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半導体ビジネスで重要さを増す産業センサ市場

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Industry 4.0は電子産業に重大な影響を及ぼしつつあります。Industry 4.0は、FAや製造の世界のあらゆるデータをセンシングし、デジタル的なアプローチで最適化しようという考え方です。これに加え、5G・AI・機械学習の登場や基礎技術の継続的な進歩との相乗効果で、半導体センサデバイスの需要の急拡大が予想されています。

センサデバイスは、これまでスマートウォッチやウェアラブルなどの消費財向けの活用が目立っていましたが、最終的には 医療、保健、自動車、保険、製造、電力施設管理などの産業市場を主な採用現場として成長していくとみられます。2026年までの産業用センサの市場成長率7%と予測されています(出典: Global Market Insights, Inc.)。

2011年にドイツ政府のハイテク戦略として「Industry 4.0」が示されたのは、モノのインターネット(IoT)のコンセプトが生まれてから間もなくのことでした。今日、Industry 4.0の基本理念は世界中で採用されており、Industry 4.0と「I IoT(産業用途向けのモノのインターネット)」は非常に密接に発展しています。

Industry 4.0を構成する基本原理、そのうちの2つが「インターコネクト」と「情報透過性」と言われています。インターコネクトの基本的前提は、監視・制御・分析アプリケーションによって製造や生産のデータをデジタルにリンクできることです。インターコネクトとは、「産業オートメーションやプラント装置が、動作ステータスやパフォーマンスデータをリアルタイムに提供できること」を意味します。それと同時に、それらは、自動、もしくはマニュアル操作で制御可能な双方向コミュニケーションでもあります。生産施設全体で生み出された大量のデータを集計することで、運用効率(OE)及び総合設備効率(OEE)の重要な管理指標を簡単に得ることができます。

生産設備の稼働を高効率で維持するには、信頼性の高い機械が必要です。残念なことに、機械は何であれ、時の経過で摩耗や故障を伴う部品が含まれています。一続きの生産プロセスの場合、機械の一部分が壊れただけで、工場全体が停止することもあるため、製造機器の連続稼働を伸ばすために、MRO(メンテナンス・修理・操業)のフローを導入しています。IIoTが実現できれば、設備の故障リスクを早期に管理部門に警告でき、最も効果的な運用上のタイミングでメンテナンスをスケジュールできるようになります。このことを「予防メンテナンス」といい、IoTの効果的な応用ケースとして非常に注目されています。

稼働とメンテナンスの両方に欠かせない重要なデータは、生産設備に設置されたセンサから取得します。ここが半導体メーカーの強いところで、彼らが着手しているセンサ開発は、徴候解析を通じて、パフォーマンスレベルの一般的な主要指標の検出に使用できます。センサは振動・温度・湿度・音をはじめとするさまざまな環境要因を検出できます。これらの多くは、設備の動作寿命を特定するのに使用できますが、さらに重要なのは、予期しないコストのかかる故障が発生する前に、どんな問題にもフラグを立てられる点です。 

また、カメラセンサなどの検査センサは、画像認識システムへの入力として機能します。たとえば、ワインボトルへのブランドラベルの貼り付け作業が許容差内に収まっているかどうかをチェックするようなシステムです。 

STマイクロは、予知保全システムの開発をサポートするために、IIoT用途向けにプロトタイピング評価ボード「STWIN (193-9794) 」を提供しています。本製品により、産業プロセスの重要機器の状態監視を実現できるようになります。

STマイクロ 「STWINボード」    STWIN11_752e896c04840a8a83aeb62676d631e36e5fdb8f.jpg

今日使われているセンサテクノロジーは、温度を検出するシンプルなディスクリートサーミスタから、加速力を検出する複雑な微小電気機械(MEMS)センサまで幅広く存在します。それらの大部分は、基本的にセンサ内でデジタル化されてから、有線又はワイヤレスネットワークでホスト制御及び監視システムに伝送されます。114_0849ede9b6553129222c26d7f41cc1bffb316e5c.jpg

MEMSと予知保全の詳細については、STマイクロへのインタヴュー記事Redstone氏による記事が参考になると思います。

Industry 5.0へ導く様々な技術革新

Industry 4.0の普及すらままならない現在にも関わらず、業界では早くもIndustry 5.0が話題になり始めています。Industry 5.0は、Industry 4.0で見落とされていた「人間」という要素を製造現場に連れ戻す可能性をもたらします。

Industry 4.0の実装には困難が伴います。製造工場の床面積は世界的に貴重であり、多くの工場では、電子機器ベースのシステムを既存の制御ボックス内に詰め込む必要があります。しかし、ほとんどの場合、それらボックスは既に満杯であり、ここに新たなシステムを搭載するには、より多くの技術革新が必要です。大手産業オートメーション機器メーカー各社では、PLCや制御カードの機能的密度を高め、電力効率を上げて、スリム化する必要がありました。幸い、半導体産業が高レベルの機能統合を実現するイノベーションでこのニーズに応えました。その一例が、低ノイズ絶縁型DC/DCコンバータを備えた4チャンネルアナログ-デジタルコンバータ(ADC)です(以前のシングルチャンネルADCから進化)。インテリジェントな電力管理IC、ワイドバンドギャッププロセステクノロジーを使用した高い電力変換効率の推進により、放熱が必要な無駄な熱が減り、全体的なシステムサイズを縮小できます。

Industry 5.0でも、半導体産業からのイノベーションは引き続き需要があるでしょう。Industry 5.0の特徴の一つは、熟練した人間とロボットが協調するプロセスがあるという点です。協働ロボット(コボット)の利用と、ロボットが近くの人とどのようにやり取りする必要があるのかについては、多くの研究が行われてきました。通常、産業ロボットの周りは事故を防止するための安全バリアが取り囲んでいますが、生産的なコボットは人の隣で働く必要があるため、より多くのセンサ要件が取り入れられています。

Industry 4.0やIIoTシステム開発で得た教訓として、

  • 伝送データの量
  • レイテンシ
  • クラウドコンピューティング能力

の重要さです。多くのセンサには制御素子が一切なく、一定の頻度でデータを製造管理システムに送信します。単一の施設で数百個、潜在的には数千個のセンサから集計するとなると、かなりのデータ帯域幅が必要になります。また、センサデータを受信してアクションを実行するときに、通信のノード-クラウド-制御間で遅延が大きくなり、一部のタスクをクラウドベースで制御することができなくなります。新しいタイプのセンサは、検出だけでなく、制御アクションを推論するものでなくてはなりません。同様に、ローカルゲートウェイアリゲータに一定の自律性を委譲し、事前に定義した範囲内で特定のタスクの制御を任せられるかもしれません。

半導体産業は、検出素子と十分なコンピューティングリソースを備えた、タスク固有の人工知能アルゴリズムを実行できる低電力マイクロコントローラでこれに応えています。これらのデバイスには、エッジにおける推論に最適化されたコンピュータハードウェアアーキテクチャが搭載されています。センサはよりインテリジェントになり、たとえば、コボットの想定軌道に人の手が入るかどうかを予測することができます。機械学習アルゴリズムを使用して、モータハウジングに取り付けられたオーディオセンサの出力を聞いて、ベアリングの摩耗の徴候を早期に検出できます。センサ内機械学習・データ収集・ソリューションの詳細については、STマイクロ社のサイトをご覧ください。 

継続的なイノベーション

産業用センサ市場は、1970年代半ばの初のシリコンベースセンサの時代から大きく変わりました。イノベーションは第4次/第5次産業革命と進化を続けるIoTの需要に応え続け、単なる工場以上のものを包含するようになっています。新たに登場したスマートシティ・スマートホーム・インテリジェントビルにもセンサテクノロジーが必要です。Industry 5.0向けの多くのセンサイノベーションの用途は、すでに他のテクノロジー指向の市場においても見つかっています。その良い例が自動車産業です。新しい車両モデルへの配備が急速に進んでいる高度な運転支援システム(ADAS)では、電気自動車や半/全自動運転車の開発とともに、産業システムと共通する数多くのセンサアプリケーション要件を採用しています

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TE Connectivityの車載アプリケーションの詳細については、こちらをご覧ください。.

私たちの急速に変化する環境と技術開発は、Industry 4.0のコネクテッド哲学とそれ以上のものをもたらしています。センサから収集したデータに基づいて行動する能力は、消費材やウェアラブルから医療や産業まで、私たちの日常のあらゆる面に影響を及ぼします。第4次(及び第5次)産業革命の基本原理の実現は、産業オートメーションの採用の増加によるものです。こうしたことに伴い、産業用センサの世界で半導体メーカーが果たす役割は確実に大きくなっています。

Favourite things are Family, Music and Judo. Also, I have the ability to retain and quote useless facts, something that pleases me but can annoy others. My engineering hero - Isambard Kingdom Brunel