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過去、現在、そして未来へのPLCテクノロジー

2020年代に向けて競い合う中で、私たちは重要なマイルストーンに近づいています。リレー回路が生まれてからまもなく100年になりますが、これは自動化時代の幕開けで、重要な出来事だといえます。それが、今、発表されたとしたら、おそらく「破壊的技術」と呼ばれるでしょう。しかし、絶望しないでください。1世紀後、産業オートメーションの分野に新たな破壊的技術が生まれていますから。意味がありげなことをいうと、これはIoTではなく、オープンソースの技術です。

確かに、オープンソースは新しいものではありませんが、世の中を変化させ続けています。どこに行っても、オープンソース技術は、既存の方法に対して、弱点を突くかたちで変化をもたらすものです。オープンソースは、誰かが「ここでは、こうやってやるんだよ」と言うたびに、厚かましくも「なぜ?」と尋ねるようなものです。つまり、例えて言うのであれば、オープンソース技術は、王が実際に裸であることを指摘する、小さな子供のようなものです。

オープンソースは現在、産業オートメーションの変化の中でホットな存在になりつつあります。具体的には、リレー回路の子孫にあたるプログラマブルロジックコントローラ(PLC)周辺の既成概念に対し、新たな概念の提案で挑戦しています。独占的なPLCは、50年以上にわたって産業オートメーションの世界を支配してきましたが、オープンソースはそれらを丸裸にしようとしているのです。

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半導体技術による影響

リレーロジックは、自動化の先駆者となるだけではなく、一般的な制御技術の開発にも貢献しました。初期の機器は線でそれぞれの部品が接続されていたため、設定の方法が標準化されていました。この設定プロトコルが後に発展し、プログラミング言語となっていくのです。

PLCメーカーが使用するスクリプト言語は主に独自のものですが、基盤となるプログラミング言語は依然として標準IEC 61131のパート3に基づいています。これらは、初期の時代に、リレーやラダーロジックを構成するため、使用されていた図に直接関連しており、論理図と高水準プログラミングの独特な組み合わせと見なすことができます。

半導体技術の開発によって、「リレーロジックの構成」が、マイクロコントローラー上における「プログラミング」に変わっていきました。マイクロプロセッサーは、現代を支える抽象的な装置であり、多くの場合、基盤となる技術から大規模に抽象化された、非常に高水準の言語でプログラムされます。一方、マイクロコントローラーはそれほど抽象的ではなく、ハードウェアとソフトウェアの間のインターフェースに相当します。

このため、最新のPLCの頭脳はマイクロコントローラー(マイクロプロセッサーではなくMCU)です。MCUをプログラムする方法は、リレーロジックの構成方法とそれほど異なりません。あまり一般的ではありませんが、エンジニアは、カルノー図やブール論理などの手法を使用して、MCUが実行するべきことが何かを理解することができます。最近、MCUによって実行される制御アルゴリズムに、C言語などの高級言語で記述するケースが増えていますが、まだまだ必要に応じてアセンブリコードなどの、低級言語に戻ることもあります。同様に、PLCで使用される言語は、望む結果を、最も単純な論理式にもどすことから作成された回路図を用いて、手作業で配線を行ったような、初期のリレー回路と依然として密接に結びついています。

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MCUのおかげで、PLCはリレー回路よりもはるかに洗練されています。複数の同時実行パスを使用してデータを処理する複雑な計算プロセスを実装できます。これは、ALU(算術論理演算装置)を含む処理コアで実行されるプログラムの大きな利点です。最も適切な選択をする前に、より多くの選択肢を評価することができます。

現在、IoTが同様のことを行っているのは興味深いことです。ネットワークエッジでの人工知能の実装は、PLCがリレー回路に取って代わった方法に類似しています。より多くの知性は、繰り返し発生するテーマのようです。

PLCの進化におけるもう1つの重要なマイルストーンは、リレーがソリッドステートスイッチに置き換えられたときに通過しました。これは重要で、サイズ、電力、重量の点で、ソリッドステートスイッチには大きな利点がありました。また、同じフォームファクタでより高い信号密度を実現しました。これは、処理パフォーマンスの継続的な向上と相まって、機能の大幅な向上につながりました。

オープンソースPLC

オープンソースがもっとも効率よくPLC市場に変化を促す方法とはなんでしょうか?パブリックライセンスで公開できる、非独占的なスクリプト言語を公開すること?それとも、ハードウェア設計でオープンソースライセンスのGPLを導入すること?

いいえ、そのどちらでもありません。

オープンソースがPLC界を変える方法は、PLCの既成概念を完全に破棄し、RaspberryPiのようなものに基づくことを提案する、ことです。事実、Raspberry Piをベースにし、劣悪な産業環境に対応するように耐久性を高めた製品に注力する企業が増えています。

通常、これには、Raspberry Piを、従来のPLCのI / Oおよびデジタル/アナログ機能を提供する1つ以上の追加ボードと組み合わせて使用することになります。これらの追加のボードは、産業環境で必要な絶縁性を持ち、高電圧および高電流に耐えられるように設計されています。この拡張機能により、Raspberry Piは、少なくともハードウェアの観点から、産業オートメーション環境に統合が可能です。

ソフトウェア統合はまた別の問題です。PLCとは異なり、Raspberry Piのようなシングルボードコンピューターは、IEC 61131-3標準に基づく言語を使用してプログラムするようには設計されていません。これは、C、C ++、Javaなどの高水準プログラミング言語を介して、または、純粋な数式で機能する、さらに高水準の抽象度のものを使用してアクセスするのに最適なLinux、またはLinuxのディストリビューションで動作します。

これは、ラダー回路が実際に意味をなすMCUのビットバッシング環境からはほど遠いものです。しかし、それはそれでまた、既存の制御技術者の間で混乱を招くことになってしまいます。ここでの解決策の良い例としては、Phoenix Contact社のPLCnext  (205-5854)  があげられます。これは、Linuxをベースにしているオープンなプログラミング環境で、PLCのような使われ方を想定しています。しかも、エンジニアがロジック構築方法を選択できるよう、IEC 61131-3ベースの言語や、より高度な、HTMLを含むIT技術を使用することが可能になっています。

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考えてみれば、これはかなり革命的な製品といえます。オープンソース技術が産業オートメーションに対して実際に影響を与える場合、ソフトウェア層でのこのレベルの統合が不可欠です。オープンソースソリューションがLinuxを実行するという事実を無視することはできません。また、Linuxが産業オートメーション用に設計されていないという事実も見逃すことはできません。これらの2つの世界を統合するフレームワークが、まさに必要なものなのです。

しかし、それだけではありません。オープンソースソフトウェアを実行するRaspberry Piなどの技術は、PLCメーカーにプロプライエタリの枠を超える考えを要求するかもしれませんが、産業用PCはこれを何年にもわたって行ってきました。産業用PCは、従来のPLCと一緒に使用されることがよくありますが、特定の状況では、エッジで使用することもできます。

たまたまPLCnextと相性の良いCDP Studioと呼ばれる別のフレームワークは、この分野において、非常に重要な位置にあります。リアルタイム制御ハードウェアに基づいてシステムを作成し、それらを産業用制御および自動化ソリューションとする手段を提供します。制御システムの主な目的は信頼性であり、これは通常、高レベルの応答性を意味するため、思っているほど単純ではありません。

ベアメタルよりも応答性の高いものを作るのは難しいです。これらの初期のPLCは、それが得られたのと同じくらいベアメタルに近いものでしたが、ソフトウェアが増えるごとに、複雑さとレイテンシが増加していきました。複雑さはソフトウェアを介して抽象化できますが、それを実行するという行為自体がレイテンシを増加させます。これは、すべてのプロバイダーが実行する必要のあるバランスの調整です。

オープンソースのPLCソリューションが現状に打破するには、目に見えてレイテンシが増加しない状態で、同じ信頼性を提供する必要があります。高速プロセッサはこの点で役立ちますが、PCユーザーなら誰でもよく知っているように、高速プロセッサは、動作が遅いソフトウェアによって速度が低下してしまいます。

IoTが変える

オープンソース技術が産業オートメーションに使用できるからといって、それは本当にそうすべきなのでしょうか?これに”Yes”と回答すべき状況がせまりつつあります。それがIoTです。

IoTの普及により、あらゆるものが急速にInternet と連携しつつあります。つまり、(ほぼ)すべてのものがインターネットの一部になることができるということです。データはあらゆるものに存在し、データを適切に使用すれば、多くのことを知ることができます。この情報は採掘する必要があり、IoTはつるはしとして機能するのです。

実のところ、IoTが原因で、従来のPLCが崩壊の危機に瀕しているといわれることがあります。制御機能の実行においては、PLCの方が常に優れています。ただ、PLCが苦手とするものとしては、扱うデータを、より広いネットワークで使用できる実用的なインサイトに変えることです。

これは、基盤となる技術の限界を認識しているため、言えることです。MCUは強力ですが、一般的に制御アルゴリズム用に最適化されています。PLCのインターフェースは、大量のデータを対象としていません。基本的に、PLCは厳密な制御ループを実行しますが、それ以外は破壊のもととなります。

IoTの時代では、これは理想的なものではありません。Raspberry Piのような、強力で、低コストのシングルボードコンピューターに移行することは、平均的なPLCが必要とするよりもはるかに高い処理パフォーマンスを備えているため、この点で非常に理にかなっています。

しかし、それだけではありません。データが私たちの周りにあるという事実は、できるだけ多くのデータを取得する必要があることを意味します。従来のトポロジーでは、おそらく、さらに多くのセンサーとアクチュエーターに接続された、複数のPLCを使用することを意味します。これは、スター型ネットワークのような複雑なシステムとなってしまい、遅延レベルが増加してしまいます。つまり、スケーラビリティと応答性といった、同様の問題に基づいて、新しい問題が発生します。

これに対する解決策は、PLCとは何であるか、もう一度考えることかもしれません。「FAにラズパイ?無理無理。」と安易に考えず、無理の中身を紐解き、本当に無理かどうかを検証する時期にきています。オープンソース技術への移行は、業界が変化を受け入れる準備ができていること示しています。問題は、それがどの程度の変化であるのかということです。

制御が一元的に存在する必要があるという前提を取り除くことにより、スケーラビリティの問題に意味はなくなります。IoTと産業用IoTの環境においては、制御は、実際、どこにでも使われています。これは、ネットワークの最前線で動作し、信頼性の高いインターフェイスを介して接続された、より強力なMCUによって実現可能になります。

それらのインターフェースの1つが、シングルペアイーサネット(SPE)です。これは、統一規格として産業分野で急速に普及しています。昨今、産業用アプリケーションでは、イーサネットは使用されていますが、多くの場合、現在利用可能な、いくつかの高耐久性バージョンのうちの1が使用されています。技術的には同じ規格で実行されていますが、これらの産業用イーサネットの代替品には、完全な互換性がありません。SPEを推進するワーキンググループは、普遍的に採用できる単一の基準で、その断片化に挑戦することを目指しています。

SPEの特徴の1つとして、そのサイズが挙げられます。従来のイーサネットよりも小さく、省電力で、安価になるよう、設計されています。これは、スマートセンサーやスマートアクチュエーターなどの小さなエンドポイントに追加できることを意味しています。さらには、制御に対して分解的なアプローチを促進し、PLCの概念をまったく新しいものにしています。

サイバーフィジカルを使おう

この変化はどこかにつながると予想され、その目的地は、情報技術(IT)の世界と、オペレーショナルテクノロジー(OT)の領域が、より近くなるような場所でしょう。これを行うシステムは、一般的にCPS(サイバーフィジカルシステム)と呼ばれます。

CPSには、従来のような境界がありません。1つのシステムが終了すると、別のシステムが開始され、システムの中のシステムが作成されます。IoTは実際にはシステムの中のシステムであり、ますます、それらのシステムはサイバーフィジカルなものとなっています。

PLCを再考することにより、広域サイバーフィジカルシステムを使用するというコンセプトは、制御を適用するための演習になります。従来のPLCを使用して、このレベルの相互接続制御を実装することは困難でした。現代において、私たちが知っているオープンソースソリューションや産業用PCでさえ、この課題に対処することに苦労するかもしれません。しかし、ネットワークの端でより多くのインテリジェンスを具体化できるソリューションを開発することができれば、実現可能かもしれません。

近い将来のこのビジョンでは、ありとあらゆる技術が役割を持つかもしれません。現在使用されているPLCが、一夜にして不要になることはないでしょう。王座を狙う技術には影響力がありますが、それが万能であるとは限りません。おそらく、最も将来的な可能性を秘めている産業用PCでさえ、進化する必要があるでしょう。

そして、オープンソースコミュニティからもたらされる大きな変化は、私たちの、あらゆるやり方を、一変させるでしょう。

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