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スマートファクトリーを実現するSPE(シングルペアイーサネット)

数年前、「USBタイプC」コネクタの出現は非常に大きな話題となり、その後様々な機器で採用され今では誰もが知るメジャーなコネクタになりました。実はそれ以上に大きな影響のある新しいコネクタが、あまり一般に認知されることなくリリースされてようとしていることをご存じでしょうか? それは新通信規格「シングルペアイーサネット(SPE)」のコネクタです。「シングルペアイーサネット(SPE)」は、次世代のイーサネット通信規格で、1対の銅線で、最長1000m先のデバイスまでイーサネット(1000Base-T1)のデータ伝送を行うと同時に電源供給(PoDL)も可能とします。 

通常、コンピュータネットワークに長年使われているイーサネットでは8芯4ツイストペア構造のケーブルが広く利用されてきました。この技術は幅広い市場で採用されており、登場から20年経った今でも、最新のネットワーク機器に使用されています。

昨今、Industry 4.0と呼ばれる技術革命が推進するスマートファクトリーのコンセプトの元、工場内の全ての機器をネットワークに接続する必要性がでてきました。工場のネットワークでは一般的にバスタイプのプロトコルが使用されています。

バスシステムのデメリット

これらのバスシステムには欠点があると言われています。さまざまなレベルのスマートファクトリーが異なる通信プロトコルを使用しいる場合、システム間でデータを変換する必要があります。これにより、ネットワークが不必要に複雑になり、コストと電力の要件が増大します。

SPEプロトコルでは、旧型のバスアーキテクチャをイーサネットに統合することを目的に規格化されており、よってよりコンパクトなコネクタが採用されました。製造現場のバスアーキテクチャーをイーサネットシステムに統合することができます。つまり、既存のビジネスシステムのネットワークを変更することなく、同じネットワークの延長として製造機器との通信がおこなえるようになります。

スマートファクトリーの製造現場を既存のイーサネット機器の延長上に統合することで、単一のネットワークとしてシステムを構築できます。各ドライブとセンサにSPEコネクタを装備し、一意のIPアドレスを割り当てることができるため、機器からクラウドへのシームレスな通信が可能になります。

これにより、スマートファクトリーの概念でもっとも重要な「機器から上位レベルのネットワークにデータを提供できる」ことを実現します。これらデータは、生産の効率性を可視化できるだけでなく、1つ1つの機器自体の状態に関する重要な物理情報も提供します。このデータは、デジタルツイン(現実世界に実在しているものを、デジタル空間でリアルに表現する技術)を構築するための重要な要素と言えます。

このような監視を効果的なものにするには、情報をリアルタイムで利用できる必要があります。IEEEが定めたTSN (Time-Sensitive Networking)の規格をSPE(イーサネット上)で使用できるようになるため、作業員が工場の状態を秒単位で確認することができます

またSPEには電力供給機能もあります。通信ケーブル一本でデータと電力を供給する技術としてはPoEが有名です。しかしPoEの仕様では2ペア以上の配線が必要でした。よってPoEの拡張仕様として、シングルペアのSPE通信で電力を供給できる技術としてPoDL(Power over Data Line)が規格化されました。SPEはデバイスに電力供給できるため、電源近くに機器を配置する必要がありません。SPEのPoDL対応デバイスでは、12V、24V、48Vの電源を選択でき、センサ、ディスプレイ、インジケータ等に最大50Wの電力を供給できます。1本のツイストペアケーブルを使用することで、デバイスへのデータ接続と電源供給の両方が可能になるため、重量とスペースの両方を節約できます。

 

SPEの広範囲な応用例

工場現場では、もう何十年も前から産業ロボットが稼働しており、その増加傾向はしばらく続くとみられています。一般に、産業ロボットは製造工程内の繰り返し作業を実行しており、そのサイクルは1日に何千回にも及びます。SPEネットワークを使用すると、電源分離など気にすることなく、既存のロボットにセンサを手軽に設置できリアルタイムでパフォーマンスデータを収集することができます。

SPEには、鉄道向けの活用も期待されています。現代の列車は高度に自動化されており、車載部品の監視から乗客向けの情報サービスまで、幅広い用途にネットワークシステムが活用されています。全長が数百メートルにもなる列車内の配線の要件は膨大になります。

SPEは、最長1,000mのケーブル長でデータと電力を供給できるので、列車内のケーブル・中継ハブ・ケーブル保護部品などの総積載重量を減らすことができ、従来のケーブルにくらべ省スペース化や軽量化に貢献します。これにより、列車のエネルギー消費を削減するだけでなく、車体の耐用年数を伸ばすこともできます。

未来の工場に対応したコネクタ

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