ケーブルから実現する船の軽量化

現在の船舶が抱える問題

船舶や航海の技術が発達した現代であっても、船の軽量化と空間の効率的な利用は設計者にとって重要な問題となっている。というのも、船の重量と機能はトレードオフの関係にあるためだ。船において軽量化が実現できれば、より多くの機能を持たせることができる。例えば運搬能力の向上や、操縦性やスピードの向上などが期待できる。そのため、船の設計者は常にスペースの有効利用について頭を悩ませている。

一方で、最近では船の自動化技術が取り入れられているが、それにともなって電源や通信線などのケーブルの重量が以前とは比較にならないほどに増加している。船全体の重量に対するケーブルの割合はすでに無視できないほどだ。船の軽量化に関してはこれまで様々な試みが行われてきたが、最近では増加し続けるケーブル重量の問題を解決することが必要とされている。

船で使用されるケーブルに求められているもの

しかし、ケーブルの軽量化は簡単に達成できるものではない。海洋環境で使用されるケーブルは過酷な状況下にさらされるため、それに耐えられる性能が求められている。具体的には以下のような性能だ。

• 機械的強度、耐摩耗性
• 温度や油などの外部環境に対する耐性
• 毒性がないこと、難燃性

ケーブルの軽量化における鍵は、要求されている仕様に対して適切な素材を用いることだ。TE Connectivityはこのような海洋環境での要件を満たす軽量化ケーブルC-Liteを開発した。

C-Lite軽量化ケーブル

C-Liteの特長は、他にはないほどに電線を覆う絶縁体を薄くした点である。船舶で使用されている一般的なケーブルの絶縁体の厚さは0.8mmである。一方でC-Liteは従来のケーブルと同じ性能を示しながら絶縁体の厚みを0.2～0.3mmにすることに成功した。一般的なケーブルとC-Liteを配線したときイメージ図を以下に示した。C-Liteを使用することで軽量化と省スペース化を実現可能だ。

C-Liteは海洋環境で求められる厳しい性能をクリアしつつ、軽量化を実現した。C-Liteは船だけでなく、そのほかの幅広い産業の場面においても使用できるはずだ。