DesignSpark Electrical Logolinkedin
Menu 検索
フォーラムで質問

IoT製品がCEマークを取得するまで パート1: 準備を整える

本シリーズの記事では、IoT製品が一般販売に向けてCEマークを取得するまでの、プロトタイプからテスト、必要な設計変更に至る流れについて取り上げます。

CEマーキングについてこれまでそのプロセスを経験したことのないエンジニアに話すと、恐怖に震えあがるか、または幸運にも何も知らないか、反応は2つに分かれるでしょう。一旦関わると、間もなく幾つもの基準に目を通す羽目になり、どれが製品に適用されるのか、どうやってテストに着手すればよいのか苦悩し、ついには自宅をもう一度抵当に入れるべきか考え始めるかもしれません…。いやいや、本シリーズの記事ではCEマークの取得がそれほど恐ろしいものではないことを説明したいと思います!

今回のケーススタディで取り上げるのはある環境センサプラットフォームであり、LoRa、WiFi、Bluetooth、SigFoxをはじめとするワイヤレスシステムのマイクロコントローラを備えたPycomモジュールと共に使用する設計になっています。その設計はエンドユーザ向けではなく、むしろPycomモジュールと同様に、開発で使用されたりエンドユーザ向け製品に統合されたりするコンポーネントだといえます。

しかしながら、たとえきれいな筐体に入っていなくても、生産ファームウェアやサービスインテグレーションが消費者向け製品に組み込まれる可能性がある場合、しっかりとテストすることはできます。そうすればエンジニアや製品設計者は製品製造の段階になってから、自分たちの設計が原因の問題に対処する必要はないのだと安心できます。

CEとは何か?

CEとはConformité Européenne (European Conformity、ヨーロッパ適合)の略称であり、その製品が、欧州経済地域(EEA)で販売される製品を対象とした健康、安全、環境保護に関する基準に準拠していることを示します。

「CEマーキング」については、最初にこれに当てはまらないことから説明すると分かりやすいと思います。

    • CEマーキングは、政府の研究機関や業界団体などの第三者機関の認定ではありません。
    • 「China Export (中国の輸出品)」の意味ではありません!

1点目は理解しなくてはならない重要事項ですが、CEマーキングは、ベンダー側が製品が基準に適切に対応していることを主張するために行います。テストを一切実施しないでマークを付けることもできますが、それは保険に入らないことを選択するのと同じです。もちろん程度の差はありますが、ベンダーが干渉(EMI)や身体的な悪影響までも起こし得る潜在リスクを抱える中で、どれくらいのリスクを自分でとるかという点が問題になります。

2点目について、CEは中国の輸出品の意味ではないのですが、何社かのベンダーは逆にその意味でマークを使用しています。本件については皆さんご想像のとおり、欧州議会が関心を示しています

さて、つまりCEとは関連する基準に注意を払わなくてはならないということだとして、関連する基準とはいったい何でしょうか?それはすべて対象となる製品次第であり、適用される基準はその製品が自動車、ノートパソコン、電子レンジ、医療機器など、どのような種類かによって大きく変わってきます。

ここではこれ以上の詳細には触れず、適用される基準については今後の記事で説明します。但し、電磁両立性(EMC)について基本的に言えるのは、いかなるエミッションについても許容可能なレベルに抑え私たちが十分に干渉を受けないよう徹底するということです。

ハードウェアに関する説明

環境センサプラットフォームはPycom LoPy (162-8047) モジュールを中心に構築されています。Pycomモジュールに慣れていない場合は、適度なパワーを備えるWiFi搭載32ビットRISCマイクロコントローラのESP8266と、さまざまな低電力ワイヤレス基準に対応する追加サポートを統合します。これらはMicroPython経由でプログラム可能です。MicroPythonは際立って初心者に使いやすいPython言語に見られる機能一式を提供し、更に統合された周辺機器に簡単に適用できるサポートを備えています。

上記のブロック図を左下から時計回りに見ていくと、センサプラットフォームがPycomモジュールから次のように広がっていることがわかります。

    • I2C経由で接続される、周辺光センサ
    • I2C経由で接続される、BME680統合環境センサ
    • アナログ入力の騒音測定器
    • シンプルなデジタルGPIO経由で接続されるPIRセンサ
    • Pmod拡張
    • ステータスLED

まとめると、これらはデジタルとアナログの入出力機能を持つ周辺機器の集まりであり、今後に向けた拡張性も備えているので、テスト実施時には興味深い組み合わせが可能となります。

プロトタイプ

この環境センサプラットフォームは、そもそもアールエスコンポーネンツ本社でのIoT/スマートビルディングのデモ用機器として開発され、LoRaWAN経由で接続します。このボードはDesignSpark PCBを使用して設計されており2つのCADリビジョンが作成され、セカンドリビジョンのボード30点が、社内の小型のピックアンドプレースマシン上で組み立てられました。

この30点のボードのうち24点が搭載され、残りは開発やテストで使用されました。搭載されたボードは数ヵ月たった今も問題なく動いており、The Things Network経由でダッシュボードにデータを送り、次の内容を計測しています。

    • 温度(BME680)
    • 湿度(BME680)
    • 気圧(BME680)
    • 揮発性有機化合物(BME680)
    • 周辺光レベル(BH1750FVI)
    • 騒音レベル(マイク + プリアンプ + アナログ入力)
    • PIR (Panasonic EKMC1603111)

The Things Network Console上で表示されるデコードされたデータ

こうして便利なソリューションが実現したものの、このセンサプラットフォームのCEマーキングと一般販売は当初想定しておらず、関連する基準に対応するために幾つかの設計変更が必要になる可能性は十分にあります。運がよければ、こうした変更はわずかで済む場合もあります。当初の設計者がプロフェッショナルなエンジニアで、プロトタイプやデモ用機器であっても常に努力してベストプラクティスを追求していれば、そのようなケースもあり得るでしょう。

プロセス

ここからはまさに各分野のエキスパートのサポートが大きな助けになります。例えば、適用される基準に関する助言、適切に調整されたテスト用機材の手配、その正しい使い方、それから問題発生時の原因特定と改善策についての知見などです。

当社はEMCテストサービスプロバイダのUnit 3 Complianceと協業する予定です。同社は予備適合性試験とEMC対応の製品設計を専門としています。おおよそのプロセスは以下のとおりです。

    1. 初期設計のレビュー(Unit 3 Compliance)
    2. 新たなCADリビジョンとボードの作成
    3. 予備適合性EMC試験(Unit 3 Compliance)
    4. 必要であれば、新たなCADリビジョンとボードの作成
    5. 認定済研究施設でのテスト

直接ステップ3に進むこともできますが、当社側で設計のマイナーチェンジや別用途のボード追加といった要望が出てくることもあり、小規模な製造過程を1回実施するのは当社にとってもテスト前に設計をレビューして微調整する好機になります。

仮にテストで望ましい結果が得られたとして、リスクに対するアプローチ次第ではステップ3でプロセスを止めることもできます。また、実際には認定済研究施設のサービスを利用していないベンダーも多いかもしれません。お察しのとおり、コストが高いためです。しかしながら今回のケースについては、認定済研究施設のテストレポートによって再度保証を得ておきたいと思います。

最初から認定済研究施設でのテストに進むのはどうでしょうか?先に述べたとおりコストが高く、予備適合性サービスの方が問題の特定と対処を高い費用対効果で実施できます。また、不運なことに、関連する基準に対応するために設計変更の繰り返しや再テストが必要になるかもしれません。この場合も認定済研究施設より予備適合性試験での実施が適切です。

成果物

最後に成果物について触れておくと、テストの結果と共に、さまざまな設計資料やファームウェアも順次共有する予定です。最終的にはDesignSpark PCBデータベースにオープンソースハードウェアとして公開され、誰でも当製品を製造したり、関連製品の土台として活用したりできます。

Andrew Back

Open source (hardware and software!) advocate, Treasurer and Director of the Free and Open Source Silicon Foundation, organiser of Wuthering Bytes technology festival and founder of the Open Source Hardware User Group.

12 Oct 2018, 14:21