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CGFI (Cyber Girls First initiative) は 英国人女性のPat Ryan氏が立ち上げた非営利公益法人だ。若い女性のIT/プログラミングへの関心を高めることをミッションとし、義務教育途中の少女たちにSTEM(Science, Technology, Engineering, Mathematics:高度な理工数学教育)に興味を持ってもらうイベント「サイバーガールズファースト」をボランティアスタッフ達と行っている。
今回、この CGFI の取り組みについて彼女に取材を試みた。もしこの活動のボランティアに興味のあるイギリス在住者の方は記事の最後のフォームで応募して欲しい。
CGFIは イギリス各地で精力的に活動している。ロンドン、カーディフ、チェルムズフォード、サウサンプトンで続けてイベント「サーバーガールズファースト デイ」を成功させ、先週も カーディフ大学のコンピュータサイエンス学部で第2回目となるイベントが開催された。このイベントでは 11 ~ 14歳の64人の女の子に「プログラミング学習」と「理工系就業」を学ぶ機会を提供するに至ったが、その準備で多忙な Pat Ryan氏に張り付き取材を行った。
現在、STEMに関係就業者のうち12%が女性ですが、第2次世界大戦中の暗号解読技師の 約60% が女性だった事を考えると、減少傾向にありますね?
そう、私たちはこの減少を食い止める必要があります。女性の理工系の才能を知らず知らずのうちに失っているのではないでしょうか? 当時ケンブリッジのご婦人は戦争中のBletchley Partk(政府暗号学校)の暗号解析技師をしており、約5000人が働いていました。当時は民間人と女性の王位海軍サービスのメンバーがコンピュータを走らせ、修理も行っていました。Bletchleyには女性が必要不可欠であったに違いありません。
未だに「女の子にコンピュータサイエンスは向かない」と考える人は少なくはなく、我々はそれを覆す必要があるのです。
CGFI (サイバーガールズファースト)を設立したことで、11歳~14歳の若い女性の関心をコンピュータに集めることに成功してきました。彼女たちの多くは、プログラミングを楽しんでいるように思えました。また、アラン・チューリングといったコンピュータの歴史についても学んでいました。ここで一つ忘れないでほしいことは、映画「The limitation Game」においてKeira Knightleyさんが演じたBletchley Park(政府暗号学校)のアラン・チューリングの代理人であるジョーン・クラーク氏についてです。彼女は数学でダブルファースト(コースのパート1,2の両方でファーストクラスの成績)を達成しましたが、(当時)オックスフォード大学では、女性であることを理由にフェローシップを受賞できなかったのです。
CGFI の設立について教えてください。これはチャリティー団体ですか?
CGFI は単なるチャリティー団体ではありません。区分けとしては公益法人に位置付けられています。この会社には株主、取締役、利益分配者はいないため、これは非営利で運営されていると考えることができるでしょう。例えば、我々は郊外の大学施設でイベント開催することが多いのですが、一般に都市部にある小中学校からは交通費負担が障壁となり参加を見送るケースがよくありました。こうした現状を解決するため、両親の資金負担を肩代わりする仕組みを考えたりしました。
また私たちには雇われているスタッフはいません。ロバート・ダウェルは私たちのプログラミングトレーナー(コンピュータの歴史についても教えています)であり、私はすべての管理と資金の調達を担当しています。その他のスタッフたちはバッグを提供してくれる会社や、イベントに送迎してくれる会社、女の子たちの相談を担う方たちです。
何人の女の子たちが興味を持ってくれましたか?
私たちはまだ計画の初期段階にあります。12ヶ月で6つのイベントを行い、クリスマス前にはさらに2つの大きなイベントを成功させています。次の年にはさらなる計画を行っており、既に2018年の初めにBethnal Green、Chester University (RAF; イギリス空軍と共同で)、Swanseaを計画しています。
ただ残念ながら、イベントに参加した女の子達がその後 IT/プログラミング分野で働けたかどうかを確認できてはいません。しかし、イベントに参加した女の子たちの多くが高校・大学で高度な研究に携わったことは把握しています。また、私たちはGCHQ/NCSC(チェルトナムの国立サイバーセキュリティセンター)とも協力しており、イベントに参加している女の子たちと話す機会を提供できました。
どのような活動を行っていますか?どの地域を(地理的に)助けることを決めていますか?またパートナーと仕事を行っていますか?
これまで私たちは大学や組織での開催を行ってきたため、比較的積極的な人たちにこうしたイベントを提供してきました。力を貸してくれた人たちや提供してくれた環境は以下の通りです。
- プログラミング環境を提供してくれた pi-top社
- WrexhamのMoneypennyで開催されたイベントを後援したHolistecのCEO
- 全ての女の子にRaspberry Pi 3及びアダプターを提供しているRSコンポーネンツ/DesignSpark
- 全ての女の子にロゴを印刷した最高品質のTシャツ、ランチやバッグを提供しているP.モルガン氏
- 女の子たちが好きなコットンバッグを提供している支援大学
- ペン、パッドなどを提供しているChartered Institute及びBCS
- 高価なゲルインキボールペンを提供するAvanade社
- 10 Downingストリートの副局長
私たちは過密なスケジュールで運営しており、最初に第二次世界大戦のコンピューティングの歴史や、70年代のいわゆる「携帯型」と呼ばれる電話機、さらにその電話機が一つのポケットサイズの機器にまでどのように発展したかを紹介しています。
次に、Raytheonの女性がエンジニアリングプロジェクトに携わり、例えばiPadで小さなロボットを操作できるプロトタイプを製作しました。女の子たちはお昼休憩中にこうしたプロトタイプを体験することが出来ます。プロジェクトに携わる女性には10 Downingストリートから来て頂いた副局長と通信セキュリティのPMの女性もいました。
そこで私たちはPythonとRaspberry Piを利用して2時間プログラミングを行い、女の子たちに自分たちで試すことができる環境を提供していました。プログラミングの勉強のためリーフレットをお渡ししているので、彼女たちは自宅に帰り、復習することもできるのです。
彼女たちには、IT分野においても女性は大きな貢献ができることを伝えたいと思っています。お渡しするパンフレットには最初の女性コンピュータプログラマと考えられているAda Lovelaceさんについて書かれています。
CGFI で最も成し遂げたいことはなんですか?
これまで、既に複数の大学からイベントを開催したいと連絡をもらうことができるまでには成長しました。そこで、次に私たちはイングランドとウェールズの大学に、さらにITという分野を彼女たちの目指すキャリアの一つにして貰いたいと考えています。スコットランドでは、既に独自の組織が存在しているため、私たちのような活動は全くできません。
私の“野望”はもちろん、コンピュータサイエンスの分野に全く興味を持っていなかった人に、一人でも多く興味を持ってもらうことにほかなりません。
DesignSparkとRSがサポートできることはなんですか?どうしたら世界にもっとこうした取り組みを拡げることが出来るでしょうか?
いえいえ、既にDesignSparkとRSは助けてくれていますよ。私たちが何をしているのか、どういった働きをしているのかをこうして広報していただき、とても感謝しています。カーディフ大学のコンピュータインフォマティクス部門では、アストロ物理学科とともに、私たちのプロジェクト開始当時から積極的に取り組んでくれていました。こうしてカーディフ大学、特に11月17日に来た人たちに、こうしたイベントを提供し、その中でもRSコンポーネンツは頼もしい支援者でした。
ボランティアを募集していますか?
はい、募集しています。イギリスの各地にある大学に行く際には、各地にいる支援者のサポートがどうしても必要です。J.P.モルガン氏にはすべての大学においても、こうした支援してくれる人を紹介して、非常に助かりました。
(もしこれを読んでいるイギリス在住の読者の方、ボランティアに興味あるのであれば、本記事の末尾のフォームでご連絡ください)
もし個人的なモットーや、やる気になる言葉などあれば教えてください
私は“女性だから”という理由で優遇されたいとは思っていませんし、参加してくれる彼女たちにも優遇されてほしいとは思っていません。私は彼女たちが、自身の能力で、その分野で自分の地位を持ってほしいと考えているのです。私はこうした優遇といった“肯定的な差別”のもと、仕事を与えられることを良いと考えていません。私は長い間、差別に苦しんでいました。女性であるが故に、結婚して子供をもうけることこそが女性だ、そのため教育は必要ないと言われていたのです。私はいつも父に「教育と受けた女性は教育を受けた家族だ」と訴えていたことを覚えています。
あなたが最も影響をうけたエンジニアの“ヒーロー”といえば誰ですか?
第二次世界大戦の間、Bletchley Parkにおいてアラン・チューリングの代理人であったジョーン・クラーク氏です。彼女は身の回りのたくさんの偏見に打ち勝ち、ダブルファーストという素晴らしい成績を勝ち取りました。今年は彼女の生誕100周年です。彼女の出身大学において、彼女の名誉を示す盾を披露する人を探すお手伝いをしてきました。
もう一人います。それは第二次世界大戦の前のナチスの圧政の中、難民だったデイム・ステファニー・シャーリー氏です。彼女はユダヤ人の子どもたちをイギリスが用意した列車に乗せ、安全な場所へと導き多くの命を救いました。彼女はその後、IT企業を設立し、非常に大きな貢献をしたのです。
もし過去に戻れるのだとしたら、あなたは違うキャリアを歩んだでしょうか?
私は20年間、家庭で子供を育てていましたが、それを後悔なんてしていません。もし過去に戻りビジネスに携わっていたのであれば、いまでは高い地位にいることができたかもしれませんが、きっとそのときは物理学者であったでしょう。当時コンピュータサイエンスの分野はまだ早すぎたと思います。当時、まだ女性がコンピュータサイエンスの分野では受け入れられることはなかったと思います。そのため、私はこれからもっと多くの女性に偉い立場になってほしいのです。それによってきっとそうした印象がなくなっていくと信じています。
私は2年前にとある大学で講義を行いました。私は学生に対して「もしテロリストが電力インフラに対してハッキングを行い、電力だけではなくガスなどの供給がストップしたらどうなるでしょうか?」という質問をしました。それは恐ろしいことです。ロンドンにある銀行は、毎日20万回のハッキングに対処しているのだそうです。
DesignSparkはサイバーガールズファーストをサポートすることを非常に誇りに思っています。先週のカーディフ大学で開催されたイベントは大成功でしたね。彼女たちにはこれからも刺激のある生活をしてほしいと考えています。
(もしあなたがイギリスに住んでおり、ボランティアを希望していただけるのであれば、下記フォームを利用してご連絡ください)