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KORG Nutubeでギターペダル設計(2): プロトタイプの作成

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本記事はKORG Nutubeアンプでギターペダル設計に挑戦する記事の第二回目だ。第一回では真空管についての紹介を行った。今回はアンプの設計から離れ、小さいテスト回路を作り、その動作の確認まで行う。

最小回路作成

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まず初めに、テストのための回路を実際にブレッドボード上に作ってみる。上の回路は一段のNutubeアンプに必要な最小限の回路だ。部品構成は以下の通り。

  • 3端子レギュレータ(今回はLM317Tを採用)
  • 一つの入力の”段”
  • バイアス
  • 一つの出力プルアップ抵抗

レギュレータが必要だ

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(最小のLM317回路, 一部表記が横になっていることをお許しいただきたい)

Nutubeは2.5Vのバイアスと0.7Vのフィラメントが必要だ。プレートの電圧はこれらを別に独立しているため、これらの定電圧電源を供給してやる必要がある。

提供される両者の電流は低い(mA程度)であるため、リニアレギュレータを利用することができる。リファレンスデザインにあるように、抵抗を一つの電源から抵抗分圧として供給することができる。

リニアレギュレータの扱いには注意が必要だ。下手をすると電圧低下時に発熱するような非効率な回路になってしまう。電力の式はご存じだろう。電力P = (Vin - Vout) × I だ。言い換えると、「電圧低下もしくは電流上昇時に電力が高くなる」といえる。すなわち“熱が発生してしまう”のだ。もし回路に何かしら追加する場合には、アンプを使用しないことを念頭においておこう!

動的な入力/出力

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入力の“段”はACカップリングのためのたった1uFで問題ない。

22kのポテンショメーターでバイアス調整する。これにより、0V~3.3Vに可変な電圧が供給される。22kから出力できる電流は150uAだ。これは6uAの格子電流を提供するのに十分である。

出力は単なるアノード(陽極)へのプルアップだ。出力がACカップリングされていない場合には、これがアンプ電圧となる。このプルアップの値はさらなる出力電流を提供するように調整することが可能だ。ただし、真空管の電力制限内である1.7mWで収まるようにすることが重要だ。

テストのセットアップ

今回、私たちの手元にあったサイン波発生器を利用して回路をテストした。 Arduino経験者なら、Arduino Dueチュートリアルで発生させたサイン波を使用してもよいだろう。またマルチテスターでは何が起こっているのか理解するのが難しいので、可能ならオシロスコープをお勧めする。その仕組みを理解する良い機会になるはずだ。

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最初にやるべきことは、ポットであるDVMを利用してバイアスを2.5V程度になるように調整することだ。

次に、200mV程度のサイン波を抽入する。200mVはギターピックアップにとって非常に理にかなった電流量である。上の図のプロットのようにNutubeが約3.5倍に増幅していることを読み取ることができる。最大で5倍増幅することが期待されるが、私たちが潜在的に作ってしまった“負荷”のため、それを妨げているのだろう。では我々はどんな負荷を生み出しているのか?

出力を計測するためにオシロスコープを利用しているが、実はオシロスコープの等価回路には1Mインピーダンスのグラウンドに接続されている。これはアノード(陽極)抵抗の3倍にあたるため、大きな影響を及ぼしているのだ。このことは、最終的な回路にアドレッシングが必要なことを示している。私たちの出力部分に接続されたデバイスに1Meg(またはそれ以上)の入力インピーダンスを期待することはできないためだ。

次に、他の波形についての試してみよう。さらに高い周波数のサイン波や アンプにとってやっかいな矩形波(方形波)だ。

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高周波数の波には減衰や歪みは(視覚的にはとにかく)見られないことがわかる。これはNutubeがいい仕事をしている証拠であり、少なくともオーディオとして十分な帯域幅を持っていると言えるだろう。矩形波はアンプの安定性を示す興味深いものだ。上の図の波形に見られるような非常にシャープなスタート/ストップのエッジを利用して「ステップ応答」を確認することができます。安定している、もしくはオーバーダンプしている場合にはオーバーシュートは発生しないだろう。Nutubeはこのオーバーダンプに該当する。これは都合がよく、オーディオの音色を変える“サウンドエフェクト”を作り出すのに役に立つのだ。

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最後に、我々は「歪み」について試すために「最大の入力」を試す必要がある。この場合、約1Vpk-pk(peak to peak)となる。これ以上の出力では“クリップ”し始め、歪んでしまうだろう(これは実は望ましい動作なのだろう)。幸い、我々はバイアス電圧を調整することによって、クリッピングの閾値を変更することができる。

次のステップへ

今回までの内容で、私たちはほぼCAD設計に着手できる準備が整った。が、その前に出力入力とインピーダンスと入力についても考慮しなければならない。現状では別の機器から供給されている場合においても、(最初に紹介した22kと大差がない)10k程度のインピーダンスが必要になっている。

出力にはユニティ・ゲイン・アンプが役に立つだろう。これはシンプルに高いインピーダンスから(より)低いインピーダンス出力に変化するオペアンプや単純なFET/BJT回路だ。この出力インピーダンスは、おそらく二つのアンプのカスケード接続に結合するため、ACカップリングが必要になるだろう。

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ブレッドボード上では非常にノイズが多く、期待している結果を得られないかもしれないが、我々は設計を通していくつかのオーディオに挑んでいきたいと考えている。それに加えて、現時点でユニティ・ゲイン・アンプもテストしたいと考えている。

最後に

Nutubeを試し、回路で確証を得ることができた。今回のテストは一旦ここまでとしよう。もしここまで辛抱強くついてきてくれた方ならば、ストリップボード回路が可能であり、次回の連載を読んでいただいた最後にはCADにコミットしてプロトタイプを作成可能になるはずだ。

続く・・・

 

Karl is a design engineer with over a decade of experience in high speed digital design and technical project leadership in the commercial electronics sector.