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スタンドアロンシンセサイザーを構築するという挑戦
私は以前から、Lyra 8シンセサイザーに強く惹かれていた。シンセサイザー愛好家のためのオンラインフォーラムである「Muffwiggler」で話題に上がり、また動画 も見ていたが、実際にその音を聞いた瞬間に心を奪われてしまった。もちろんそのサウンドにも魅了されたのだが、それ以外にももう1つ私に興味を起こさせた事があった。それは、Lyra-8を開発するロシアのメーカーがプリント基板(PCB)データを公開しており、ユーザが自分たちでLyra-8の製作できるようにしていたことだ。
私が注文した「Lyra 8ボードセット」はしばらく関税とVAT(付加価値税)の支払い処理を待つ間、イングランド北部の都市 リーズの倉庫で足止めされていたが、ちょうど自宅に引きこもり、自由な時間を持ち始めた頃に私のもとに届いた。
Lyra-8シンセサイザーと従来のシンセサイザーの違い
(既製の「Lyra-8 –Soma Laboratory」の写真–許可を得て使用)
ここでLyra-8がいかに特別なシンセかについて説明したいと思う。 製造メーカーであるSomaはこのLyra-8について『「有機的な」アナログシンセサイザーであり、「生物の基盤にある原理」を応用した』と述べている。 Lyra-8は、通常のシンセサイザーの発振器ではなく、古い電子オルガンの音源に似たボイスと呼ばれる8つのチャンネルに基づいている。ボイスは4つのペアに分割され、ペアは2つのグループに分割され、2つのペアがそれぞれツリー状の構造を作成している。また、選択したボイスのペアと内蔵のディレイエフェクトを変調できる低周波オシレーター(LFO)も備えており、ディレイは自己変調することも可能で、出力信号はディレイサンプルレートを変調することができる。ディストーション機能も内蔵されている。
これらはすべて金属接点のペアで構成される「キーボード」によって制御される。キーボードは接点に指を置くと回路が閉じる仕組みとなっている。そしてセンサーは各ボイスのエンベロープジェネレーターを起動し、タッチとテクニックを変えることで、ボイスのアタックとボリュームを変えることができる。これらの特徴がLyra-8が非常にクールなサウンドを持つ理由である。
部品の調達
メインボードと制御ボードという2つの大きなPCB(約200mm x 250mm)と小さな制御ブレークアウトボードがある。合計で300以上の部品が必要になり、それらを調達し、最終的には適切な場所にはんだ付けしなければならない。基板に付属する部品は2つのSMD ICだけであり、これはSomaによると、「HEF4093 NXP(SOIC-14)-ICはメーカーによって製品に差がある場合があり、製品の差がボイスのオシレーターの動作と音質に強く影響する。」という理由があるとのことだ。
セットにはLyra-8のBOM(部品表)があり、構造に関するメモと画像がいくつかあるが、部品の調達やはんだ付けの指示はあるわけではない。自分で調達しなければならないのだ。BOMには、「CCCP 0.1mf 160V」コンデンサや逆対数型ポテンショメータ(可変抵抗器)などのこれまでに出会ったことのない珍しい部品がいくつかあった。私も探し始めるまでスルーホール実装のセラミックコンデンサ510pFを見つけるのが難しいことだとは思っていなかった。
ほぼすべてのコンデンサがBOMに「mf」値でリストされている。また、部品とその値は基板に明確に記載されている。
私はほとんどの部品をRSから調達することができ、現在の困難な状況下でも、注文した翌日に届いた(この投稿に関連するRS部品番号が記載されたBOMスプレッドシートがある)。より珍しい部品についてはeBayなど他の場所で注文した。
Lyra-8のメインボードの製作
さて、部品のはんだ付けだが、以前からやってみたかった「はんだ付けのコマ撮り」に挑戦してみた。撮影のため、古いデジタル一眼レフカメラを三脚に設置し、擦りガラスを取り付けたA4サイズケースにいくつかのLEDテープ(153-3626)を取り付け、上の写真のような撮影用照明を作ってみた。ご覧のとおり、まだ完璧にはほど遠い出来ですが、私が作業している奥まった小部屋の照明環境改善には役に立った。
はんだ付けはとても骨の折れる作業で、適度に休憩をとりながらすすめた。このような大がかりな作業をする場合、疲れで集中が途切れ始めたら休憩をとるようにしたい。
他には、狭い作業場で作業をするため、部品を分類してラベルを付けるといった工夫を行った。また、Nova Comp-Card-System抵抗器キット (156-2587) で部品を補充した。はんだ付けを行う際には、この記事の新しく購入した顕微鏡(913-2513)で適宜確認をしながらはんだ付けを行った。(訳者注:この顕微鏡は日本では発売されておりません。日本で購入可能な類似品は (196-4074) ですが、対応する倍率が異なります。)
私は基板に付属する二つのICから順にはんだ付けを始めた。
次に172個の抵抗器に取り掛かったが、これは手強かった。これらを終えたところで休憩をとり、コーヒーを飲んでダイオードに取り掛かった。ダイオードには、極性があり、正しい向きに取り付けるよう注意した。
次は非電解コンデンサにとりかかった。上記のように、基板に表記されている値の一部は、実際にはPCBで「m」と表記されている「mf」に対応していないため、少し変換する必要があり、値を部品自体に表記されている値に変換する必要があった。
そして次に、電解コンデンサをはんだ付けした。このとき基板とコンデンサに記載されている正負の向きを間違えないよう注意を払った。2つの大きなコンデンサをつけるのは、ICのソケットをはんだ付けしてから行った。はんだ付けのために裏返したときに基板から落ちないように接着剤で固定したことを考えると、コンデンサの前にソケットをやっておくべきだったのかもしれない。
最後に、2つの大きなコンデンサ(BOMで0.1mf -160V CCCPと記載されているものを含む)のはんだ付けを行った。これでメインボードのはんだ付けはこれで完成する。この際、接着剤で固定しながら、はんだ付けを行った。
パート2について
このシリーズの次の回(パート2)では、コントロールパネルを組み立て、全体を組み立ててから、デバッグをすることになると思う。そして筐体を設計および製作する。今のところ木製サイドパネルと赤いアクリルを使いワックスで文字を書くつもりだが、何かの都合で変更するかもしれない。