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部品リスト
Qty | Product | 品番 | |
---|---|---|---|
1 | STMicroelectronics STEVAL-MKSBOX1V1, Development Kit for STM32 for IoT and Wearable Sensor Applications | 190-8453 | |
多くの人がそうであるように、私は食品を開封するときに冷蔵庫のドアを開けたままにしている。しかし、このことは冷蔵庫の動作を台無しにし、効率を低下させる。その原因は、2つの重要なパラメータ、温度と湿度だ。設定温度が低ければ、電気を無駄遣いになる。そしてドアを閉めなければ、湿度が上がり、冷却に時間がかかるようになる。
STMicroelectronicsのSensorTile.box (190-8453) を入手した私は、この2つのパラメーターを計測して、冷蔵庫の中で何が起きているのか調べてみたら面白いのではないかと考えた。他にも、夜中に誰かがキッチンに忍び込んでいるのか、私が一晩中冷蔵庫のドアを開けっぱなしにしていないかも調べてみることにした。
SensorTile.box
SensorTile.box
SensorTile.boxは動体用の開発ボードだ。複数のモーションと環境センサを搭載し、ワイヤレスIoT及びウェアラブルセンサアプリケーションに使用できる。このボードには、IP54等級の防滴性能を備えたプラスチックボックスが付属する。ボックスの寸法は57 x 38 x 20 mmだ。上蓋はフランジ付きとフランジ無しの2種類ある。フランジ無しタイプは、用途に応じてキットを壁面などに取り付けるときに使用する。キットにはリチウムポリマーバッテリーが付属しており、micro USB Type-Bケーブル用のスロットから充電できる。
SensorTile.boxには、わずか50nAしか消費しない超高分解能デジタル出力を備えた3軸MEMS加速度センサ、6軸慣性モジュール、磁気センサ、温度センサ、湿度センサ、圧力センサ、オーディオセンサなど、さまざまな低消費電力センサが搭載されている。
センサ設定を管理し、出力データを処理するため、DSP及びFPU搭載の超低消費電力32ビットARM Cortex-M4マイクロプロセッサが使用されている。ボードとスマートフォン間のワイヤレス通信を可能にするST BT Low Energyモジュールも搭載されている。
デバイスのセットアップ
ボードには、スマートフォンからST BLE Sensorアプリを使用してアクセスできる。ST BLE Sensorアプリには、初心者向けにいくつかのサンプルアプリケーションが含まれている。熟練したユーザーは、[EXPERT VIEW (エキスパートビュー)]モードで独自のアプリケーションを構築できる。アプリの使い方の詳細については、公式ユーザーマニュアル又はこのビデオを参照してほしい。
このプロジェクトでは、冷蔵庫内の温度と湿度に加えて、磁界も計測して冷蔵庫のドアの位置を確認した。
アプリをロードし、クラウドに接続するまでのステップバイステップガイド
- メインウィンドウで、[CREATE A NEW APP (新規アプリを作成)]を選択します。
- [Example Apps (サンプルアプリ)]ウィンドウが表示される。[EXPERT VIEW (エキスパートビュー)]を選択し、次のウィンドウで[+NEW APP (+新規アプリ)]を押す。
- 私は「Smart fridge」という名前の新しいアプリを作成した。入力は温度・湿度・磁界センサの計測値だ。
- メインウィンドウに戻り、[CONNECT TO A DEVICE (デバイスに接続)]オプションを選択する。
- ボードの電源が入っていれば、デバイスのリストにデバイス名が表示されるはずだ。ボードとスマートフォン/アプリの接続が確立されると、青いLEDが点滅する。
- 左上隅のアイコンを押すと、計測データを観測するオプションが表示される。[Cloud Logging (クラウドロギング)]オプションを選択すると、データがクラウドサービスにアップロードされる。今回の例では、クラウドサービスはMicrosoft Azure IoT Centralだ。
データのAzure IoT Centralへの送信
私がこのプロジェクトに使用しているクラウドサービスはMicrosoft Azure IoT Centralだ。私はこちらの手順説明に従って、Sensortile.boxをAzure IoT Centralに接続した。
このプラットフォームはIoTデバイスの監視と管理のためのブラウザベースで、コードを1行も書かずに短時間で自分のアプリケーションを作成することができる。Azure IoT Centralは、デバイス5台までは無料で、非常に直感的に使える。実際に、24時間365日のオンラインチャットサービスを含むサポートサービスには大変感銘を受けた。
すべてが正しく設定されていれば、ST BLE Sensorアプリの[Cloud Logging (クラウドロギング)]ピンの右下隅のクラウドアイコンを押すことで、生データをAzure IoT Centralにアップロードできるはずだ。
ブラウザでは、デバイスTILE18209BCが表示され、湿度・温度・Z方向の磁界の計測値が2秒ごとに更新される。これらは冷蔵庫内部の実際の測定値だ。
Azure IoT Centralに接続されたSensorTile.box
ドアに直接取り付けたくなかったので、私は下の写真のように、SensorTile.boxを先に木片にテープで止め、冷蔵庫のドアに置いた。ご覧のように、私の家の冷蔵庫はスペースが大きな問題なので、SensorTile.boxを監視に使用するのはほんの時たまにしようと考えている。
「真夜中のつまみ食い」
冷蔵庫の監視が役立ちそうな「最高の」状況を2つ思い付いた。1つ目は、夜中にキッチンに忍び込み、つまみ食いを楽しむ家族の誰かを捕まえたい場合だ。
温度と湿度に加え、冷蔵庫のドアが開閉したときの磁界の変動も計測した。下のグラフのシナリオは、「ドアは最初閉じていた。次に誰かがドアを開け、約3分後に再び閉じた」というものだ。Z方向の磁界は約200mGから400mGに変化している。対応して湿度と温度の計測値も変化している。これはドアを開けたときに庫内の冷たい空気がドアから一気に出て行くことで説明できる。
Z軸方向の磁界温度
湿度
これらの変化を検出し、通知を受けるため、左のメニューの[Device Template (デバイス温度)]セクションで、Azure IoT Centralに「Telemetry rule (遠隔計測ルール)」を設定した。しきい値は300mGに設定した。これは完全に同じ場所でセンサから数回計測を行って見つけた値だ。
このルールは、しきい値を超過したときに通知メールを送信する「アクション」をトリガーする。
「しまった!ドアが一晩中開いたままだった!」
2つ目の実験は、冷蔵庫のドアが少しだけ開いたまま放置されたときに(私の家のドリンク用冷蔵庫でよく起きる)、SensorTile.boxが検出できるかテストすることにした。この冷蔵庫は非常に小さいので(又は中にビールを入れ過ぎているので)、朝キッチンに降りて来たときに下の写真のようにドアが一晩中開いていたことに気付くことは珍しくない。
ドリンク用冷蔵庫のドアが完全に閉まっていない
1つ目の実験と同様に、磁界の変動をテストした。今回は変動がかなり小さくなる。下のグラフは、ドアが閉じているときに、磁界が負のZ方向に370mGだったことを示している。ドリンクを取る動作をして、ドアを数秒開けた後、意図的に少しだけ開いた状態で放置した。ご覧のように、磁界は前回と同じ方向に300mG動いている。
ドリンク用冷蔵庫のZ方向の磁界の計測値
そこでルールをもう1つ設定。磁界を5分間計測し、平均が-300mGより大きかった場合、冷蔵庫のドアが開いたままになっていることを通知するメールを受信するようにした。
まとめ
このプロジェクトでSensorTile.boxを思う存分試すことができた。特に、コーディングがまったく不要で、手順説明が非常に明快で良かった。Microsoft Azure IoT Centralへの接続も非常に直感的でした。IoTデバイスの制作を誰でも今すぐ始めることができる。
その他のリソース:
Unboxing SensorTile.box from STMicroelectronics
Choosing a cloud platform for your IoT devices
IoT sensing made accessible with SensorTile.box and Azure IoT Central