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MAX20361評価キットは、マキシム・インテグレーテッド社(Maxim Integrated)が提供する最新の太陽電池電力開発用評価ボードです!
このボードはMPPT方式のソーラーハーベスト技術と、昇圧コンバータおよび調整可能な充電機能を組み合わせた機能を持っています。ボード自体はハードウェアの高い柔軟性をもつ設計がされており、ボードに搭載の太陽電池からの入力電圧に加えて、リチウムイオン電池やスーパーキャパシタなどのエネルギーストレージを選択できます。
この評価キットには、開発者がコンピュータを使ってI2Cポート経由でデバイスに直接アクセスできるアダプタボードがあります。また、評価プロセスを大幅に効率化すためのWindows PC用の専用グラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)も同梱されており、無料でダウンロードすることができます!
この記事では、主に専用のGUIソフトウェアに焦点を当て、評価キットの主要な機能を探りながら、システム内の電力の流れを観察してMAX20361の性能をテストしていきます。
ツール
- MAX20361 Evaluation Kit (210-5518)
- T3DSO1104 デジタルオシロスコープ (177-1267)
テストと観察
このキットの性能を評価するには、ボードをコンピュータに接続してテストのセットアップを行う必要があります。そのためには、まずキットに付属のUSB2PMB2アダプタとUSBケーブルを、付属のPMODコネクタハードウェアを使ってボードに接続します。これによりMAX20361は前述したGUIソフトウェアを使用して、USB経由でコンピュータと通信することができます。
USB2PMB2アダプタを用いてMAX20361評価キットをUSBケーブル経由でパソコンに接続
MAX20361はI2Cプロトコルで通信を行うため、評価キットとコンピュータの間にブリッジを作るためにUSB2PMB2アダプタボードが必要になります。ただし、アダプタボードはMAX20361に直接電力を供給できないので付属のジャンパーブロックを使って、オンボードの太陽電池を接続してデバイスに電力を供給する必要があります(下図)。
ジャンパーブロックで太陽電池の入力を有効にする
MAX20361GUIのGeneralタブで接続状態を表示
ボードを光源にさらすと、MAX20361に十分な電力が供給されてコンピュータとの接続が確立されます。これによりGUIが接続状態を更新してデバイスのレジスタデータのポーリングを自動的に開始します。GUIソフトウェアはこのデータを2つのタブに分けて表示します。1つは主要機能のダッシュボードで、2つ目はデバイスの動作に関するより具体的な情報を提供するMAX20361レジスタのビット単位です。
開路電圧(無負荷電圧)測定のビット値を表示するレジスタマップタブ
最初に評価する機能は、太陽電池の出力から取得される開路電圧(無負荷電圧)の測定です。この電圧値は、タイマーを使用して定期的に測定されます。このタイマーはシステムの特定要件に応じて精度や応答性を手動で設定できます。開路電圧値は発電可能な光の量を示すだけでなく、今後のハーベストプロセスの動作特性についての情報も提供します。
Generalタブで開路電圧(無負荷電圧)とタイミングパラメータを表示
太陽電池の収率を監視するためのMPPT(最大電力点追従制御)曲線の一例
MAX20361は開路電圧の測定値を使用して、太陽電池の上図Ⅳの曲線で想定される最大電力点で入力ソースを調整します。この値は、既知の最大電力点を使用してMPPTコンフィギュレーション・レジスタを上書きするか、外部MCUとハーベストカウント・レジスタを使用して手動で追従することにより微調整する事ができます。その後、昇圧コンバータが外部機器で使用可能なレベルまで電圧を昇圧したり、後の消費に向けて蓄電できるレベルに電圧を設定しようとします。
ジャンパーブロックでオンボード・スーパーキャパシタを選択
今回のテストではオンボードのスーパーキャパシタを蓄電媒体として使用しますが、これは赤くハイライト表示したようにジャンパーブロックを使用することで有効にできます。
充電中のスーパーキャパシタ出力に対する、調整された太陽電池入力のオシロスコープ波形
ハーベストカウント・レジスタは開路電圧を測定し、太陽電池の収率を監視します。このカウントは入力充電を目標の出力電圧に変換するために必要な昇圧サイクルの数を記録しています。カウント数は発電された電力に比例しています。この数値がスリープしきい値電圧の値を下回った場合、デバイスは次の電圧測定までスリープモードに入ります。
直射日光下で高いハーベスカウント値を表示
ハーベストカウントは、太陽電池の真の発電量をより正確に表すものとして使用する事ができます。また、ハーベストカウントはわずかな電圧変動でも大きく変化します。
このパラメータのテストで明らかになったことは、直射日光と非直射日光とでの収率の違いは非常に大きなものであるにも関わらず、開路電圧の変化が比較的小さかったことです。この点を考慮すると、1つの太陽電池で充電出力電圧を5V近くまで昇圧することは容易であるとわかります。
太陽電池とMAX20361昇圧(ブースト)コンバータの限界をテスト
選択した蓄電媒体に十分な電圧が蓄積されると、MAX20361はこの値を最小のしきい値電圧と比較し始めます。この最小しきい値電圧は開発者が設定でき、専用のウェイク出力ピンを使用して、MAX20361に接続された休止状態の機器を有効にするために使用されます。この機能は、標準的な3.7Vのリチウムイオン電池を想定して設計されており、バッテリーの充電レベルが低下した場合に、接続された機器が低電力モードに入るようになっています。
ウェイク(最小)しきい値電圧の選択オプション
またMAX20361には上限のしきい値もありデバイスの目標出力を調整し、リチウムイオン電池に最適な充電条件を提供します。このレギュレータは柔軟な電流制御が可能な2つの充電モードがあり、柔軟な電流調節および太陽が照っている時ならいつでもシステムを充電状態に保つ上で役立つプログラム可能な低リチャージしきい値があるのが特徴です。
電圧電圧スライダー、ピーク電流、リチャージしきい値を表示
まとめ
MAX20361評価キットは低消費電力でのアプリケーションにおける、太陽電池チャージコントローラの幅広い可能性を期待できる革新的なプラットフォームであるとわかりました!超低動作電圧と優れた昇圧能力により、スーパーキャパシタや単セルのリチウムイオン電池を容易に管理することができ、スタンドアロンの3Vシステムに非常に適しています。
また、マキシム社は直感的なGUIソフトウェアによって開発を効率化し、開発時間を大幅に短縮させています。
全体的にMAX20361は幅広い用途でその可能性を実証しました。将来的に広い分野で使われることが期待できます。特にウェアラブルやIoTの分野での使用例を期待しています。