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Field-installable: コネクタを使いこなす秘訣

現在、コネクタのニーズ増加につながるさまざまな傾向が発生しています。ホームオートメーション、IoT、インダストリー4.0などでは、インターネット上での制御が重要ですが、ローカルでは機器をインターネットに接続する必要があります。こうしたネットワークとアプリケーションは増加しており、より多様な場所、環境、アプリケーションへと拡大することになります。

新しく開発される機器の良い点は、既存のインフラストラクチャに対応できることです。新しい機器を設置するために既存のネットワークを新しくする企業はほとんどないでしょう。

それでも、すべてのデバイスを設置するにはコストがかかります。最新機器のプラグアンドプレイ機能を使用すれば簡単にセットアップはできますが、ほとんどの機器に物理的な接続で業者を呼ぶ必要が生まれ、コストが発生する可能性があります。機器を自分で設置できれば、スタートアップコストを簡単に削減できます。

どの程度簡単に自分で機器を設置できるかは、コネクタの設計によって決まります。コネクタにかけるコストや、コネクタを機器に取り付ける技術への依存につながる可能性があり、この両方が導入のカギとなります。それでは、最も一般的なテクニックと、それらのテクニックをどのように簡単に使いこなすかについて考えてみましょう。

はんだ付けコネクタ

はんだ付けコネクタは、地域によってははんだ付けバケットやはんだ付けカップタイプとも呼ばれます。説明はきわめて明確です。コネクタ内の各接合部の後ろに円筒型の空洞があり、その中にワイヤを終端処理します。各はんだ付けバケットは、はんだ付けしてから、ワイヤ自体を差し込みます。はんだ付けコネクタは安価なため小規模の製造現場に最適です。

 

 

 

 

 

 

 

 

標準的なはんだ付けバケットの終端処理
画像: Amphenol

はんだ付けのデメリットはいくつかあり、そのうちの主な1つが「経験」です。はんだ付けは訓練が必要で、すこし扱わなくなっただけですぐに腕が鈍ってしまいます。職場環境もまた、考慮すべき重要な点です。はんだ付けを行うと、有害な煙が発生するほか、はんだ付けに使用する機器は当然、高温になり、安全性への懸念が生じます。

圧着による終端処理

他の一般的な終端処理方法には、「圧着」があります。圧着では、接合部内にワイヤを入れ、その後専用工具に入れて圧着します。圧着で終端処理を行うと、正しく処理されていれば、機械的や電気的にみて優れた接合が実現します。圧着工具が正しく設定されていれば、何度でも一貫したプロセスを用いて接合が行えます。そのため、比較的経験の浅い人でも、ほとんど訓練することなく圧着工具を操作できます。

圧着の主なデメリットは、圧着工具自体にあります。圧着工具は一般的で簡単に入手できますが、コネクタによっては、高価な最新の工具が必要となる場合があります。そのため、少数のコネクタを終端処理する場合は、非常に高コストとなります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

圧着工具は便利だが高価
画像: DMC

 

絶縁圧接コンタクト(IDC)

そこで登場したもう1つの方法が、IDCです。IDCとは絶縁圧接コンタクト(Insulation Displacement Contact)の略語で、非常に巧みです。終端部分の被覆をはがす必要がありません。これは接合部の2つの突起がワイヤの被服を貫通し、突起の間に挟まれるよう設計されているためです。これは新しい技術ではなく、リボンケーブルでは数十年にわたり使用されてきました。しかし、現在では別の方法でも使用されています。

つまり、従来の終端処理方法は、DIY (自分でできる)アプローチに適していないことが分かります。しかし「Field-installable」と記載のあるコネクタであれば接続が簡易的です。

 

Field-installable コネクタ

多くのメーカーが、理想的ではない環境で終端処理できる一般的なコネクタを開発してきました。最小限の工具での設計であれ、手の届きにくい部分での終端処理であれ、「Field-installable」はさまざまな概念や技術を網羅する言葉です。ただし、注意していただきたいのは、バリエーションに富んでいるため、失敗する可能性もあります。「Field-installable」は、業界標準の規定はありません。

業界標準は便利です。業界標準によってユーザーは一連の機能や特性に確信を持てるため、適切な製品を素早く選択できます。

コネクタの世界には、多数の標準があります。標準コネクタタイプは、数十年をかけて開発されていることも多く、その元になったコネクタをさまざまな場所で見つけることができます。たとえば、D-Subミニチュアコネクタは、元々はあるメーカーが開発したものですが、その後、一時の間、世界で最も幅広く製造されているコネクタの1つとなりました。また、軍事規格に適合している一部のコネクタは、様々な機器に適用できる製品の供給を実現するためにサードパーティが記述した仕様が元になっています。

 

コネクタの形状やサイズは多岐にわたるが、標準には適合している
画像: Benchmark Connector Corporation

 

コネクタは、性能によって分類できます。コネクタを過酷な環境で使用する必要がある場合は、有名なIP等級が、特定の製品に期待される仕様を非常に正確な言葉で規定しています。これは、かん合回数で測定されるコネクタに期待される製品寿命から、通信コネクタに期待されるデータ転送速度まで、他の特性についても同様です。こうした多くの特性により、製品の選び方が明確に分かります。

しかしこれは、Field-installableコネクタには当てはまりません。高価な圧着工具を使わず圧着できるものから、工具なしで終端処理できる製品まで、設計が多岐にわたるためです。同様に、Field-installableとして設計されていても、実際には容易に設置できないこともあるほか、依然として清掃や安全な環境が必要な場合もあります。

そのため、「Field-installable」という言葉は、通り抜けが困難な迷路のようなものです。しかしここで、適切な製品を選択するのに役立つアドバイスとヒントを紹介します。プロセスにおいて他人を驚かせるような、新たなコネクタの専門知識が得られると思います。

こうしたアドバイスの一部を実証するため、同じコネクタタイプの2種類のバージョンを使用します。ここでは、おなじみのM12コネクタを選択しました。同類で小型のM8とM12は、きわめて幅広い用途に使用されてきましたが、特に使用されてきたのは産業ネットワーキングと産業制御の分野です。M12は共通基準に従って多数のメーカーが製造しており、(少なくとも理論上は)異なるソースのコネクタに互換性が備わっています。

E ConnectivityのM12及びM8コネクタファミリ
画像: TE Connectivity

 

この記事では、TE ConnectivityとHARTINGの製品を使用しました。いずれも大手のコネクタメーカーであり、各社ともに数十年の実績があります。この2社は、M12を設置する際の問題に対して、それぞれの目的に適した異なるアプローチを取っています。

参考までに、TE Connectivityについては、T411シリーズコネクタとメスコンタクト (124-7087) 、オスコンタクト (124-7099) を、HARTINGについては、Harax M12シリーズとメスコンタクト (707-3695) 、オスコンタクト (623-5864) を使用しました。

最初のアドバイスは、コネクタを購入する前に、組立説明書を読んでみることです。ほとんどのメーカーは、製品データがすぐに入手できるようにしており、組立説明書は通常、製品カタログの一部として入手できるか、又はダウンロード可能な説明シートとして別途入手できます。

組立説明書

 

組立説明書は、プロセス自体がどういうものかを示してくれるのと同様に、作業を完了するのに必要な追加機器のコストを明確にしてくれます。ここで選択した例の両方では、一般的な手動工具が必要です。TEコネクタの方が必要なものが多く、HARTINGは比較的少なくて済みます。最初に調べておけば、作業の完了時間に違いが出ます。つまり、工具調達のための、想定外の遅延が生じるのを防ぐことができます。

余談ですが、ここで工具について少し説明させてください。「工具不要」をうたっているコネクタはいくつかあります。それらは通常、前述のIDCによる終端処理などの巧みな方法を使用するため、いわば素手で接続を完了できます。思うにそれは、最新のコネクタ設計の頂点の1つです。 

工具不要のコネクタは、プロジェクトにとっては最適だと思えるかもしれませんが、「今すぐ購入」をクリックする前に、本当に工具不要であることが必要かどうか確認してみてください。それらのコネクタはその他の処理方法よりも高コストかもしれません。特に、Field-installableコネクタに通常必要な工具は、すでに所有している可能性があるためです。もう1つチェックしてほしいのは、修理できるものであるかということです。つまり、設置後に取り外しできるものか、さらにはこれが必要なものであるかということです。繰り返しますが、調査をしておけば、大きなメリットを得ることにつながり、その後発生するコストやストレスを減らすことができる可能性があります。

次のアドバイスは、ケーブルの適切な準備に時間をかけることです。組立説明書には、通常、準備しておくケーブルの正確な寸法が記載されています。「何とかなるだろう」という勘で取り付けたくなるかもしれませんが、できる限り正確に説明書の指示に従うことをお勧めします。今回取り上げたものは両社の製品が存在する限り製造されます。TEとHARTINGを信頼する価値があるという私のアドバイスを信用してください。

 

組立指示書は必ず読んでください。
画像: TE Connectivity

 

キャップ等の部品の組み立ても組立説明書に書かれた手順で行ってください。ケーブルを終端処理する準備が済んだ後から部品を組み立てるのは非常に難しいうえ、重要な部品が床に落下して、紛失を防止できるというさらなる利点があります。一回落としたら取ることのできないような場所で場所で無数の小さいコネクタ部品を失くした経験のある者として、このアドバイスに従うことを心よりお勧めします。

ここから2つのコネクタタイプにより少し違いが生じます。TE Connectivityコネクタではネジによる終端処理を行い、小さいグラブねじを使用してワイヤを接合部に固定して、細いドライバを使って締めます。一方、HARTINGではHARAXによる終端処理を行い、IDC技術を使用するため、必要な工具は最小限で済みます。

HARTINGの終端処理(左)と、TE Connectivityの終端処理(右)
HARTINGコネクタの4組の突起はIDCタイプの接合部です。
組み立ての最終段階では、ワイヤが接合部に自然に入ります。


この2つのアプローチには、それぞれのメリットがあります。HARTINGコネクタは工具がまったく不要というわけではありませんが、標準的なスイスアーミーナイフとスパナ1組だけで終端処理を完了することができます。素早い終端処理が可能で、手順も少ないため、コネクタに慣れていない人でも簡単に実行できます。これに対し、IDCによる終端処理技術を使用すると、取り外しが困難になり、修理作業が難しくなります。

これに対して、TE Connectivityのアプローチは少し手間がかかります。グラブねじはかなり小さく、少々慎重に扱う必要があるほか、コネクタ全体の処理を完了するのにより多くの工具を必要とします。ただし、組み立てプロセスは機械的なため、修理がはるかに簡単です。実際に、極端なケースでは、コネクタを完全に解体でき、ケーブルをカットして再度準備し、あまり手間をかけずにコネクタの処理を完了できます。

コストの問題もあります。TE Connectivityコネクタの終端処理には、一般的な工具がいくつか必要です。これらの工具の購入コストは約100ポンドですが、通常はこれらの製品すべてを完成させる工具キットをほとんどの技術者や保守担当者が所有しています。そのため、唯一コストがかかるのはコネクタであり、TEバージョンは約2.50ポンドで購入できます。

Field-installableコネクタ用の工具キット(487-088)

 

HARAX終端処理技術を搭載したHARTINGコネクタの場合、使用する工具はさらに少なく、ケーブルをカットして準備する工具といくつかのスパナのみです。ただし、設置プロセスの簡素化のコストがコネクタに上乗せされるため、約20ポンドとなります。

まとめ

Field-installableコネクタのすべてが、同等の造りではないということは分かっていただけたでしょうか?最適な解決策に見えるものが、実際には長期的な問題を引き起こす可能性もあります。また、作業が行われる環境の問題についてはまだ対処していません。屋外での設置が必要であれば、設置に関する新しい一連の要求事項が生じます。

まとめると、最後のアドバイスはおそらく、何を優先するかということ、つまり何を達成しようとしているかを明確にすることです。屋内での作業を完了することで設置コストを削減しようとしているのか、それとも、はしごの上にのぼり、雨の中、機器を設置する必要があるのかを考える必要があります。

最後になりますが、これまで見てきたように、「Field-installable」という言葉が実際に何を意味しているかの標準的な定義はありません。各メーカーが独自の解釈に従ってコネクタの設計を行っていることで、ユーザーによる製品の選択が困難になっています。アールエスコンポーネンツをはじめとするディストリビュータに、ユーザーのニーズを明確にする余地はあるのでしょうか?それはどのような形で明確にされるのでしょうか?このテーマについては、他の記事で扱うことになると思います。

組み立てが完了したTE Connectivity T411シリーズコネクタ

 

Field-installableコネクタは、設置のジレンマに対する解決策となります。新しい接続機器に対応する必要のあるユーザーへの代替アプローチを提供できるコネクタは、数多く存在します。しかし、その多様性がユーザーの障害となるおそれがあります。入念な下調べをして、前もって計画を立てるようにしましょう。これらの手順に従えば、コネクタの選択や設置は容易に行えます。

 

Connector Geek is Dave in real life. After three decades in the industry, Dave still likes talking about connectors almost as much as being a Dad to his two kids. He still loves Lego too. And guitars.
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