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ダイレクトモデリングCADが切り開く新商品開発の未来

こちらの英語版記事の翻訳です。

CADが市場に登場し始めた70年代初頭、そのライセンス料は15万ドル (現在の7-8000万円) 近くにも及んでいました。それが僅か40年経った現在、DesignSpark Mechanical の登場により完全無料で3D CADを使用できるようになりました。この50年弱にわたるCADソフトの歴史ににおいて、DesignSpark Mechanicalは 一つの転換期となることでしょう。ここに至るまでの過程というのは、まさに製造業の発展の縮図であると言えます。

CAD、つまりコンピュータによる設計は、1960年代、主に自動車・航空・軍事産業といった高精度・高額投資が必要な製造現場をささえるべく登場しました。そして70年代、ドラフターなどの伝統的な手書きに変わる新たな製図手法として、技術系学生の間にCADが知られるようになりました。80年代には、プロセッサの32bit化とカラーディスプレイの登場で、CADは更なる進化を遂げました。

これらの過程においては、「より複雑な形状をサーフェスやソリッドで定義したい」「生産性をもっと上げたい」といった方向でCADが発達していきました。例えば自動車産業においては、製造プロセスに適合するようなCAD開発がすすめられました。ご存じのとおり、フランスのルノー社は、製造プロセスに併せてCATIAを開発することで、生産性向上に貢献してきました。

しかし昨今、このCADのニーズが多様化してきました。

たとえばスマホやパソコンでは、機能よりスタイリッシュな見た目が重要視されるようになり、筐体の意匠デザインはより創作的なプロセスになってきました。これによりCADに対して、「紙とペンに負けないスムーズさ、快適さ、自在な形状修正」を求めるようになってきました。

このような新しいニーズに対し既存のパラメトリックCADは適していません。なぜらパラメトリックCADは平面・フィレットなどの要素、いわゆる「フィーチャ」「ヒストリー」「履歴」の複雑な組合せで3次元形状を定義しているため、一度完成した形状を全く新しい視点で修正しようとすると、特殊な専門知識と複雑な手間を要したり、もしくは1から作り直しになったりと、非常に時間がかかっていました

つまりパラメトリックCADは製造プロセスへの適合性には優れているものの、細やかで柔軟な修正には不向きなシステムと言えます。


新しいニーズに対応するCADの誕生

このような状況を変革すべく、DesignSpark Mechanicalではダイレクトモデリング方式を採用しました。

ダイレクトモデリングというと「低級な」「数値指定ができない」といった偏見を持たれる傾向がありますが、これは正しくありません。ダイレクトモデリングはパラメトリックCADよりもずっと後、1990年代になって誕生しました。頂点・辺・面をその場その場で臨機応変にグルーピングし操作するもので、かなり高度な技術が必要だったと言えます。

ダイレクトモデリング方式では、「拘束」のようなパラメトリックCAD特有の制約がありません。それゆえ、製造プロセスには適合しにくい面もあるのですが、その一方ある程度設計が固まった状態から、見た目などの細部の調整を、正確さと精密さを保ったままに、すばやく簡単に自由自在に実行することができます。「スムーズさ・快適さ・柔軟さ」という点で、一歩も二歩も抜きんでていると言えます。

3Dプリンタが新商品企画プロセスを変革

一方、CAM(コンピュータ支援製造)も著しい発展を遂げています。近年では、製品試作において、3Dプリンター・CNC(コンピュータ数値制御)・簡易の射出成型などの技術に代表されるラピッドプロトタイピング(素早い試作)が普及の兆しをみせています。

これにより、新規市場、新製品企画におけるPoC(Proof of Concept)のためのプロトタイピングニーズが急拡大するにいたりました。DesignSpark Mechanical は、ラピッドプロトタイピングに用いられる一般的なCAMデータ(STL、AMF)出力に対応しています。

プロトタイピングが重要視

これら2つの技術革新(ダイレクトモデリング方式、簡易造形技術)は、実は機械設計技術そのものよりも、「新商品企画」や「新規市場開拓」のプロセスに革命をもたらしました。かつて、簡易イラストとプレゼン資料くらいしか作成されなかったこれらのプロセスにおいて、実際に動くモノ(プロトタイプ)を作るようになってきました。いわゆるプロトタイピングです。

これらプロトタイプをたくさん作り、実際に使用し、現場で試し、比較し、データを取り、デモに使われるようになってきました。またIoTシステムを伴うハード開発では本開発前のPoC(Proof of Concept: 有効性検証)においてもプロトタイピングを行うようになりました。専門知識を必要としない直観的で柔軟な操作性」という特徴をもったダイレクトモデリング方式は、これらの「新商品企画」プロセスの変革のニーズに非常にマッチしていました。

つまり、機械技術者だけではなく電子技術者・電気技術者・IT技術者・経営者・マーケッター・ビジネスコンサルタントなどの様々な分野の人間が携わる「新商品企画」「新規市場開拓」「新規ビジネス開発」のプロセスではダイレクトモデリングCADが採用され、その後の実際の製品の設計ではパラメトリックCADが用いられるようになってきました。

かつての「ダイレクトか?パラメトリックか?」という議論は無意味なものとなりました。それぞれの特徴を活かし、適材適所に使い分けることで、より魅力的な製品やサービスを産み出せるようになりつつあります。このような点からモノづくり変革の未来が開けてくるのではないでしょうか?

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