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Marlec製の風力発電キット「Rutland Furlmatic 910-4」を探る

前回の記事では持続可能なキャンピングカープロジェクトに向けた、オフグリッド電気システム開発における太陽光エネルギー利用を検討しました。今回は急拡大するオフグリッドの目標を効率的に達成できるように、複合再生可能エネルギー構築に向けて風力発電について見ていきます。

この記事ではMarlec製の小型風量発電キット「Rutland Furlmatic 910-4」の組み立て工程を紹介し、オフグリッド環境で使用可能な電力を生成するための小型風力タービンの充電能力を評価します。最終的な目標は、この風力発電機構をキャンピングカーに搭載して太陽光と風力を主力とする強力なハイブリッド再生可能エネルギーシステムを構築することです。

wind turbine

部品リスト

  • Marlec Rutland FM910-4 Windcharger (790-3971)
  • Marlec HRDiチャージコントローラー
  • ディープサイクルレジャーバッテリー

組み立てとテスト

Rutland 910-4 Windcharger キットには風力発電機(タービン)の製作に必要なものが全て含まれていますが、実際に風力発電を始めるには多少の組み立てが必要です。このモデルには低速風速、風向きの変化、乱気流の中でも効率的に発電できる低摩擦スリップリングを備えた三相発電機が搭載されています。

Windchargerキットは主発電機ヘッドユニットに加え、6枚のローターブレードとノーズコーンが同梱されています。さらに、タービンには機械式ファーリングテールフィンを搭載していて、これにより悪天候には強風を切り発電機を守ります。

今回の実験ではレジャーバッテリーに蓄電するためのエネルギー変換を行うチャージレギュレーターを接続するため、実験的に2芯のケーブルもタービンに取り付けました。

wind turbine assembly

Rutland 910-4 Windcharger キット

キットにはタービンの組み立てに必要な固定部品が全て含まれており、組み立ても説明書通りにやれば簡単にできます。まず、ブレードをヘッドユニットに付属のセルフタッピングネジでしっかりと固定します。ブレードは左右2本ずつの計4本のネジと干渉金具で固定され、これにより強風時でもローターが外れずに安定した動作が可能になります。ローターハブは各ブレードにある小さな切り込みにより、ブレードを間違った方向に挿入することができないように設計されています。発電機のプラスチック成型部分にある凹みも、長いドライバーを使ってネジを締めやすくしています。

wind turbine assembly

ブレードの取り付け

先ほど説明したファーリングテールフィン(尾部垂直安定板)は、金属製の尾翼の端に取り付けられた2つの端止めの間で自由に回転するように設計されています。フィンは垂直から15度ずれていて、低風速でははためかないようになっていますが、風速が空気力学のしきい値を超えるとタービンが風を切るようになっています。テールフィンは2つのナイロックナットで簡単に取り付けられます。

wind turbine tail

ファーリングテールフィンの取り付け

タービン組み立ての最終段階はノーズコーンを取り付けることです。今回の場合は足場に使う短い鉄柱を使用して、ブレードの動きを制限しつつ、発電機を手の届く高さに取り付けました。その後、ローターとスリップリングが自由に動くかどうかをテストし、全体のエネルギー収量に支障をきたすような摩擦損失がほとんどないことを確認しました。

wind turbine

ノーズコーンの取り付け

これでタービンは完全に組み立てられました。今度は長い鉄柱を用いて、空気がきれいに流れる場所の頭上にタービンを設置して実験を行えるようにしました。

実験の中では、再び足場の鉄柱を仮設置用として使用しました。これは足場の鉄柱がMarlec社が指定する内径と外径の条件を満たしているからです。さらに、延長した電源ケーブルをその鉄柱の中を通して配線することで、タービンからの測定値を地上から測定することが可能になります。

wind turbine

足場用の鉄柱に取り付けられたタービン

タービンから出力される生の電圧はオシロスコープで観察することができます。発電機からの整流された三相出力、その回転周波数および各種の風速に比例した平均電圧を確認することができました。タービンからの電圧出力を確認できたら、この電力をオフグリッドバッテリーに充電できるように形式を変換します。その為に、Furlmatic 910-4タービン用に設計されたMarlec HRDiチャージレギュレーターを使用します。

power charge regulator for wind turbine

Marlec HRDi チャージレギュレーター

HRDi チャージレギュレーターは、2つの独立したバッテリーバンクを充電することができます。デバイスが目標バッテリー電圧を検出するためには、初めに充電するバッテリーバンクを接続する必要があります。また、充電中の温度補償のためにバッテリーセンサープローブを近くに設置します。

実験ではタービンを一時的に拘束して付属のネジ端子で出力ケーブルとチャージレギュレーターを接続しました。その後タービンを自由に回転させ、発電機の充電特性を観察しました。

power graph wind turbine

タービンの要求歩留まり

チャージレギュレーターにはLCDスクリーンが搭載されており、タービンからの発電電流や各バッテリーの充電状況など、主要な指標をリアルタイムに表示してくれます。しかしながら、テスト中にタービンの出力電圧がバッテリーの電圧より高くなければ、一切充電できないことが分かりました。つまり、適度な風速で電圧がタービンから生成されたにもかかわらず、チャージレギュレーターからの収量は実際にはゼロであったという事です!

performance graph wind turbine

タービンの電力曲線

この挙動は、特にタービンが非常に低いカットイン風速で発電を開始するように設計されているため、システムの効率と収量が大きく損なわれているという事を示唆しています。電力曲線グラフがこれを裏付けており、風速が3m/sを超えるとタービンが発電を開始していることが確認できます。一方で、レギュレーターがカットインするのは8m/s以上となっています。

wind turbine testing

適度な風速で11Vを発電するも、レギュレーターからの収量は0

タービンの性能を同等の太陽光発電システムの性能と比較すると、太陽光発電では曇天時でも高い公称電圧で小電流を発生させられます。反対に、風力発電ではある程度の風でも収量が0であり変換する効率が悪いことが分かります。実際に実験をしてみると、タービンは無風に近い状態でも回り始め、適度な風であれば数十ワットは確実に発電することが分かりました。他方である程度の風でレギュレーターの性能が十分発揮されている状態でも、バッテリーの充電電力としては不足していることに非常にもどかしく感じました。

wind turbine energy generation

強風のカットインで20W程度の発電

結論として、Furlmatic 910-4風力タービンは使いやすい上に簡単に組み立てられ、オフグリッドエネルギーソリューションとして大きな可能性を秘めています。しかしながら、設置環境と空気力学的条件に大きく依存してしまいます。皮肉なことに、タービン自体は実験からわかるように、低風速や乱気流下でも非常に優れた性能を発揮します。ですが、もし充電調整装置(チャージレギュレーターなど)の性能も含めてタービンの正確なベンチマークとして定義するのであれば、実験で得られた非効率性は、既存および将来のインフラプロジェクトの実現可能性において影響を及ぼしてしまうかもしれません。

このことを念頭に置き、私は今後もFurlmatic Windchargerの最適な条件・環境を見つけるためテストを続け、オフグリッドキャンピングカープロジェクトを実現できるソリューションを開発していきます。特に、風力発電と太陽光発電をインテリジェントに組み合わせ、昼夜を問わず実行できるモードなど、変化する環境条件に強い対応性を持つ包括的な再生可能エネルギーシステムを実証したいと思います。

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A keen maker and electronic engineer with a passion for the environment, renewables, alternative transport and anything off-grid. Man with a van and founder of the Kickstart Kamper sustainable campervan project. Grassroots Education Sustainability Ambassador. BrightSpark 2017. BEng. KickstartKamper.co.uk