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グッドエアーカナリアを支えるDesignSparkのAir Qualityプロジェクト

本記事ではグッドエアーカナリアプロジェクトがAir Qualityプロジェクトに対してどのような効果をもたらしているのかを解説します。また、DesignSparkとJude氏が共同で開発したESDK(Environmental Sensor Development Kit)がどのような優位性を持っているのかを説明し、今後の展望についてお話します。Air Qualityプロジェクトに参加される方、ご興味のある方必見の記事です。


CO2、クリエイティビティ、COVID-19...そしてカナリア

この6ヵ月は控えめに言っても、Air Quality のオデッセイでした。2018年に発表された、英国で年間44000人が死亡しているのは汚染された空気のせいだというレポートへの反応から始まり、こうした統計を耳にしながらも、どのように対応すればよいのかほとんどわからないというニュアンスをより広く探ることに発展しています。

本記事の焦点であるグッドエアーカナリア(Good Air Canary)プロジェクトは、非常に深刻な問題に対する奇妙な気まぐれ回答に見えるかもしれませんが、実際、学術的な白書がソーシャルメディア上であまり注目されない時代に生きているため、より技術的で微妙なポイントを伝えるために、注目を集める「フック」が必要なのです。

さて、皆さんの注目を集めたところで、このクリックイベントをお許しください。しかし、あなたがすでに知っていると思っている「炭鉱のカナリア」の話のように、このプロジェクトにも、よく観察する価値のあるいくつかのツイストとターンが含まれています。カナリアがパンデミックにおいてどのような役割を果たすのか、あるいはあなたのクリエイティブポテンシャルについて知りたい方は、ぜひご一読ください。

あなたの知らない「カナリアと炭鉱」?

カナリア蘇生用酸素ボンベ搭載ケージ、Siebe Gorman & Co. Ltd, London (https://museumcrush.org/)

私のように、カナリアが消耗品の「ガス探知機」として使われていたという話は、おそらくご存知だと思います。そして、鉱山の有毒ガスで多くのカナリアが犠牲になったのは事実です。カナリアは有毒ガスに敏感に反応し、鋼夫を安全な場所に退避させることができるため、人命を守るために使われたのです。しかし、私がこのプロジェクトをより深く研究する上で魅力的だったのは、Siebe Gorman社が上記の容器に新鮮な空気を入れるボンベを追加し、鳥が気を失った後に扉を閉めて、新鮮な空気を箱の中に流し、死の淵から鳥を蘇らせることができるようにしたことです。

自分のことを馬鹿にする

私は2x2x2mの小屋で「空気の質」のプロジェクトに取り組んでいたのですが、2021年の在宅勤務の新常識として、ズームコールに座っていると頭痛がするようになったのは素晴らしい皮肉です。しかし、デスクトップ型の大気質モニターを購入して初めて、ドアと窓を閉めた室内に一時間居ると、「非常に不健康」という数値が表示されることに気づきました。CO2が非常に高いレベルに達していることは分かっていましたが、正直なところ、ズームコールのしすぎが問題なのだと思い込んでいました。

Judeは小さなホームオフィスやワークショップのCO2レベルがどのくらい悪いかを試算するために、大まかな計算をしました

ダイソンの環境管理部門で働いていた私は、安価なセンサには懐疑的でした。そして、鉛筆を削り、私の部屋のCO2レベルがどの程度なのか「計算」してみることにしました。驚いたことに、私の呼吸数、肺活量と、(酸素より密度の高い)二酸化炭素が床からどのように「充満」するかとの間には、ほぼ完璧な相関関係があり、1時間から1時間半後に私自身の熱風に「倒れる」ことになるのです。

妻は私が「しゃべりすぎだ」、「熱くなりすぎだ」と揶揄する機会を逃しませんでした。そして、科学的な証拠を手に入れた私は、この問題が本当に悪いのか、より深く追及するようになりました。数ヵ月前からこの問題に取り組んでいるうちに、在宅勤務が私たちの健康にもたらす課題について、他の記事も多く目にするようになりました。FastCoの記事では「オフィスの空気が私たちを愚かにしている」、「室内の空気はしばしば屋外の空気よりも汚染されている」と書かれています。

CO2濃度と身体活動の関係性

軍や政府、科学者などの資料を読みあさるうちに、このテーマが分かってきました。この4000ppmという数字は、「横並び思考や戦略的な思考能力の深刻な低下」につながり、事実上、仕事や機械操作のような高圧的な状況での問題解決ができなくなることを意味しています。

クリエイティブテクノロジストとして「水平思考(ラテラルシンキング)」は、ほとんどのクリエイティブな人々が「創造性」と呼ぶもののエッセンスです。だから、4000ppm(1時間しゃべり続けた私の部屋)では、誰も健康ではないし、誰も自分のキャリアで創造的なブレークスルーをするつもりは無いでしょう。私はIoT Canaryを作り、費用対効果の高いセンサを調達し、そしてもちろん、窓を割ってみることにしました!

交換可能なセンサが満載!

Sensirion社の各種センサとLittle Bits(プラグアンドプレイ電子機器STEM玩具)、センサ用マイコンPi Zeroによる初期の「プラグアンドプレイ」コンセプト、センサユニットの3Dプリントスケールモデルです。

私がLEGO社で働く中で好きだったことの一つに、テクノロジーと遊びの融合があります。このプロジェクトでは、その直感を生かして、手ごろな価格で、かつSTEM玩具としての簡単で直感的な操作性を備えた、最高のセンサ技術を探しました。「BATNEEC」(Best Available Technology Not Entailing Excessive Cost、過大なコストを伴わない、現時点で入手可能な最善の技術)という言葉も覚えましたが、これはまさにこのプロジェクトの核心でした。一般市民が数千ポンドもするようなハイスペックなセンサキットを買うことはできませんが、数十ポンドのセンサは研究室レベルのセンサには敵わないと言って良いでしょう。

ビデオにあるように、センサの精度を気にしすぎるよりも、むしろ傾向を観察することが重要であることに気づかされました。素直に言って、通常の環境中の二酸化炭素濃度が約500ppmであることを考えると、私のセンサが4000ppmと表示した場合、これが10%不正確であったとしても、推奨されている1000ppmの少なくとも3~4倍はあるのです。 

DesignSpark環境センサ開発キット(ESDK)と微粒子、CO2、VOC、温度、湿度センサ(及びGPS)

一見すると、LittleBits社から工業用センサをアップグレードするための簡単な「プラグアンドプレイ」に見えますが、実際にはAB Open社との多大な協力により完成し、どこにでもあるRaspberry Piで動作し、オープンソース化することができました。環境センサ開発キット(ESDK)は、BATNEECの原則を具現化したもので、人々は手ごろな価格で、家庭内の汚染に関するある程度正確なデータにアクセスすることができます。しかし、「ホームエアモニター」を購入するよりはるかに多くの制御を行うことができます。

このプロジェクトには、既に存在している部分もあると言わざるを得ません。ダイソンは学校周辺の空気の質に関する調査を行いましたが、そのデータは公開されていませんでした(ESDKでは、希望すれば匿名でデータを共有することが可能です)。同様に、ある大気質モニターは、よりコンパクトで安価ですが、結果としては精度が低くなっています(ESDKはそれほどコンパクトでも使いやすい訳でもありませんが、多くのセンサよりも高いスペックを持っています)。私たちの狙いは、どちらが優れているということではなく、技術、認識、知識の「上昇気流」が「すべての船を持ち上げる」ことであり、大気質、データ、市民科学に関して私たち全員がより主体性を持つことができるようにすることです。

小さく(そして楽しく)始める – グッドエアーカナリア

カナリアオートメーションの機構とエレクトロニクスの、ダンボールと3Dプリントによるプロトタイプ

このプロジェクトで得られた最も魅力的な知見の一つは、CO2センサが記録的な高値で売られていることです。これは、パンデミックとの戦いに使用されるからだと考えられます。もしあなたがコロナウイルスの感染者であれば、息を吐く時、水滴になったコロナウイルス粒子を吐き出すだけでなく、それに比例してCO2を吐き出すことになるのです。このため、空気中のウイルス粒子を検出する手段を誰も持っていませんが(この技術は非常に難しく、専門家に尋ねましたが、基本的に粒子はとても小さく、コロナウイルスと風邪ウイルスの違いを見分けることはできません)、良いニュースは空気中のコロナウイルスのリスクの「代理」としてCO2を使用できることです。これは最悪のケースを想定したものですが、たった数十ドルのコストで、学校、オフィス、レストランの空気は蒸し暑い、窓を開けた方がいいと確信を持って言えるのです。

私にとっては、この時こそカナリアのギャグが「一周」したときであり、より深刻でインパクトのあるメッセージを伝えた時でした。もちろん、これはあなたの創造性のために窓を開けるように促す、気まぐれなデスクトップキズモですが、全く同じテクノロジーを公共の場で使えば、空気が淀み、二酸化炭素濃度が高く、したがって統計的にコロナウイルスが危険をもたらすほど高いレベルで含まれていることに対して、他人に警告する意味のある代理人を提供することができるのです。

グッドエアーカナリア(Good Air Canary)と呼ばれる理由は(CO2だけでなく)、家庭内のほこりやアレルゲンからの粒子、調理や掃除の際に出るVOC、あるいは受動喫煙なども警告することができるためです。子供たちにもわかるように、同じデータをクラウド上で(匿名で)解析し、一般市民、地方議員、あるいは大気の健康状態を把握する科学者などに情報を提供することができます。

このプロジェクトでのあなたの収穫とアクションは次のいずれかになるでしょう:

個人

  • 新鮮な空気の近くに住んでいる幸運な人は窓を開け、集中力と想像力を酸素から飢えさせないようできます
  • 外気が気になるようなら、安価な空気清浄機を使って、一日のうちで換気に最適な時間帯を選ぶことができます(通常は朝がベストです)
  • 特定のアレルギーをお持ちの方(または頭痛がよく起こる方)は、考えられる要因や刺激物について理解を深めることで、症状を理解し、管理できる可能性があります
  • 大切な人を心配して、ESDKとカナリアのIoT(リモート)機能を使って、邪魔にならない形で監視することもできます
  • もしあなたの学校が幹線道路のそばにあり、あなたの子供が遊び場にいるのなら、これはほぼ間違いなく良くないことです。このESDKは「認定」または「ラボ基準」なのでしょうか?もちろんそうではありませんが、非科学的な意見を超えた証拠を構築することができます。例えば、子供たちが休み時間を過ごすのに最も安全でない時間帯が分かるかもしれませんし、天気が良い時には子供を学校に送らないようにするかもしれません。
  • 私は喫煙を推奨しているわけではありませんが、室内で1日に20本も吸っている人は、おそらく自分が吐いたばかりの煙を再吸引して「余計に」吸っている可能性があります。たとえ禁煙に苦労したとしても、外でたばこを吸うことは自分のためにもなるし、一緒に暮らしている人のためにもなるのです。
  • 朝、体がだるくて目が覚めた…そのため寝る前に少し窓を開けてみたことはありますか?(私はこの企画がきっかけで試してみたのですが、これが大正解でした)

支援団体/機関

  • 健康やデータに関心をお持ちの企業や団体の方はぜひご連絡をください。お問い合わせの上、ESDKキットをお試しいただければと思います。

エンジニア/メーカー

  • あるいは、「アクティブエンジニア」と呼ばれるような熱心な愛好家で、科学、技術、データ、アートで人々を魅了する方法について、異なるアイデアを持っているかもしれません。その為私たちは「大気質」という非常に現実的な問題に人々が関わるための、より多くのアイデアを必要としています。ぜひ、ご連絡ください。あなたが作りたいものを教えてください。

グッドエアーカナリア、完成間近です。最終バージョンと自分で作るためのDIYガイドにご期待ください。

このプロジェクトが良い空気、健康、ウェルネスの重要性だけでなく、変化をもたらすために様々なレベルでどのように関わることができるかについて、いくつかのアイデアを提供できていることを願っています。このプロジェクトをはじめ、近日中に発表される11の素晴らしいプロジェクトの購読とフォローをご検討ください。

Credits -

DesignSpark社の環境センサ開発キット(ESDK)は、「Jam Sandwich」の愛称で親しまれ、受賞歴のあるクリエイティブテクノロジーエンジニアのJude Pullen氏とAB Open社のAndrew Back氏とCallum Snowden氏と共同で、オープンハードウェアおよびソフトウェアとして設計・開発されたものです。

DesignSparkと共同で作成しました:

Jude Pullen - 全体コンセプトと主なデザイン特徴

AB Open Ltd - ハードウェアの設計、開発、レイアウト

AB Open Ltd - ソフトウェア/ファームウェア/API/クラウドインテグレーション

Jude Pullen - エンクロージャーのデザイン

これは、あなたの家庭や職場に、コミュニティ主導の大気質モニターのグローバルネットワークを構築し、展開するために、エンジニアに行動を起こしてもらうための呼びかけです。このキットと相互作用する素晴らしいアプリケーションを作成することで、早期採用者がどのように私たちのAir Qualityキットを使用して、彼らがいる場所の変化を促進するかについて、皆さんにお伝えします。近日中にDesignSparkコミュニティにBETAテスターに応募し、無料のキットを受け取って参加するようお願いする予定です。

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Winner of the 2020 Alastair Graham-Bryce "Imagineering" Award (IMechE), Jude thrives in high risk collaborations, uncertainty and pressure - drawing from global networks and experiences to deliver high profile campaigns and digital/physical products. A leading Creative Technologist & Physical Prototyping Expert, Jude has worked for NHS, Dyson, LEGO, and a number of start-ups. He is one of the eight featured inventors in BBC Two's Big Life Fix.