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ヴィンテージプロダクションミキサー、”Allen and Heath S6-2”の復元

production mixer s6-2

Allen and Heath S6-2は、1970年代半ばから後半にかけて、英国のオーディオエレクトロニクス企業であるAllen and Heathによって製造された、放送用プロダクションミキサーです。70年代特有の素敵な見た目で、黒いダッシュボード、細かい手触りを感じる黒いビニールのパーツ、木製の側面、ヴィンテージ感漂う素敵な2つのVUメーターが取り付けられています。

ジャンク品なので、コンデンサーを交換し、さらに、古典的なプロダクションミキサーで使用できる、遠隔操作可能なOn Airランプも作ってみます。手間がかかりそうですが、その価値がありそうでわくわくします。

なお、本製品には、オリジナルのパンフレットと回路図が付属していました。PDF版もダウンロードも可能です。

production mixer s6-2 tickets

1978年発行のパンフレット内にホチキス止めされた2枚のチケットから、年代がわかります。

電解コンデンサー

inside of the priduction mixer S6-2

このミキサーを、以前のような、栄光に輝いていた頃のものにするべく、古くなった電解コンデンサーをすべて交換します。数はなんと、100個を以上もあります!

custom jig to hole the production mixer s6-2

メインのプリント基板をケースから取り外しましたが、大きすぎて通常のボードホルダーに収まらないので、2020アルミ製のフレームとマルチアングルの万力 (667-7189) を使用して、保持するための治具を作りました。 これで、基板の位置を調整して、コンデンサーを外せます。

RS Pro desoldering station

また、より楽をするために、はんだごてステーション(137-2292)も手に入れました 。

交換が必要な、1uF (037-4910) 、10 uF (812-2814) 、47 uF (812-2732) 、100 uF (811-8698) の、4つの異なる値のコンデンサーを入手しました。以前のコンデンサー取り換えプロジェクトで気付いたように、高めの値を持つ最新のコンデンサーは、古いコンデンサーよりもかなり小さくなっている傾向にあるため、プリント基板の古いフットプリントに合うよう、脚を曲げる必要があります。

オリジナル部品の電圧はそれぞれ異なりますが、少なくとも交換する前と同じような、1つの電圧値のものを使用して、作業を楽にすることを選びました。

close up view of the capacitors on the board

基板に、部品の値と極性の両方がはっきりと記されていて、非常にありがたく感じました。また、古いコンデンサーは水色、新しいコンデンサーはダークブラウンなので、作業が進むにつれて、どのコンデンサーが交換されたかが一目でわかります。ボードを3つのセクションに分割し、各セクションで、一度に同一の値を持つコンデンサーを置き換えることにしました。

基板を治具でほぼ垂直に固定することで、コンデンサーをゆっくりと引き離しながら、はんだ除去ガンで、その反対側のランドについているはんだを除去することができました。基板上の配線を傷つけたり、他の部品のはんだをとってしまったり、長年にわたって行われた、明らかな再加工をだめにしたりしないよう心掛けていたので、はんだ除去ステーションの温度を、控えめな200℃から、270℃の最低有効温度が見つかるまで徐々に上げていきました。この時代物のボードでは、現代の無鉛よりも融点が低い、有鉛はんだを使用していたことに注意してください。

tracks on the rear of the PCB

基板の裏側から交換する部品を見つけるのは、反対側から基板に光を当てることで簡単になりました。グラスファイバー製で半透明なので、正しいランドを、比較的簡単に判断することができました。

はんだ除去ステーションは非常に良く機能してくれたため、たった1日とちょっとでコンデンサーの取り換え作業を完了することができました。

フェーダーのクリーニング

mixer faders need cleaning

フェーダーの可変抵抗器は、何年にもわたって、かなりの汚れが蓄積されていました。多くのサウンドエンジニアのひげや、ジャンパーの抜け落ちた繊維が付着しています。実際のところ、端に糸くずがぎっしりと詰まっていて、ワイパーが端まで移動できず、きれいにする必要がありました。

dirt from the faders

かぎ状に曲げたワイヤーと先細ピンセットを使って、できる限り汚れを取り除きました。次に、スイッチのクリーニング潤滑剤 (136-8550) を塗り、接点の清掃と潤滑を行いました。

動作テスト

first test of the mixer board

このミキサーの場合、スイッチと電源コネクタは固定されているがために、ボードを接続するワイヤーを一時的に延長しました。これで、ボードとケースを再び組み立てる必要はなく、基板単体で確認することができました。何か問題が見つかれば、再び分解します。

USBオシロスコープ (163-2719) で正弦波発生器を使用し、2つのチャネルを用いて、各ミキサーチャネルの入力信号と出力信号を比較します。再はんだ付けが必要な「蓄音機(Gramophone)」入力の1つを除いて、すべて正常に動作しました。

電源装置のコンデンサー交換

inside view of the power supply

ミキサーが正常に機能していることに満足し、次は、電源のコンデンサーに注目しました。これには、ミキサーのボタンから切り替えることができる、蓄音機とテープデッキのコントロール用リレーと、マイク1に接続された「On Air」ランプがあります。

ありがたいことに、今回交換するのは、3つの2200uF (707-6679) コンデンサーだけです。すでに交換されているように見えますが、もう一度交換しておきました。

電源ケースを開いたまま、少し摩耗しているように見えた、電圧レギュレータのヒートシンクマウント (712-8225) とヒューズホルダー (512-5996) も交換しました。

「On Air」ランプの取り付け

cat and an on air sign

また、電源ケースの中に、リレースイッチを接続するためのケーブルストレインリリーフ用のは留め金を見つけました。レーザーカットされたアクリルと粘着性のLEDストリップ (786-9023) を使って、自分用のシンプルなOn Air警告ライトを作ることにしました。 ライトを別の12Vデスクトップ電源に接続し、電源ユニットのリレーで制御できるようにしました。これで、マイク1入力を有効にすると、外部のオンエアインジケーターが点灯します。猫がオンエア中だと気付いてくれるわけではないですがね!

ミキサーを活用する

ヨークシャーがツールドフランスのステージを主催したとき、私はRecycle Radioという、FMで放送する地元のコミュニティラジオ局の設立を手伝いました。 今年初めにロックダウンが行われたため、Recycle Radioはインターネットステーションとして復活し、私は音楽番組であるMusic From The Red Tinの寄稿を依頼されました。最初に番組のレコーディング試みた際は、主に、音楽とマイクのレベルが正しくないといった、技術的な問題に悩まされていました。パンフレットによると「新進気鋭のDJに欠かせないもの」であるミキサーは、一歩進むための、素晴らしい手段となるでしょう。

このミキサーを使い、1時間の番組を録音することができました。Red Tinからミキサーのテープ入力へ音声を入力し、マイクの代わりに録音と一時停止ができるように設定したフィールドレコーダーを、マイク入力に接続しました。上のビデオからわかるように、マイク入力が使用されているときにテープ入力からの信号をミュートする、自動フェード機能は非常に有効でした。

I have a background in the arts, environmental conservation and IT support. In my spare time I do a bit of DJing and I like making things.