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ミニコン「PDP-8」を実現するラズパイ

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SimH用PiDP-8ミニコンピュータフロントパネルの作成

PDP-8、世界で初めて商業的に成功したコンピュータだ。実は2年ほど前、私はこのPDP-8にそっくりなPiDP-8キットなる小型のキット製品を購入し、組み立てたことがある。このキット、シミュレーションソフト「SimH」を動作させたRaspberry Piと操作パネル部を組み合わせた、非常によくできたキット品だった。この記事では、PDP-8とSimHを簡単に説明したのち、この PiDP-8 キットの組み立てている様子を紹介したい。

PDP-8とは何か? PDP-8は1965年に発表されたDEC製の12ビットマシンで、世界で初めて成功したミニコンピュータだ。かつて部屋中を装置ラックで埋め尽くしていたメインフレームコンピュータとはことなり、まさに机の上に据え置きできるコンピュータの先駆けだった。

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最初期モデルの「Straight-8」は、インジケータが並んだユニットの上に、多数のロジックモジュールをアクリルのドアの奥に詰め込んだ、非常にインパクトで高級感のある見た目をしていた。価格が18,500ドルだったのも納得だ。このような歴史的でエポックメイキングなコンピュータはコレクターアイテムとしての価値も高騰しており、状態のよいStraight-8を当時と同じ値段で購入できたらとても運がいい方だろう。

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Image source: yaymii.org

その後、1968年に発表されたPDP-8/Iは、同様のレトロフューチャーな魅力はないものの、インジケータランプとトグルスイッチという興味を引く特徴がある。これらはずいぶん安価になり現存数も多いのだが、相変わらずコレクターズバリューが高く、入手するのはかなり困難だ。しかもかなりかさばった構造で、テープパンチ/読み取り機などの周辺機器を加えると、さらに大きくなる。

SimH

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Image source: vintagecomputer.net

「SimH」は、インターネット上のプロジェクト「Computer History Simulation Project」で開発されたシミュレータソフトだ。同プロジェクトは歴史的なコンピュータのハードやソフトを後世に残すことをミッションとして活動を行っている。とくにこのSimHは、大変素晴らしいソフトウェアの集合体だ。Microsoft初の製品Microsoft/Altair BASICを実行した1974年の伝説的なAltair 8800マイクロコンピュータから、ミニコンピュータ大手老舗DECが開発した1980年代のVAXなど、多くの古典的なコンピュータアーキテクチャを、最新のハードウェア上でシミュレートできる。他にも多くのアーキテクチャがサポートされており、信じられないほどの成功を収めたPDP-11やもちろんその前のPDP-8もサポートされている。

SimHは、Linux・BSD・その他のUNIXプラットフォームで動作するようにコンパイルでき、ラズパイ上でも問題なく動作する。ちなみにWindowsの実行可能ファイルも用意されている。テープ・カード・ディスクストレージやネットワークインターフェイスなどの便利な周辺機器のシミュレートもサポートされている。

しかし、シミュレートされるコンピュータと連携するためにターミナルウィンドウをしようするのはいいが、オペレータフロントパネルのスイッチとインジケータを使用できるのが一番良い。

PiDP-8を組み立てる

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注意: キットを組み立てる場合は、公式の組み立て方法を参照のこと。

キットは竹製のパッケージに入っている。フロントパネルを取り除くと、部品が入った2つの袋と、メイン基板及び小型のスイッチブラケット基板がある。

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1つ目の袋にはたくさんの黄色LED・抵抗器・ダイオード・IC・ねじが入っている。

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2つ目の袋には、カスタムのプラスチックキャップが特長と思われるロッカースイッチが入っている。

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先に述べたように、基板は2つあるが、小さいほうの基板はスイッチの位置決めを助けるためだけに使用する。スイッチがすべておかしな角度で固定されていたら、どれほど苛立つことだろう。

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ダイオードと抵抗器が最初に取り付けた。

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LEDが次に取り付けた。正確にいうと、89個ものLEDだ。

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スイッチが基板ブラケットを使用して並べられ、基板の適切な位置にはんだ付けし固定した。

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ピンは言うまでもなくメイン基板にはんだ付けする。

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指示に注意して従い、位置合わせを何度も確認してから、ピンを適切な位置にはんだ付けすると、スイッチが整然と並べることができた。

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次にRaspberry Piのヘッダーとスタンドオフが取り付けた。

最初のテスト

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キットは旧式PiやZeroでも使用できるが、バージョン3のモデルB  (896-8660) を使用した。モデルBはワイヤレス内蔵であり、処理能力が向上しているので白熱電球をシミュレートでき、しかもオリジナル機の約24倍の速度でPDP-8/Iシミュレータを実行できる。

PiDP-8 作成者であるOscar Vermeulen氏 から、すぐに使えるオリジナルのディスクイメージが提供されているのだが、Warren Young氏が新しく更新したイメージの使用をお勧めする。

ディスクイメージを焼き付けたSDカードをラズパイに挿入し電源を入れる。少ししてからSimHシミュレータが起動し、フロントパネルが動き出す。

 最後の仕上げ

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同梱の木製ブロックで基板の裏面を固定する。これらの1つには、推奨された指示通りに、エンクロージャの中でボードを少し高く持ち上げるために、厚紙をテープで貼り付ける必要がある。 次に木製ケースが所定位置に固定されるようネジで締め、マイクロUSBケーブルを電源につなぐ。最後にケースを組み合わせ完成だ。(以下の写真)

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Oscar氏はこのキットですばらしい仕事をしたと言わざるをえない。特にスイッチキャップとプリントフロントパネルの細部に注意が払われている。

機能的でありながら芸術的に非常に美しいPDP-8シミュレータを手に入れることができたので、今後の投稿では、その上で動作するプログラムを見ていこう。

Andrew Back

Open source (hardware and software!) advocate, Treasurer and Director of the Free and Open Source Silicon Foundation, organiser of Wuthering Bytes technology festival and founder of the Open Source Hardware User Group.
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