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+が付いて何が変わるのかについて、最新のRaspberry Pi と前モデルを比較しながら説明します。
この投稿では、新しいRaspberry Pi 3 Model B+の第一印象と、新機能及び改善された機能をいくつか説明します。また、これまで明らかにされていない詳細にも触れています。 使用した基板及びオペレーティングシステムはリリース前のバージョンで、これからリリースされる実際の製品とは多少異なっている部分があるかもしれませんがご容赦ください。
衝撃的なファーストインプレッション
Raspberry Pi 3 B+を一目見て気づくのは、システムオンチップ(SoC)が異なっている、あるいは、少なくとも3Bで使用されているものとは見た目が異なったパッケージが使用されていることです。細かく見ると、BCM2837とマークされていることが分かります。このため前のバージョンで使用されていたBroadcom SoCと基本的には同じもののように見えます。それではパッケージの何が変わったのでしょうか?熱伝導により優れた金属を使用して、性能を向上しているのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
Voyons voir !
金属については、スクリーニングにロゴがスタンプされて興味を引く見た目になっています。基盤の裏にあったワイヤレスICがなくなったか、少なくとも位置が変わっています。EMCに準拠するように最小限の改善がなされ、おそらく新しいワイヤレスデバイスになったことを示しています。また、チップアンテナがなくなり、Zero Wで使用されていた基板アンテナ設計に変更されています。
アップグレードによって有線ネットワーク接続も改善されているように見えます。LAN9514統合4ポートUSB 2.0ハブ及び10/100イーサネットICがLAN7515向けに変わり、6ポートUSB 2.0ハブ(有効性が4倍)と10/100/1000イーサネットを統合しています。USB 2.0の理論上の最大転送速度は480Mbit/sです。さらに、このデバイスには次のような機能もあります。
- • 802.3az省電力型イーサネット
- • 最大9KBのジャンボフレームに対応
- • 複数の自動省電力モード
これらすべて、ネットワーク主体の用途にメリットがあります。たとえばジャンボフレームへの対応は、Raspberry Piをサーバー又はクライアントとして使用してネットワーク接続ストレージ(NAS)を使用するなど、より高いネットワーク性能を求めている方に喜ばれるでしょう。
ところで上の画像を見ると、新しい4ピンヘッダに「PoE」とマークされているのが分かります。これは何でしょうか?
Power-over-Ethernet
PoEの一般的な用途
パワーオーバーイーサネット(PoE)という用語は、ツイストペアケーブルでデータ及び電気を送る、標準化されたシステムと一時的なシステムの両方の説明に使用されます。VoIP卓上電話やリモートCCTVカメラへの電力供給によく利用されています。たとえば、IEEE 802.3af (PoE)及び802.3at (PoE+)の各規格は、それぞれ最大15.4W及び25.5Wの電力を、接続されている受電装置(PD)に供給します。
PoEネットワークスイッチは、よりベーシックなスイッチで使用する「パワーインジェクタ」とともに、電源供給に使用されます。たとえば上図のNETGEAR GS308P (121-8132) は、それぞれ15.4Wの電力を供給可能なポート4つと、非給電ポート4つを備えています。
システムが規格に準拠していれば、クロスオーバーケーブルを使って反転することでDC電源にも対応可能です。受電装置及び給電装置(PSE)を実装した機構を備えており、PoEのクラスに対応しています。非準拠デバイスが検出された場合は電源が遮断されます。
要するに、場合によってはスイッチから100Mも離れた場所にあるリモートネットワーク機器に電力を供給する非常に便利な方法がPoEだということです。この投稿を書いている時点では、Raspberry Pi 3 Model B+にとってPoE機能がどういうメリットがあるかは正確には分かりませんが、15.4Wを供給できる802.3afは、Raspberry Piの他にHATや多くの標準的な周辺機器には十分です。
より深い考察
それでは、オペレーティングシステム(リリース前の基盤に搭載されている初期バージョン)から見た場合のハードウェアについて見てみましょう。
最初にlsusbを実行すると、Raspberry Pi 3 Model B+で上図のような出力が見られます。LAN7515にはハブコントローラが2つあることが分かります。一方Raspberry Pi 3Bには、下図のとおり1つです。
次にlscpuを実行します。
CPUの最大MHzが1200ではなく最大1400であることを除けば、Raspberry Pi 3 Model Bの場合と同じです。そう、オーバークロックなしで最大1.4GHzなのです。
proc filesystemを使ってCPU情報を表示してみます。
pi@3bplus:~ $ cat /proc/cpuinfo
ハードウェアの値は無視してかまいません。特定のモデルではなく、私たちが関心を抱いているリビジョンのSoCファミリであることを示しています。
今回のリビジョンはa020d3で、Raspberry Pi 3 Model Bのリビジョンとは異なっています。
当然のことながら、この投稿を書いている時点ではこの新しいリビジョン番号は公式にはどこにも明らかにされていませんが、新しいパッケージと最大CPU速度とともに、Broadcom SoCの新しいタイプがリリースされることが分かります。
ethtoolを使えば、ネットワークドライバを確認して、メディアタイプとしてLANンターフェイスが1000BaseTに対応していることが分かります。
入手したリリース前の画像ではO/Sで検出されていないため、ワイヤレスの詳細は確認できませんでしたが、新しいデバイスであることを示しているように思われます。
基本的なベンチマーク
sysbenchを使えば、シンプルなCPUベンチマークを実行し、素数の確認にどれだけ時間がかかるのかを確認できます。
$ sysbench --test=cpu --num-threads=4 --cpu-max-prime=9999 run
Bはおよそ35秒、B+は30秒で処理を完了したことが分かります。クロック速度の上昇から考えて、約15%の高速化は悪くない数値です。
実際のCPU MHzは負荷に従って動的にスケール変更されるため、別のターミナルウィンドウで実行することで、現在の速度を確認できます。
$ watch -n 1 cat /sys/devices/system/cpu/cpu0/cpufreq/scaling_cur_freq
これを両システムで実行することで、Raspberry Pi 3 Model Bはアイドル時の600MHzから1.2GHzにランプアップし、新しいB+は600MHzから1.4GHzにランプアップすることを確認しました。
私たちの好奇心を満足させるには以上で十分です。ハードウェアが販売されたら、より詳細なベンチマークレポートと分析を誰かが出してくれることでしょう。
まとめ
性能の向上はいつでも大歓迎です。処理能力やネットワークループットの向上を求める声は常にありますが、パワーオーバーイーサネットがRaspberry Pi 3 Model B+の非常に魅力的な機能であることは間違いありません。当初はニッチな機能のように思われていたかもしれませんが、いくつもの電源や電源ケーブルを使わずに、1本のケーブルでネットワークと電力をデバイスに供給できるメリットは、過小評価すべきではありません。
Raspberry Pi用の「パワースプリッタ」とPoEアドオンは別々に購入しようと思えばできますが、厳密に統合されたソリューションを購入するのが最適です。ネットワークと電源をコアで適切に組み合わせたこの機能によって、もっと刺激的でもっとおもしろい、非常に実用的なプロジェクトが数多く生まれることでしょう。