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通常版であるDesignSpark PCBと、有償版のDesignSpark PCB Proはどう違うのだろう?DesignSpark PCBをしばらく使用して、プロフェッショナルバージョンに乗り換えるべきか迷っている方は特に、この記事を読み進めてほしい。ユーザーインターフェース(UI)の点からそれぞれの違いについて説明する。
Technology Fileの作成
新しいTechnology Fileの作成から始めよう。Technology Fileという言葉になじみがなければ、Microsoft Wordと同じようなものだと考えてほしい。Wordで新しいレポートを書くとき、その時々でテキストやフォントのスタイル設定を使い分けるだろう。同様に、Technology Fileを作成すると、単位、グリッドサイズ、トラック幅など、同じ設計設定をさまざまなプロジェクトで使い回すことができる。これは、利用するプリント基板メーカーごとに仕様を変える必要があるというときに便利だ。
DS PCBで新しいTechnology Fileを作成するには、[File] - [New] - [New Technology File]を順に選択する。新しいウィンドウが開くので、回路図かPCBのどちらのTechnology Fileを作成するかを選択する。[Copy From File]オプションでは、ベースとして使用するTechnology Fileを選択できる。
DS PCBにおけるTechnology Fileの作成
DS PCB ProにおけるTechnology Fileの作成
DS PCB Proではダイアログボックスが少々異なり、[Technology]という独立したタブがある。ここにあるオプションはDS PCBと同じものだ。
単位
Technology Fileの新しいウィンドウが開いたら、まずは設計の単位の指定を行なう。[Settings]では、インペリアル単位(ヤード・ポンド法)かメトリック単位(メートル法)かを選択できる。DS PCB Proでは、ショートカット<Shift-I>で単位の切り替えが可能だ。これはインペリアル単位とメトリック単位の両方を使用する必要があるときに非常に便利である。
DS PCBにおける単位の選択
DS PCB Proにおける単位の選択
グリッド
[Grids]ダイアログのオプションが、DS PCB Proでは増えている。独自の表示設定・独自のグリッドの作成と保存が可能だ。Polarグリッドも使用できる。[Grids]ダイアログは、通常版とPro版いずれも [Settings]メニューから開くことができる。
DS PCBの[Grids]
DS PCB Proの[Grids]
Design Technology
このダイアログは、設計のスタイルを定義するのに使用する。パッドの形とサイズ、テキストとラインのスタイル、接続などが含まれる。DS PCB Proでは、以前から使えた設定に加えて、[Hatch style]を定義したり、システムの[Value Name]をコンポーネントに割り当てたり、同じ設計の[Variants]を作成したりすることができる。その他にも、次のようなオプションがある。
- [Layer Spans] - ブラインドビアや埋め込みビアの追加と変更
- [Component Rules] - コンポーネントのどのルールを維持し、どのルールを維持しないかの割り当て
- [Wire Length] - 許容ワイヤ長の指定 など
DS PCBの[Design Technology]ダイアログ
DS PCB Proの[Design Technology]ダイアログ
色設定
[Colours]ダイアログでは、任意の設計項目の色を変更できる。DS PCB Proでは、通常版のDS PCBと比べ、このダイアログに沢山のオプションが追加されている。例えば、オペアンプなどの新しいシンボルを作成するときに、オートフィルを使うことができる。また、ネットやネットクラスの色を指定することもできる。色設定は、Colourファイルに保存して、他の設計で再利用が可能だ。
DS PCBの[Colours]ダイアログ
DS PCB Proの[Colours]ダイアログ
Customise
DS PCB Proのこのダイアログでは、よく使う機能のキーボードショートカットの設定とは別に、ツールバー、メニュー、コマンドを編集したり、オプションの一部の一般的な機能を編集したりできる。
[Toolbars]では、使用可能なツールバーのリストで表示設定を変更して、UIのカスタマイズを行なう。[Menu]タブでは、各種の設計にどの種類のメニューを表示するかを定義する。最後に[Commands]タブでは、ツールバーに表示するコマンドをドラッグ&ドロップで決定する。
DS PCBの[Customise]ダイアログ
DS PCB Proの[Customise]ダイアログ
Preferences
DS PCBでは、デュアルスクリーンで作業するためのオプションがある。[Settings] - [Preferences] - [Dual Screen]タブでは、複数のモニタに各インスタンスをどのように配置するか、又は1つの大きな画面に表示するかを指定できる。対話処理の特性(マウスの感度など)を回路図やPCB設計別に変更することも可能だ。DS PCB Proには、[PCB Tracks]のプロパティを編集するための専用のダイアログもある。アプリケーションウィンドウに表示される警告は、[Preferences]セクションの[Warning]タブで有効/無効の切り替えができる。
DS PCBの[Preferences]ダイアログ
DS PCB Proの[Preferences]ダイアログ
回路図とプリント基板設計
ここでは、設計ファイルの一部の新機能について見てみよう。
まずは、DS PCBにはなかった[Cutout]オプションと[Merge]オプションだ。これは回路図シンボルやPCBシンボルを描くときに便利だ。
次に、DS PCB Proは階層設計に対応した。問題を複数の機能的要素に分解し、それぞれ個別に取り組むことで、より構造化された設計が可能になった。共通の回路要素を「ブロック」に保存することで再利用しやすくなる。[Settings] - [Add menu]で[Block]オプションを選択すると、ブロック名とコンテンツ設計を指定できる。さらに、[Bitmap]、[Design Notes]、[Text Callouts]などを設計に追加する新機能により、ドキュメント作成プロセスが大幅に改善されている。最後に、未接続のピンなどの広範囲にわたるチェックを実行する[Schematic DRC]を実行することで、回路図段階での設計ミスを最小限にとどめることができる。
DS PCBの[Schematics design]ダイアログ
DS PCB Proの[Schematics design]ダイアログ
DS PCB Proでは、配線プロセスも大幅に改善されている。配線機能については、DesignSparkの別の記事で紹介しているので参考にしてほしい。
さらに、設計で[Blind]と[Buried](ブラインドビアとベリードビア)を使用できるようになった。DS PCB Proの[DRC]ダイアログでは、熱とコンポーネントのチェックなど、より広範囲の設計ルールセットが用意されている。基板に実装する必要はないが、部品表(BOM)には載せたいアイテムは、[Associated Parts]セクションで管理できる。ドリルテーブルとレイヤスタックの表示は、[Documentation]から追加できる。この機能の設定は[Panel Wizard]ダイアログ内で行なう。
DS PCBの[PCB design]ダイアログ
DS PCB Proの[PCB design]ダイアログ
プリント基板設計のドリルテーブル及びレイヤスタック情報
PCB設計ファイルしか参照できない場合、[Reverse Engineer]ダイアログで、PCBに定義されているネットリストと同じコンポーネントと接続を含む回路図のリバースエンジニアリングを行うことができる。複数の異なる設計ファイルがある場合は、[Design Revision Analyzer]で分析し、相違点を見つけることができる。その他にもDS PCB Proには、[Teardrops]や[Auto Fanout]などの便利な機能があります。
DS PCBの[Tools]ダイアログ
DS PCB Proの[Tools]ダイアログ
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まだ試していない方は、まず無料試用版から試してほしい。