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メカトロニクス、エンジニアリングに対する分野のかきねを越えたアプローチ

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ソリューションプロバイダとしてのメカトロニクスエンジニア

インターネットを簡単に検索すると、メカトロニクスとは機械工学、電気工学、制御工学の結合であり、きわめて明確な理由により、ロボット工学やインダストリアルエンジニアリングに関連して使用されることが多い、と説明されています。これは学問的な定義であるため、一般的な意味はやや異なります。つまり、メカトロニクスとは仕事をやり遂げるために必要なスキルの習得と実習にほかなりません。詳しく分析しなくても、典型的なメカトロニクスのプロジェクトには先ほどの3要素がすべて含まれていることがわかります。ここから考えられるのは、メカトロニクスとはつまり用途にフォーカスするということであり、その用途がロボット関連分野でも別分野でも構わないのです。

手を真っ黒にして作業することこそがエンジニアリングの真髄ですが、回路基板が相手ならそれはやめた方がよいのでしょうか? いいえ、その必要はありません。どんなに熱心な電子機器エンジニアでも、何かが思ったとおりにガチャン、ウィーンと音を立てるときに一番の充足感を感じるものです。機械エンジニアは製造工程のかなり前からCADを使って設計と模型作成を行っており、そのすべての中心を担うのがソフトウェアです。また、3つの設計分野のすべてを1つの環境に集約するという注目すべき取り組みも行われています。

20世紀、制御システムは純粋に機械的なシステムから始まり、進化して、今では大半が電気的なシステムとなっています。実際のところ、機械的、電気的要素をまったく含まない制御システムの存在意義を見出すのは困難です。調速機は、単純な機械的回転を利用して蒸気機関内で比例制御を行うために考案されましたが、現在ではECUが内燃機関のあらゆる管理に使用されています。制御システムの開発には機械工学の理解が不可欠でしたが、近年は、電気工学の知識も必要になっています。時代とともに、電気分野と機械分野はますます相互依存性を高めています。だからこそ今、エンジニアリングに対する分野のかきねを越えたアプローチの重要性がこれまで以上に高まっているのです。

調速機が最終的にはさらに複雑なシステムに置き換わり、より信頼性と再現性の高い方法で比例制御を適用できるようになったように、制御システム自体も、完全な物理的存在からほぼ無形の状態に変化しています。パワフルに動くエンジン上で実行されるアルゴリズムが、入念に重みを調整された回転金属装置に取って代わりました。今やほとんどのシステムでソフトウェアが制御を行い、数年前からエンジニアリングは、私たちが見て触れるものによって単純に定義されるようになりました。コーディングがエンジニアリングを変え、再び今、メカトロニクスを刷新しつつあります。

ソフトウェアは、単体ではバルブを開けたり燃料パイプ内の圧力を検知したりできません。そのため、物理的なデバイスだけが提供できる外部環境とのインターフェースに強く依存しています。その目、耳、手はセンサ、アクチュエータ、モータ、そしてその他のトランスデューサです。これらは慎重に全体システムに統合する必要があり、これこそが現在のシステムエンジニアリングにとって最も重要な点となります。それはメカトロニクスという言葉で適切に定義されます。

メカトロニクスエンジニアとは誰か?

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メーカーやシステムインテグレーターの技術者がメカトロニクスエンジニアと改名したとしても納得できます。スマートフォンのタッチスクリーンでドアの開閉を操作するシステムを作るとき、技術の境界線は関係ありません。多くの人にとってはもとになっている学問領域の違いさえわかりませんが、企業側は違いがわかり、区別することを好んでいます。メカトロニクスエンジニアは本質的にはソリューションプロバイダであるため、彼らに対する需要は高まっています。

先進的な電気、機械設計に関して高い技術力を持つ専門家へのニーズは衰えていませんが、各分野の専門家が作り出したものを受け取りすぐに現実世界に適用できるエンジニアに対する需要は増加の一途にあります。この「やってみる」という積極的な姿勢を最近支えているのは、浸透しつつある設定変更可能なソリューションであり、結果重視のエンジニアリングに対する実践的なアプローチをサポートしています。

最高レベルのエンジニアリング

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学問領域の境界線をなくすメリットを理解しているのは従業員だけではありません。多くの企業は、エンジニアリングに関わるすべての要素を、より速く生産的な方法で集約できるように取り組んでいます。Raspberry PiやArduinoなどの低コストのコンピューティングプロジェクトは、メカトロニクス用に狙いを定めたシングルボードコンピュータと結びつきました。半導体産業は何年にもわたってこの方面に進出しており、ボードサポートパッケージやリファレンスデザインの他、詳細技術を習得しなくてもエンジニアがソリューションを創造できるようなプラットフォームを用意しています。この流れはモータ制御において最も顕著であり、当てはまるようです。モータ制御は、白紙状態からのアプローチは困難ですが、マイクロコントローラサプライヤの認可前のモータ制御プラットフォームを利用することで非常に簡単に実施できます。

異なる学問領域を1つの設計チームにまとめることで、エンジニアは互いのスキルを補完しながら共同作業を行うことができます。それぞれが他のメンバーのスキルに感謝しつつ、設計プロセスで助け合うことも可能になります。

キーとなるIoT

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メカトロニクスが再び脚光を浴びる理由(この言葉が生まれたのは約50年前でした)は、IoTにあります。「モノのインターネット(Internet of Things)」とは、「データのインターネット」に他なりません。なぜならデータ、又は、より一般的な形で言えば「情報」が、現在世界を動かしているからです。完全な自動化を実現しているのは、データ上で実行される制御システムです。蒸気機関では、「データ」とはエンジンに対する負荷であり、負荷が高いほどエンジンも激しく動き、調速機によって制御されました。今ではこのプロセスを動かすデータは、もはやエンジン負荷にとどまらず、はるかかなたから届くようになっています。たとえば棚に並ぶ在庫品、路上の自動車、あるいは空の太陽さえもデータの対象かもしれません。メカトロニクスはデータの集約と活用を可能にし、全体的な閉ループシステムを規定します。

専門学校や大学でも、学習に対する分野のかきねを越えたアプローチの重要性が増している現状を認識しており、教育界では補完的スキルを含む科目の導入が進んでいます。メカトロニクスの学位取得コースはますます増加し、UKの専門学校は、学問的にはAレベルと同等ですが設計と技術を特に重視する「Tレベル」制度を展開しています。

メカトロニクスエンジニアという職種が生じたことにより、この状況はしばらく続きそうです。これはエンジニアリングへの関心が多少低い人にとっても大きなチャンスとなります。なぜなら、1つの分野を習得するために数年間を費やすことなく、独自のスキルを活用して多くの分野に習熟することができるからです。

Favourite things are Family, Music and Judo. Also, I have the ability to retain and quote useless facts, something that pleases me but can annoy others. My engineering hero - Isambard Kingdom Brunel