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製造業、特にオートメーション業界におけるOSS(オープンソースソフトウェア)の現在と未来を見てみましょう。例えばオープンソースのビジネス利用促進を目的とする団体「OSBA(オープンソースビジネスアライアンス)」は、ワーキンググループ「インダストリー4.0」を立ち上げました。これは産業のDX化へのオープンソース普及を目指しています。一方ドイツのBosch社 は自社の製品や研究にオープンソースソフトウェアを活用していることで有名です。これらの2つの例だけでも、オートメーション業界のオープンソース普及の流れを感じとることができるのではないでしょうか?
現在
Bitkom社は、2020年の調査結果を公開しました(PDF download)。1999年に設立されたBitkom社は、新興企業からグローバルプレーヤーまで、2,700を超えるデジタルエコノミー企業で成り立つドイツのデジタル連合会です。これらの企業は、自動車を含む業界の幅広い分野をカバーしていました。
この調査によって、参加企業の3分の2はすでにOSSを使用していること、その一方オープンソースの基本的な概念を理解しきれていないこと、ライセンスコストの節約による短期的な経済的利益にばかり目がいっていることなどが明らかになっています。また、OSSの主な用途は、ICT(コンテナ技術、ビッグデータと分析、クラウドコンピューティング)でもあり、オートメーション業界のマシン制御へのOSS搭載はいまのところなさそうです。参加企業のうち、OSSを担当する正式な役職が設けられているのはわずか1パーセントで、企業の経営者によってOSSの推進がなされたのは、わずか5%です。Singelの従業員(30%)や単一の部門(58%)が、OSS推進の原動力となっています。
この調査は、オープンソースが、ギブアンドテイクのバランスがよく取れているプロセスだと、理解されていないことを示しています。OSS開発に参加している企業はわずか31%です。また、OSS開発に参加している人々においては、短期の経済的な理由について先入観があります。それらのわずか31%(参加者の約10%を占める)にとって、オープンソースは彼らのイノベーション戦略の一部となっています。
オープンソースの本質的な利点(開発元からの独立、ソースコードへのアクセス、オープンスタンダード、相互運用性など)を認識しているのはごく少数です。その上、セキュリティ上にリスク、法的なリスク、専門家の不足といったネガティブな先入観のコメントが多々見受けられます。
特に、法的リスクは業界によって偏っているようです。46%の企業が法律事務所からの外部支援を利用しているという事実は、わずか3%の企業に対して法的措置が取られているという真実と異なります。この3%のうち、法的な影響なしに通知を受け取っただけの企業が71%で、OSSの著作権所有者に対して負けたのはわずか4%です。
参加企業の12%は、OSSを使用していて且つ、それを活用するための専門家が不足していると答えています。これは、OSSコミュニティで問題解決方法が、企業のインターネットポリシーと異なるのかもしれません。OSSの場合、高額なトレーニングコースのようなものがない代わりに、問題をインターネット検索で見つけ出す必要があります。しかし会社のインターネットポリシーは、しばしばそのような行動を禁止します。よって仕事に前向きな従業員ほど、OSSの問題解決のために、プライベートな環境を犠牲にする必要性に迫られることがあります。
オープンソースの利点を利用したくなった場合には、ITに保守的な経営者であっても、考えを変える必要があるでしょう。スウォームインテリジェンスとスウォームインベストメントオブタイムを使用したい場合は、スウォームのメンバーになる必要があります。サービスへのアカウント登録なしに、ただ恩恵を受けるということはできません。
世の中の企業がオープンソースの概念を完全に理解した、と知っておくとよいでしょう。たとえばBoschは、内部使用のためにアイデア(「内部ソース」と呼ばれるものです。この無料のPDFブックを読んでください )を採用し、これは、自動車および自動化業界におけるOSS、オープンソースハードウェアの進むべき道を示してくれるでしょう。彼らは、秘密主義にならずに、知識を共有して開発コストを分割し、イノベーションを加速することの経済的利点を理解しているだけではないのです。ちなみに、Facebook、Intel、IBMなどのICTの企業は、はるか昔にこれらの利点を認識しており、 それがオープンコンピュートプロジェクトの一部になっています。Boschは、オープンソースのコンセプトがすべての人に利益をもたらすと考えており、活発なオープンソース開発コミュニティの一つだといえます。たとえば、彼らは、ロボットオペレーティングシステムROSのような標準のインターフェイスやライブラリ、ツール、あるいはマルチコアのアプリケーションプラットフォームプロジェクト(Eclipse APP4MC)の開発を加速したいと考えています。
保守的な安全業界でさえ、この流れに乗り始めています。たとえば、PILZは、ROSを使用しているだけでなく、開発コミュニティの一員でもあるのです。
4年前、KUNBUSは「Revolution Pi」 (193-8180) を、初の完全オープンソース(ハードウェアおよびソフトウェア)である、EN61131準拠PLC / IPCを使用して発売しました。
Phoenix ContactはPLCnext (205-5854) を開発しました。これはLinux派生物をOSとして使用しています。彼らは、間違ったライセンスモデルを使用した場合の著作権の問題を把握しています。例えば、GPL(GNU)のようなモデルは「コピーレフト」ライセンスであり、同じ条件下で使用済みOSSの派生物を公開することを法的に禁止します。しかし、コピーレフトなしでBSDまたはMITモデルを使用すると、開発したソフトウェアの一部のIPを保護できます。これはオープンソースが望んでいることではありませんが、最初に参加する際、容易に参加することが可能になります。
しかし、よく考えてみましょう。
未来
OSSとオープンソースハードウェアを教材として採用する学校や大学が増えるほど、企業はオープンソースプロジェクトに積極的に参加できる従業員を探しやすくなるでしょう。知識の欠如はもはや問題ではありませんが、若い専門家のための「オンボーディング」は、ほとんどのツールと概念にすでに精通しているため、時間がかかりません。世界的な標準(MQTTなど)でさえオープンソースコミュニティで開発された場合、これらの標準は、もはや高度に専門化された知識ではなくなります。
企業がベンダーロックインに縛られず、使用しているオープンソースパーツについて深く理解している場合、協力することでそれらの部品を改良することが可能です。すると、部品が安くなり、サプライチェーンの信頼性が高まるでしょう。
MQTTのような、多くのオープンソースベースのプロトコルが存在し、これらを活用することで、さまざまなベンダーのマシンにおいて、相互運用性が大幅に向上します。多くの場合、機械を販売する企業には、古い機器を、全体的なコンセプトに統合する動機がありません。彼らは新製品を売りたいと思っています。しかし、オープンソースのコミュニティベースで行われる開発は、「レトロフィット」に関心があります。これは、既存のワークショップと製造現場の現実に非常に近いものです。顧客は、接続された、異なるシステムで、貴重なデータを使用することができるような、オープンなインターフェイスがなければ、PLCの使用を容認しなくなるでしょう。
IIoTやインダストリー4.0などのデジタル化の波により、従来のPLCのような技術やコンセプトはこの先何十年も使い続けることが難しくなったと言えます。セキュリティの問題だけをとってみても、その動向は常に変化し続けており、運用側にも素早い対応が要求されます。そのような急激な変化に対応できたのは、一握りの巨大企業とオープンソースの群周知だけでした。ICT業界では、AI / ML(機械学習)のような、最も活動的なイノベーション分野を、オープンソースプロジェクトが積極的に推進しています。マシンが繋がり合うことで、OTでも同じことが起こるに違いありません。
OTのオープンソースにとって認証や安全だけが重要なゲームキラーではないことも間違いありません。ICTのセキュリティ技術は、群衆の監視からわかるように、オープンコンセプトがさらに安全であることを証明しています。適切な秘密でも、セキュリティの欠如を単にカバーすることはできません。なぜそれが機能安全とは違うのでしょう?
オープンソースの概念が、IIoTとインダストリー4.0の推進力の1つになると私が信じる理由はたくさんあります。あなたの意見はどうですか?下のコメント欄で教えてください!
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