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コンデンサやインダクタはどれも同じ?いいえ、違います。
コンデンサやインダクタはどれも似たようなサイズや性能で代わり映えしないという印象があります。しかし、実際はそうではありません。近年、画期的な材料の開発により飛躍的にサイズが小さくなり、性能が向上した部品が有ります。そのような部品に、今回ご紹介するメタルコンポジットパワーインダクタ(以下、メタルコンポジットタイプ)と導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ(以下、ハイブリッドコンデンサ)があります。
まず、それらの部品を用いてコンパクトな車載ECUを実現した事例をご紹介し、次にハイブリッドコンデンサとメタルコンポジットタイプをご紹介いたします。
事例1:電源回路のフィルタ部を小型化
まず1つ目の事例はフィルタ回路の小型化です。電源回路周辺には平滑やデカップリングなどの目的で数多くのコイルやインダクタが使われていますが、ここでは図1の電源回路の入力フィルタについて説明します。
図1 電源回路の入力フィルタ
入力フィルタの仕様をラジオ放送に対するEMC対策としたときの事例を図2に示します。つまり、AM帯/FM帯を減衰量(dB)がフィルタの目標スペックです。従来タイプのコンデンサと抵抗を使った場合に比較して、メタルコンポジットタイプとハイブリッドコンデンサを使った設計では、基板の面積を68%削減できて大幅な小型化が実現しています。
図2 入力フィルタの設計事例
事例2:リプル平滑回路の小型化
2つ目の事例はリプル平滑回路の小型化です。ご紹介する事例は車載モータの駆動回路です。この事例では、平滑回路のコンデンサをアルミ電解コンデンサからハイブリッドコンデンサに置き換える事で、基板上でコンデンサが占める面積を60%削減することができました。しかも平滑特性が向上しリプル電圧は大きく低減しています。
図 3 車載用モータのリプル平滑回路
項 目 | 従来品 | 置換え |
採用部品 | アルミ電解コンデンサ (ø18mm, 35V, 820μF) |
ハイブリッドコンデンサ (ø10mm, 35V, 270μF) |
使用数 | 3 pcs | 3 pcs |
基板面積 | 763 mm2 | 312 mm2▲60% |
リプル電圧 | 89 mVp-p | 35 mVp-p |
ハイブリッドコンデンサとは
ハイブリッドコンデンサは、導電性高分子と電解液を融合したハイブリッド電解質を採用し、導電性高分子コンデンサとアルミ電解コンデンサの長所を併せた優れた性能を持っています。小型でありながら高耐圧、大容量、低ESR、高リプル電流、長寿命を実現しています。
ハイブリッドコンデンサは静電容量の周波数特性が良好です。また、高温から低温までESR特性が安定しています。これらの特長を生かして、大容量のアルミ電解コンデンサから低容量のハイブリッドコンデンサに置換えにより小型化が出来ます。
図 4 ハイブリッドコンデンサの構造
メタルコンポジットパワーインダクタとは
メタルコンポジットパワーインダクタは、高い飽和磁束密度と高周波低損失特性を持つ金属磁性材料(メタルコンポジット材料)を採用したインダクタで、従来品であるフェライトタイプに対して、以下の特長があります。
① 小型化、大電流対応で、ECUの電源回路の省スペース化に貢献
(フェライトタイプ比 30-50%小型化可能)
② 低損失で電源の高効率化が可能で、ECUの増加や制御数の増加への対応に貢献、熱などの回路設計が容易
③ 優れた耐熱性・耐振動性により、車載ECUの厳しい環境下に最適
(耐熱性:150℃/2000h 耐振動性:5Hz~2kHz/30G)
図 5 業界トップレベルの「高信頼性」を実現できる独自技術
関連記事
▼今回取り上げた小型化事例についてより詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。
▼LCローパスフィルタの設計について知りたい方はこちらの記事をご参照ください。
いかがでしたでしょうか、皆さまの車載ECUの小型化にお役に立てれば幸いです。