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「リアルアイアンマン」専用ヘッドアップディスプレイができるまで

昨年DesignSparkに掲載された、Richard Browningのインタビュー記事を読んだことがある方がいるかもしれない。そこで彼は、彼のジェット飛行スーツ専用ヘッドアップディスプレイ製作の最初のステップについて説明した。それ以降The Imagination Factoryのチームは、ヘルメットにフィットする部品とディスプレイを動かすソフトウェアなどの設計を、幾度も繰り返しおこなってきた。

このプロジェクトに取り組むことは魅力的であり、コミュニティのみなさんもきっと興味を持つだろう。そのため、本記事では、このプロジェクトについてより詳細をお伝えする。

 

Richard BrowningとGravity社のジェットスーツ

設計の課題

飛行中に燃料消費量や飛行時間といったデータを視界上に映し出したいと考えていたRichardは、ソニーのホログラフィックARメガネを使った業務システムにヒントを得た。そのARメガネを応用できるのではと、さっそくシステム開発元の The Imagination Factory社にコンタクトをとった。

彼のジェットスーツの製作はすばらしい偉業である。そして製作には、使われている技術だけでなく、パイロットの飛行スキルも求められるため、飛行へのパイオニア精神が重要となる。Richardと彼の装備を浮かび上がらせるためには大きな推力が必要であるので、燃料は非常に早く消費されてしまう。そのため、燃料消費量を可視化することは、彼が長く・安全に飛行する助けになるのである。

一回の飛行ごとに、Richardはスーツの機能をより理解し、性能と設計に繰り返し改良を加えているため、空中での1分1分が非常に重要となる。

ウィングスーツのようなスポーツと同様に、彼の体は、速いスピード・高さ・宙に浮いた状態という危険な環境にさらされる。つまり彼は信頼性のある、どんな衝撃をも吸収する軽量のヘルメットを着用する必要があった。頭にフィットし、安全性が証明されており、そして製品の美学がRichardの野心に合うヘルメットを選定した結果、Caberg Ghostというヘルメットが選ばれた。既存のARヘルメットは、ソニーのものよりも多くの情報を得られるが、重すぎるか、安全性の評価が不足していた。

 

ソリューション - ハードウェア

そこで設計チームは、AR技術とヘルメットのどちらの性能も妥協しない方法で、ソニーのAR技術をCaberg Ghostヘルメットに適合させることからとりかかった。

最初の課題は、バイザーのピボットを、上方に持ち上げる前に前方に引っ張ることができるように修正することだった。この修正をおこなわなければ、ARメガネはヘルメットの縁と干渉してしまう。

バイザーのマウントの部品を分解した後、一度のスムーズな動作でバイザーを前方と上方に動かせるように、内部部品を再設計した。この動作を可能にするトラックの最適な形状を見つけるまでに、設計を幾度も繰り返す必要があった。部品の最終版を作成するまでの間、設計を見直すたびに、Ultimaker 3Dプリンタで試作品を作成しチェックをおこなった。この試作品はSLSというプリント方式で作成されている。SLSは、ナイロン粉末を焼結することで、頑丈かつ正確な部品を作成することができるプリント方式である。ナイロンはトラックをスライドさせるのに適した材料でもあるため、SLS方式は今回の用途に最適であり、非常にうまく動作した。

この設計作業と並行して、ソニーのARメガネ(SmartEyeglassで知られる)が、バイザーの内部に取り付けられていた。このARメガネは、開発キット版を購入することができる。この開発キットはRichardの目標をすばやく達成するのに役立った。また、ジェットスーツの制御盤から送られてくるデータとディスプレイをリンクさせるソフトウェアの、継続的な開発に必要なプラットフォームにもなるため、開発キットは最も費用対効果の高い方法であった。

このARメガネを取り付けるために、SmartEyeglassのケースワークの一部を分解して、いくつかの取り付け点にバイザーの内側のカーブがフィットするように再設計した。幸いにも、バイザーの既存の取り付け点を利用することができ、ディスプレイがRichardの視界に入るようにARメガネを調整することができた。

この部品もまたSLS方式で作成されたが、今度はケースワークに合わせて黒く塗装した。

 

SmartEyeglass開発キットの修正

ソリューション - ソフトウェア

SmartEyeglass開発キットは、Androidアプリを介してインタラクティブに開発をおこなうことができるように設計されている。今回は、ジェットスーツの制御基板からWiFiデータストリームに接続し、有用なデータを解析し、自前で開発したUIにしたがって解析結果をARメガネ上に表示するアプリを作成する必要があった。ソニーのホログラフィックディスプレイの解像度は、419×1288の8ビットグレースケール(グリーン)であるため、表示できる情報量が限られる。したがって、データが明確に表示されるように、設計チームは懸命に開発を行わなければならなかった。

予想通り、これをうまく動作させるまでに数か月も開発を繰り返しおこなうこととなった。スーツから送られてくるWiFiデータストリームに接続し、Richardの気を散らさないようにデータをうまく表示させるには、数多くの課題が存在した。最終的に、当初想定されていたよりもはるかに単純なUIが採用された。

開発中、Richardがポケットに入れているAndroid端末からのGPSデータをARメガネ上に表示させることも可能となった。のちにこの機能は追加され、ヘッドアップディスプレイには燃料消費量、飛行時間、そして速度が表示されるようになった。

このAndroid端末はまた、飛行後に解析可能なエンジン制御基板から送られてくるデータストリーム全体のデータログを取得することができる。

 

AndroidアプリとHUD設計のための初期コンセプト

今後の開発

このプロジェクトは、Richardが彼のスーツに対して行っている他の素晴らしい開発(チタン製の3Dプリント部品を含む)と並行して、未だ進行中である。最終的には、開発キットから、ソニーが実現した組み込みソリューションへと移行することを望んでいる。この組み込みソリューションは、ホログラフィックディスプレイをモジュールとして購入できるようにしたことで実現された。

それまでの間、既存の2眼レンズ版から1眼レンズ版へと変換するハックバージョンを含む開発に向けて、さらなる作業が必要になるだろう。これが実装されれば、開発キットのフレームによって生じる障害を軽減し、視覚的な干渉を最小限に抑えつつ必要なデータを送信することができるようになる。

ヘッドアップディスプレイの組み込みバージョンの開発は、SwimARと呼ばれるThe Imagination Factoryの既存のプロジェクトに機能を加える形でおこなわれるため、大規模な開発作業にはならないと思われる。SwimARは、通常のゴーグルにマウントされる、トライアスリートやスイマー用のヘッドアップディスプレイである。

SwimARについての詳細はこちら  – www.swimar.co.uk

The Imagination Factoryについての詳細はこちらから。

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I run a product design agency in West London called The Imagination Factory. We have worked on a diverse range from projects from a solution to "leaves on the line" to a bespoke heads-up display for "The Real Life Ironman"! I also like tinkering with Arduinos, Raspberry Pi, CNC machines and drones. Anything that goes whirr or buzz really...

28 May 2019, 8:37

コメント

June 20, 2019 09:48

私の認識ではUltimakerはSLSタイプの3Dプリンターをリリースしていないと思うのだが?

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