商業用IPを引き立てています。今では幅広い場面で、オープンソース技術のもと、設計サービスが提供され、そして、使われています。

近年の成功例として、RISC-V ISPが挙げられます。これは、IPがフリーで使用できるものの、プロセッサの製作が必要です。ASIC、SoC、FPGAといった形式をとることができますが、RISC-Vアーキテクチャの利用を検討しているすべての会社が、製造に必要なリソースをすべて持っているわけではありません。これが、商業サービスとオープンソース技術がどのように共生していくのか考えられる、例の一つでもあります。

将来、こういった境界線は一層ぼやけてくるかもしれません。より多くの独創的なライセンスが開発され、IPへのさらなるアクセスが可能になったり、より自由に変更ができるようになったりすることが考えられます。「フリー」に対して、オープンソース・イニシアティブと同様の定義を持つオープンソースハードウェア協会では、「よくある質問」 (www.oshwa.org/faq)を通して、エンジニアにオープンソースハードウェアの基礎となる優れた情報を提供してくれています。

一つ確かなこととして言えるのは、オープンソースIPは今後、増えていくであろうということです。オープンソース利用での次なる課題としては、品質の保証という点が挙げられます。しかし、非営利組織が設置され、それによりオープンソースIPが保守されることで、エンジニアと幅広いメーカーコミュニティーが、「フリーなもの」を継続的に、より高頻度で使用できる未来が期待できるでしょう。

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