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1.概要

台パンを監視し、注意することで矯正を促すぬいぐるみ IoT「Cure.」の開発をした。注意された後はプレイヤーに「Cure.」を撫でさせることで癒しを与えストレス解消を図る。さらに、台パンの時刻、ゲーム名をAndroidアプリでリアルタイムに記録することで、⾃⾝のイラつきやすいゲームの傾向を⼀⽬で掴むことが可能となる。

 

2.開発背景

台パンとは、「台にパンチする」の略で、ゲームで負けてプレイヤーがイライラした時などに、机や筐体、画⾯をバンバン叩く⾏為を意味する。台パンのメリットは⼀時的なストレスの発散のみであり、一方で多数のリスクが存在する。自室で⾏った際は機器の破損による無駄な出費、怪我による治療費などが必要となる。またパチンコ、ゲームセンターなどで⾏った際はお店への出⼊り禁⽌、弁償、逮捕などのリスクが発⽣する。このように台パンにはメリットに対して多数のリスクが存在するため、矯正が必要であることがわかる。しかし、台パンは⼀時的な感情の爆発にともなう⾏為であり、⾃⾝で注意して意識を抑えるのは困難である。さらに台パンに代わるストレスの発散⾏為が必要となる。そこで、台パンを注意し、癒しを与えるぬいぐるみIoT「Cure.」を開発した。

 

3.設計

まず「Cure.」の動作の流れを示す。

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ユーザーが台パンすると「Cure.」からユーザーを注意する音声が流れる。この際、ユーザーが「Cure.」を撫でない限り音声は繰り返し流れる。撫でると「Cure.」からユーザーを癒す音声が流れ、音声の繰り返しは止まる。この撫でるという行為と癒し効果のある音声を流すことでユーザーのイライラを解消し、ユーザーの台パン行為を矯正することができる。

次に全体システムのフローを示す。

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ユーザーの台パンは3軸加速度センサモジュールによって検知する。この値をI2C通信によってRaspberry Piで取得し、一定の閾値を超えた場合、台パンが発生したとする。Raspberry Piから注意音声を再生し、「Cure.」を撫でるまで再生し続ける。撫での検知は圧力センサによって行う。閾値を超えた場合に撫でたと判定し音声を停止させ、癒し音声を1回再生する。再び台パンした場合は再度繰り返す。また、台パンが発生した時と圧力センサで撫でを検知した時にRaspberry Pi側からAndroid端末へPHP通信を行っている。Android端末には台パンが発生した時刻とその時やっていたゲーム名が表示されることでユーザーへ通知される。

 

4 実装

4.1 加速度センサによる台パン検知

3軸加速度センサモジュールを使用した。Raspberry Pi側で終了コマンドが入力されるまで常にセンサ値を取得し判定している。3軸加速度センサのz軸方向(垂直方向)の値のみを取得し、ある一定の値を超えた際に台パンをしたと判定している。台パンの検知をしたらRaspberry Piサーバ上のPHPファイルに検知したことを書き込む。検知後の動作フェーズが終了すると、再びPHPファイルを初期状態に上書きし、台パンの検知を待つ状態になる。

4.2 注意音声の再生

Raspberry Pi にステレオミニプラグでスピーカーを接続し音声出力した。Raspberry Pi 上で合成音声の作成・再生を行なった。

4.3 圧力センサ

ぬいぐるみの撫で検知として圧力センサを使⽤した。これはセンサ部への圧力を数値化しアナログ出力する。Raspberry Piではアナログ入力を扱うことはできないため、センサ部からのアナログ出力をデジタル出力に変換し、Raspberry Pi にデジタル入力する。この圧力が閾値を超えた場合、撫でられたと判定する。また1回の出力ではなく3回分の出力の平均を取得することで、正確に撫でられを判定できるようにした。

4.4 ぬいぐるみ

ぬいぐるみの土台にはクッションを用い、上記のセンサ等を実装したRaspberry Piをクッション内部に格納し、癒しを与えるデザインとした。実機の「Cure.」を図に示す。図のリボン部分に圧⼒センサがあり、ここを撫でる仕様となっている。また可愛いらしいキャラクターによって癒し効果を狙った。

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4.5 Androidアプリ

Androidアプリでは台パンした時刻とその原因であるゲーム名を表示する。

まず、3軸加速度センサモジュールが台パンを検知した際に出力された情報を、HTTP通信によってRaspberry PiサーバのPHPファイル内から取得する。その情報によって、台パンが行われているか否かを読み取り、台パンした時刻などの付随情報を追加する。

次に、UIについて説明する。台パンを検知していない初期の UI は図のような画面になっている。画面にはゲーム名を追加するボタン、ゲーム名を削除するボタン、ゲーム名の一覧を表示し選択するボタン、という3つのボタンが存在する。それぞれのボタンによって、普段遊ぶゲームの名前を入力、保存、削除ができる。一覧からゲーム名を選択し、その状態で台パンを検知すると図のように台パンが発生した時刻とゲーム名がセットで表示される。

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                                     台パンを検知していない時の UI

 

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               ゲーム名追加            ゲーム名削除                ゲーム名一覧

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                                                   台パンが発生した時のUI

 

5.使い方

「Cure.」の動作の概要図を図に示す。使⽤時はユーザーが台パンする机の空きスペースに置いておく。ユーザーが台パンすると、音声によって台パンを注意する⾳声が再⽣され、「Cure.」を撫でるまで再⽣され続ける。撫でることで音声が止まり「Cure.」が癒しを与える音声を一度再生する。

詳しい使い方は以下の動画を参照されたい。

https://www.youtube.com/watch?v=HMQncfx5L4U&feature=youtu.be

6.「Cure.」による効果と今後の展望

台パン矯正IoT「Cure.」によって台パンを監視し、音声で注意することによって矯正を促すことができる。そして、撫でるという⾏為によってストレスが解消され、⼀時的にプレイヤーの意識をゲームから離れさせることができ、さらに「Cure.」が癒しを与える音声を一度再生することでユーザーのイライラを解消することが期待できる。また、時刻やゲーム名の記録から、自身の苛つきやすいゲームの傾向を掴むことができる。クッションやぬいぐるみを自分の好みにカスタマイズすれば、より強い効力が発揮されることも期待される。

今後の展望として、「Cure.」が普及した場合には全利用ユーザーの台パン情報を集めることで、台パンが起きやすいようなストレスのゲームの傾向を掴みます。その傾向から自分に合ったゲームを選択することが可能になります。

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