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IoTで洪水対策! (イギリス・カルダーデールでの事例)

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河川中に張り巡らせた水位センサとLoRaWANでIoT洪水対策システム

2015年12月のBoxing Day(クリスマスの振替休日)、イギリス北部一帯を大規模な洪水が襲い、多くの宅地や商店が被害を受けた。我々の工業団地があるカルダー・バレーも甚大な被害に遭い、その水位は自動車の屋根まで達し、配送コンテナが濁流に流された。
  この地域、実は2012年にも似たような洪水被害にあっている。この地域ではこのような災害が珍しいものではなく、今後も発生することが考えられる。

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TwitterユーザのBrittany Forbeによって撮影

当然、治水事業などによる根本解決の検討が始まったが、その一方で違った視点での対策も論じられるようになった。その中の一つが、起こってしまった災害被害を最小限に食い止める高度な警報システムの検討だった。これは、洪水が「いつ」「どこで」「どのように」発生しているのかといった前提の特定が難しく、困難な挑戦である。
この問いに対し、各地に設置した水位センサによって対策を行おうという草の根的な運動が Flood Networkプロジェクトである。

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TwitterのHebWebによって撮影されたHebden Bridgeの様子

それはOxfordから始まった

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2013年暮れから2014年初頭の大嵐によって、Oxfordは大きな洪水に見舞われた。災害後、被災者達はすぐにInternet of Thingsで水位をモニタリングすることを考え出した。Ben Ward氏もその中の一人であった。

2014年2月、BenはOxfordを流れる小川に最初のセンサを設置し、水位モニタリングを開始した。すぐにNominet UK(英国でドメイン名を管理する組織)からの支援をうけ、センサ数を増加させモニタリングネットワークを拡大させていった。これが後のコミュニティープロジェクトOxford Flood Network へと成長していった。

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コミュニティ主導というプロジェクトの方針から、参加者は積極的なプロジェクトへの協力を行った。たとえば、2014年8月、Wuthering Bytesというテクノロジーの祭典で行われたのワークショップでは、センサの組み立てからソフトウェア開発まで、プロジェクト全体に参加者が手を加えていった。

Oxford Flood Networkが大きくなるにつれて、同様の取組みを行う協力者がほかの地域でも表れだした。そこで、イギリスで一番大きな洪水センサネットワークを作っていくことを目的に Flood Networkが立ち上げられた。

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BenがスタートさせたFlood Networkを知った我々は、さっそくこのプロジェクトへの参加することにした。オフィス脇を流れるカルダー川は、Flood Networkに登録させるセンサーノードの設置場所に最適だった。

初めてのセンサを取り付ける

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Flood Network への参加はとても簡単だった。センサーキットを購入し、ゲートウェイから40mの範囲にある小川や河川にセンサーを設置し、それぞれのノードをネットワークに登録するだけだった。

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キットには以下のものが含まれる:

  • 洪水監視センサ

  • Raspberry Piによるゲートウェイ

  • センサのスペアバッテリ

  • 電源とゲートウェイの通信ケーブル

すぐにセンサを動かすことができるように説明書も提供されている。プロジェクトは開発中のものでFlood Networkからフィードバックを求められるため、ベータバージョンだと考えるのがよいだろう。

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Oxford Flood Networkによるシステムの概要

上の図は、システムの概要を示している。 Oxford Flood NetworkのwebsiteGitHubからさらに詳しい情報は入手できる。

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提供された説明書に従って、我々のセンサを川の上部にすぐに取り付けた。センサは補正され、計測結果はBen Wardへ送られる。設置した我々のセンサとネットワークにつながれたゲートウェイにより、この2つを介して転送されてきたデータをすぐに見始めることができた。

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数時間のうちに我々のセンサはFlood Networkの地図上に現れた。Benは設置場所周囲のさらに詳しい情報について尋ねてきた。たとえば、その場所の上流や下流はどうなっているかやそれらの場所が水位の変化によりどう影響を受けるかについてだった。

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また、我々はブラウザベースのコンソールを通して全てのデータ(ほかのノードから送られてきたものも含む)をモニタすることができる。これにより、接続されたセンサのリモートモニタリングができ、今後も活用しやすそうだ。

マップを含むこのプロジェクトは開発中であり、洪水の起きやすさやフェールセーフの警報システムとして具体的な根拠として扱うべきではないということを注意しておく。

ただ、示したようにFlood Networkにセンサを追加することは比較的簡単で、これはプロジェクトにかかわった人の努力の証である。

次のステップ

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我々の初めのセンサの設置は、この技術がきちんと動作することを証明し、システムに貢献するモチベーションとなった。我々の初めてのセンサをうまく動作させるため、最も取り付けやすい川の上の木という便利な場所を選んだ。これにより、データを収集し、環境をテストすることができた。

つぎに、川沿いの建物に腕木を設置することで、センサーをもっと恒久的に使える場所へ移動させようとしている。洪水で重大な危険となる前にどれだけ水位が高くなるのか検討し、再びキャリブレーションが必要だ。これはセンサの情報を信頼できるものとするため、できるだけ正確である必要がある。

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Oxford Flood Networkの選定したセンサ

我々は、地域のネットワークにさらにセンサを追加したいと考えている。洪水センサに LoRaWAN 接続を使うことで、広範囲で低電力の通信が低コスト・免許不要で可能になる。これにより、センサはブロードバンドルータから40m以上離れた場所に設置でき、バッテリを長持ちさせることができるため、設置を減らし、メンテナンスコストの低減につなげることができる。

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リーズのOpen Data Instituteで開かれる、次のFloodHackイベントに我々はいくつかのハードウェアやアイデア、プランを持ち寄り、参加する予定だ。我々はそこで、ほかの人々に会い、協力して問題を実際に解決していくことを楽しみにしている。

 

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