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硫黄が問題になる場所
車両や工場設備などで水・ほこり・振動から電子機器を守るパッキン。このパッキンが逆に電子機器の寿命を縮めてしまう事が有ります。何故でしょうか?
実はパッキンなどのゴム製品には、適度な弾力や硬さをもたせる為、硫黄が使われている事が多く。この硫黄が回路に影響を及ぼします。
それでは、コーティング剤で電子機器を守るのはどうでしょうか?
それも気を付ける必要が有ります。なぜなら、コーティング剤の中にはガスに対するバリア性能が低いものが多く、また最近ではシリコーンゲル系のコーティング材などに硫化を促進する効果が有ることも分かってきております。
ほかにもオイルやグリースによる汚染は要注意です。なぜなら潤滑を良くする硫黄化合物は、
- 切削加工やプレス加工などで使われる金属加工油
- 機構部分で使われるギア油
- 冷却ファンのグリース
などのオイル添加剤として幅広く使われているからです。
このように、電子機器が硫黄に汚染されてしまう原因は様々である為、部品レベルでの対策が重要です。
硫黄が問題になるわけ
なぜ、チップ抵抗器に硫黄が大敵なのでしょうか?一般的なチップ抵抗器では内部電極に銀が使われています。この銀は硫黄と反応して絶縁体である硫化銀になります。これを硫化と言います。硫化すると抵抗器内部で断線するため故障してしまいます。
下図は故障した抵抗器の拡大写真です。このような理由から硫黄が多い雰囲気で使う電子機器には硫黄に強いチップ抵抗器(耐硫化チップ抵抗器)をお勧めします。
耐硫化チップ抵抗器とは
耐硫化チップ抵抗器は内部電極に硫化しにくい素材を採用しています。その際、2種類の方法が有ります。1つ目の方法は内部電極の銀に高濃度のパラジウム(Pd)を混ぜる事です。パラジウムには硫黄が銀にしみ込むのを防ぐ役割が有ります。もう一つの方法は内部電極に金を使う事です。金には硫化しにくい性質が有ります。いずれの方法でも硫黄への耐性が増しますが、より耐性が増すのはグラフに示す通り金を使った方法です。
パナソニックの耐硫化チップ抵抗器ではERJUタイプが銀パラジウムを、またERJSタイプが金を、それぞれ用いています。
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▼チップ抵抗器 用環境による故障事象と故障モード
硫化以外にもさまざまな原因で抵抗器が故障しますが、主な原因と故障した際の症状についてまとめました。
耐硫化チップ抵抗器のラインナップ
パナソニックの耐硫化チップ抵抗器は標準品のERJS/Uシリーズを始め、高精度品のERJU*Rシリーズ、小型高電力品のERJC/ERJUPシリーズ、低抵抗品のERJU*S/Qシリーズ、多連品のEXBUシリーズ、長辺品のERJCシリーズと豊富なラインナップを取り揃えております。用途に合わせてご活用ください。
いかがでしたでしょうか、皆さまの耐硫化対策にお役に立てれば幸いです。