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多機能な測定機能を手のひらサイズに凝縮したポータブル計測器「Analog Discovery 2」とRaspberry Pi 4を使って、スタンドアロンで、プログラマブルなオーディオアンプ評価測定装置を作ってみます。
一般的にAVアンプの評価測定装置は波形生成と波形計測の両機能を備え、遠隔操作用のインタフェースを搭載し、さらに一連の測定手順を自動化する事も可能な機能を搭載しています。当然、このような機器は非常に高価で、10年以上前の中古品でさえも価格は下がっていません。
そこで、しばらく放置していたDigilent製 Analog Discovery 2で類似する評価測定装置に使えないかと考えました。Analog Discovoery 2(以後 AD2と表記) は内蔵する豊富な計測機能を自由に拡張・カスタマイズできるSDKソフトが公開されており、これが使えるのではと思ったのです。
AD2の他には、データロギングとデータ処理用に、Raspberry Pi 4と Raspberry Piタッチスクリーンを使います。今回、私たちが一番の目的として考えているのは、オーディオアンプをテストすることなので、ダミーロード(終端抵抗)が活用できるだろうと考えました。
今回の記事では、第一回に動作原理と部品の構成について、第二回以降では最適なエンクロージャーの選択・ハードウェア構造・ソフトウェアの設定に関して、それぞれ取り上げていく予定です。
基本動作
まず初めに注意しておきますが、今回の目的は、オーディオアンプの修理や、点検時に使用するソリューションを作成することであり、新規設計の際に必要な特性評価を行うことではありません。つまり、正しい校正を行う必要はなく、多少手を抜いても大丈夫だということです。
基本的な目的は割とシンプルです。可聴周波数帯の信号をある程度簡単に生成、測定できるようにし、利便性のために、すべての機能を単一のボックスに統合する、ということです。ここにはアンプの出力用のダミーロードも含まれ、スピーカーの挙動をうっかり含めてしまうことなく、再現性のある結果を、静寂の中で得られるようにするためでもあります。
ソフトウェア面では、スクリプト言語を使って、特定のタスクを自動化するアプリケーションを作成できる能力を備え、同時に、オーディオアンプ入力と出力のデータロギングや、分析のための信号生成を行えるようにしていきます。
Analog Discovery 2
Analog Discovery 2 (134-6480) は、14ビットの分解能で、2チャンネル、最大30MHzの帯域幅をもつ、様々な種類の入力に対応したオシロスコープに加え、12MHzまでの帯域幅を持つ2チャンネルの14ビット分解能任意波形発生器も搭載しています。これは、16チャンネルのロジックアナライザとしてや、デジタルパターン発生器としても使用でき、ネットワークアナライザ、電圧計、スペクトラムアナライザなどといった、追加の機能も備えています。
上記機能は、Windows・Mac・LinuxのどのOSでも利用可能な制御ソフト「WaveForms virtual instrument suite」で、すぐに利用できるようになります。これには、WaveFormsアプリケーション内でタスクを自動化するためのスクリプトエディタも含まれています。また、WaveForms SDKも用意されており、C/C++、C#、Python、Visual Basicでのアプリケーション作成をサポートしています。これにより、タスク指向のユーザーインターフェースをカスタマイズ可能です。例えば、テスト結果を簡単に示すようなアプリケーションを作ることができるでしょう。
Raspberry Pi 4 + タッチスクリーン
AD 2は、学習環境のような一般的な使用方法においては、ノートパソコンや、デスクトップパソコンで使用されることが多いでしょう。私たちは非常にコンパクトな、より「電気製品」らしいソリューションを作成したいと考えているため、Raspberry Pi 4 4GB (182-2096) と、Raspberry Pi公式タッチスクリーン (899-7466) を使用してみようと思います。プッシュボタンやロータリエンコーダといった、物理的な操作方法を追加し、Raspberry PiのGPIOピンに接続することも可能です。
ダミーロード
必要なインピーダンスを選択できるように、DP6Tロータリースイッチ (862-5723) と、2R無誘導100W 抵抗器 (032-7585) を使用して、ダミーロード製作します。現段階では、2、4、6、8オームを選択できるようにしようと考えています。電子的にソフトウェア制御で変更可能なものにしようかとも考えましたが、手動で操作できる大きなフロントパネルスイッチを取り付けた方が、メリットがあると感じました。アンプによっては、出力の特に低いインピーダンス負荷に対し、十分に応答しないことがあります。
次のステップ
ハードに関しては、エンクロージャーのボタンや、他の部分の操作方法、コネクタ、ダミーロードのヒートシンク、冷却装置など、細かい点を多く考えていく必要があります。ソフトウェア面では、はじめにWaveFormsアプリケーションを使用した上で、自動化に向けて、スクリプトを使用することになる可能性が高いです。おそらく、基本的な機能を導入するためにSDK を用いて、Pythonで簡単なカスタマイズアプリケーションを作成することになると思います。その後、続けて新たな機能を、必要に応じて開発していく予定です。