こちらの記事について、内容・翻訳・視点・長さなど、皆様のご意見をお送りください。今後の記事製作の参考にしたいと思います。
Thank you! Your feedback has been received.
There was a problem submitting your feedback, please try again later.
こちらの記事の感想をお聞かせください。
開発背景
多くの学生、特に大学院生は夜遅くまで研究や実験を行うことが多々あるため、自宅に帰宅するのが夜になる傾向にあります。その中には疲れた体を癒すために風呂につかりたいと思う人もたくさんいます。しかし、疲れて帰宅した学生にとって浴槽にお湯をためるという行為は非常に煩わしいです。仮にためようと思ったとしても、学生が借りるような家の風呂の蛇口は水とお湯の栓が別になっているものが多いです。そのため、湯加減の調整は指先で測りながら両方の栓の開き具合を調整してやる必要がありますが、これも非常に煩わしいです。そこで本開発では、Androidタブレットと汎用マイコンであるRaspberry Pi、サーボモータやセンサを用いて、自宅に帰ったら待たずに適温の風呂に入れる自動湯はり機能をもつシステムの開発を行いました。
概要
図1に私たちが開発したFast Bath全体の概略図を示します。このシステムの流れは次の3ステップで構成されています。
図1 Fast Bathの全体像
- タブレット上のアプリで温度とお湯をため始める時間を設定する。設定した時間になるとアプリはWi-Fi経由でRaspberry Pi内のphpファイルを呼び出し設定した温度を渡す。
- 次にRaspberry Piは、設定された温度を引数としてサーボモータで蛇口の開閉を制御するプログラムを実行する。そして温度センサの値をもとにフィードバック制御を行い、設定した温度になるよう蛇口の開閉具合を調整する。
- お湯をため始めてから一定時間経過したら、浴槽にある程度の量のお湯がたまったと判断し、蛇口を閉栓して制御プログラムを終了する。タブレット側も同様に設定した温度を渡してからの時間経過でお湯がたまったことを知らせるメッセージを表示する。
ソフトウェア設計
アプリを起動するとまずお湯をため始める時間とその際の温度を決めます。温度は30~50℃の範囲、時間は現在時刻から最大23時間59分後の範囲で1分刻みで設定できます。これらを決めた後、予約ボタンをタッチすることで設定した時間にお湯をためはじめます。また、時間を設定せずに今すぐため始めてほしいときは、クイックスタートボタンをタッチすることですぐにお湯をため始めることができます。
図2 アプリのトップ画面
ハードウェアの実装
本システムのハードウェアは大きく,本体・温度センサ・水位センサの3部に分けられます。ハードウェアの全容を図3に示します。図3において,オレンジ色のタッパー容器が本システムの本体、タッパー容器内にはraspberry pi,モバイルバッテリ,サーボモータ(SG-5010)2つが封入されており,それらは3Dプリントによって製作した治具によって固定されています。黄緑色のタッパー容器に温度センサが内蔵されており,システムの使用時にはこの容器を浴槽に浮かべます。
また、本システムは浴室での使用を想定しているため,十分な防滴性を有しています。本体及び温度センサはタッパー容器に封入されており,そこから配線を伸ばすための穴には,グルーガンによってシールを施しました。構造上,サーボホーンとサーボモータの接続部のみ,シールがなされていないタッパー容器の穴が存在するが,その穴は常に下向きであり,図4のアクセサリの影となるため,水分飛沫の影響は受けにくくなっています。
図3の下方に写っている吸盤は水位センサです。この吸盤には接点が2か所,接触しないように取り付けられています。使用の際には所望する水位に吸盤を取り付けると,吸盤が水没した時点で接点が短絡・導通し,スイッチとして機能する仕組みです。しかしながら,水道水の抵抗値が想像以上に大きく,本センサがうまく動作しなかったため,現時点では湯量調節はタイマによって行なっています。
図3 ハードウェアの全体像
デモ
動作の一例です。
今後の課題
- 水位センサの実装
- 入浴剤(バブ)投入機構の実装
- ハードウェア部の冷却