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ルネサスマイコン「RA6M4」の開発キットは円滑な開発を支援する便利な機能が満載!
ルネサス製マイコン「RA6M4ファミリ」は、高性能 Arm Cortex-M33(200MHz)をコアとし USB、Ethernet、CAN、TrustZoneなど多くの機能をサポートしたマイクロコントローラです。ここでは、これらマイコンファミリーの開発をサポートする「EK-RA6M4」開発キットを紹介します。豊富な拡張オプションに加え、包括的なソフトウェアサポートも付属しています。
RA6M4 101
RA6M4マイコンの機能を表したブロック図は上記の通りです。代表的な機能は以下の通り:
- 200MHz Arm Cortex-M33 with TrustZone
- 256KB RAM、8KB DataFlash(EEPROMと同様に使用可能)、512KB~1MB Flash
- セキュアエレメント機能
- DMA付きイーサネットコントローラ
- 2個の12ビットADC、2個の12ビットDAC
- 静電容量式タッチセンサー
- USB 2.0フルスピード
- CAN 2.0B
- QuadSPIとOctaSPI
- UART, SPI and I2C
- SDHIとMMC
特に注目すべきはArm TrustZoneで、データ・サービス・メモリの特定領域を安全な環境とそうでない環境の間で分離できるTEE(Trusted Execution Environment)を提供している点です。例えば安全な領域には秘密鍵やセキュリティルーチン、あるいは商業的に機密性の高いアルゴリズムなどが格納されています。つまりRA6M4マイコンでは、DMAやDTCなどを通じた非セキュアなコードからセキュアなデータへのアクセスが制限されているということになります。
評価キット本体について
EK-RA6M評価キット (206-4728) は開発ボード、イーサネットケーブル、USBケーブル、およびクイックスタートカードを同梱しています。.
ボードは適度な大きさでI/Oが豊富にあり、明確なラベルが貼られており大まかな機能ごとのセクションに分かれています。
ボードの左側にはマイコンのピンへの直接操作が可能な4つの0.1インチピンヘッダーとマイコン電流とUSB電流の測定(検知)ポイントがあります。
ボードの中央にはQSPI(Quad SPI)とOCTASPIの両方のフラッシュデバイス、そしてイーサネットがあります。
右側には以下の拡張ヘッダーがあります:
- mikroBUS
- Qwiic
- Grove
- Pmod
- Arduino
これらの拡張ヘッダーを使用することにより、膨大な数のサードパーティモジュール(他社製のセンサーボードや自作拡張基板など)を使用することでき、機能評価やプロトタイピングを迅速に行うことができます。
上ブロック図では評価キットのオンボードのデバッグプローブであるJ-Link OBを含む、様々なハードウェア機能を確認することができます。
開梱後すぐにデモが動作!
まずボード上のMicroUSBポートJ11をコンピュータのUSBポートに接続します。この際、Windowsを使用している場合は、一般的なUSBシリアルドライバを追加でインストールする必要があります。しかしLinuxの場合はカーネルにサポートが組み込まれています。(一部、入っていないこともあります)
次にWindows の場合であればターミナルエミュレータ、Linuxの場合はscreenなどを使ってシリアルポートに接続します。
ポートの設定は以下の通りです:
- 115,200 bps
- 8 data bits
- no parity
- 1 stop bit
- no flow control(フローコントロールなし)
接続すると下のシンプルなメニューシステムが表示されます。
オプション1を選択するとキット情報が印刷されます(セキュリティの観点からマイコンのユニークIDは隠しています)。
オプション2を選択するとWebサーバーが起動します。
ブラウザでIPアドレスにアクセスすると以下が表示されます。
上図のようにネットワーク経由でボードに接続することで、シリアル接続したときと同様のキット情報が表示できます。
次にプロジェクトを本格的に始動するために、設定をどのように修正・変更するかを見ていきましょう。まずは開発環境を整える必要があります。
ツールのインストール
開発環境の一番初めは必要なツールをインストールすることです。
ルネサス製のRAファミリはHALドライバ、ミドルウェアスタック、RTOSなどを含むRenesas Flexible Support Package (FSP)によってサポートされています。またEclipseをベースにしたIDE「e2 studio IDE」もこれに含まれています。
デフォルトのツールチェーンはGCC Arm Embeddedですが、IAR Embedded WorkbenchとArm Keil MDKもサポートしています。
またFSPはArm TrustZoneに対応しており、ルートオブトラストの脆弱性分析と侵入テストを行うサポートも入っています。また、PSAレベル2の認定を受けています。
ソフトウェアのセットアップ手順はFSPのソースコード一式とともにGitHubに掲載されています。なお、開発にはWindowsが動作するコンピュータが必要です。
まず、下記のv2.0.0のプラットフォームインストーラをインストールします:
Install setup_fsp_v2.0.0_e2s_v2020.exe
その後、最新のFSPパッケージをインストールします:
FSP_Packs_v2.0.2.exe
その後、上図のようにe2 studioを立ち上げました。
これで開発環境はある程度整いました。開発プロジェクトによってはさらに環境を整える必要がありますが、次に紹介するサンプルでは追加のインストール・設定は必要ありません。
便利なサンプルプログラムで、開発を時短!
クイックスタートサンプルはルネサス社のウェブサイトからダウンロードできます。ZIPファイルを解凍した後、e2 studioでFile → Import → General → Existing Projectsを選択します。
またクイックスタートサンプルや他の多くのサンプルはra-fsp-examplesのGitHubリポジトリからも入手できます。「Releases」に移動して適切なリリースを選択すると、その下にRA6M4キット用のプロジェクトが入ったZIPと、それについての説明が記載されているPDFドキュメントがあります。もちろん、gitクライアントを使用してリポジトリをクローンすることもできます。
プロジェクトをIDEにロードしたら変更を加えることができます。クイックスタートガイドでは面倒な手順を必要とせず、簡単な手順でTCP/IPスタック構成を変更する方法を紹介しています。これを行うにはプロジェクトエクスプローラーでconfiguration.xmlをクリックしConfiguratorを起動します。続いて、「Threads」パネルの「Stacks」タブを選択すると、「Net Thread」がありその下にFreeRTOS + TCPがあります。
スタックのプロパティを設定するためには、FSP構成パースペクティブに切り替える必要がありますがこれはWindows → Perspective → Open Perspective → Other...から実行できます。
上図のようにプロパティタブが表示され、これを選択するとプロジェクトのビルドに進む前に、FreeRTOSスタック構成を変更できます。クイックスタートガイドではこれを使用しDHCPを無効にし、代わりにソースを編集してスタティック(静的)IPアドレスを設定する方法を紹介しています。
Stacks Configurationのパネルでは右側の一部のモジュールに情報サークルのアイコンがあり、クリックするとドキュメントが読み込まれ、表示されることに注意してください。例えばFreeRTOS + TCPモジュールを使用する場合は、FreeRTOSウェブサイトのドキュメントにリンクします。
その他の例
ルネサス社が提供するRA6M4のサンプルは40以上あり、代表的なものをリスト化します:
- ADC
- CAN bus (外付けトランシーバー使用)
- Ethernet
- Flash
- FreeRTOSのメッセージキューとセマフォ(semaphore)
- 低消費電力モジュールとパワーセーブ
- 暗号化
- USB (HCDC, HHID, HMSC, PCDC, PHID and PMSC)
- ウォッチドッグ
- Arm TrustZone
ルネサスFSPのアーキテクチャとAPIを詳細に説明した、ドキュメントはオンラインでご覧いただけます。
最後に
ルネサス製のRA6M4は高性能マイコン、豊富なI/O、イーサネット、セキュリティ強化などの組み合わせを必要とするアプリケーションに適しています。EK-RA6M4は火災検知器、防犯ブザー、計測器、制御システムなどの高性能マイコンを必要とするアプリケーションに最適です。EK-RA6M4はルネサスFSPの提供する豊富な機能と包括的なソフトウェアサポートにより、マイコンの評価とプロトタイピングの両方に便利なプラットフォームを提供しています。
さらなる詳細についてはこちらをご覧ください:
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